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テーマ:たわごと(26899)
カテゴリ:ビジネス成功法
青色発光ダイオードを開発した米カリフォルニア大中村修二教授が、勤務していた日亜化学工業を相手に、譲渡した特許権の対価を求めた訴訟は一審東京地裁で過去最高の200億円の支払いを命じ、日亜側が控訴していたが、11日、東京高裁で、日亜側が中村氏に8億4391万円を支払うことで和解が成立した。
この和解金8億円は高いか?安いか? あなたはどう思う? 僕は200億は高すぎる。その10分の1の20億程度が妥当だと思っていたので、今回の和解金8億はちょっと少なすぎるのかな?と思った。 僕は数年前、ビジネスモデル特許の調査をしたことがあるのだが、そのとき、日本企業の社員に対する特許発明の報酬は一時金で数万円程度が多いという事実を知り、これでは搾取ではないか?と問題意識を持っていた。 (同時に人は単に報酬だけで努力するのではないという事実にも気が付いたのだが) だから今回の中村教授が起こした裁判は意義があると思っていた。 しかし一審の判決の200億円には驚いたし、余りにも高すぎると感じた。 というのは、企業内での特許発明の貢献を一人だけに集中させることは、これまで僕が書いてきた会社のあるべき姿と逆行した考え方だと思ったからである。 僕が、一審(200億円)の判決を知った時に思ったことは、この人(中村教授)、会社(日亜化学工業)の同僚との人間関係はどうだったんだろうか?ということ。 きっと孤立した暗い人間関係ではないか?と想像した。 今回の中村教授の主張は、「自分ひとりの力で発明したのだから、ひとりだけ巨額の報酬をもらう権利がある」というものだけど、いっしょに試作を作ったり実験をしたり夜遅くまで汗水流して頑張った仲間はどう思っているのだろうか?モチベーションはどうなんだろうか? そもそも会社というものは、同じミッションを持った同志の集団であるべきだ。 そして成熟した会社は、従業員、顧客、取引先、株主、行政など企業を取り巻く関係者(ステークホルダー)全体の利益を考えるものだ。 同じミッションを果たすため、中村教授のように創造する役割だけでなく、プロジェクトを管理する役割もあれば、地道に定型的な作業をする役割もある。経理などのバックオフィスがなければ投資した資金を回収することはできない。 役割は違っても同じミッションのために頑張っている。この考え方を崩してしまって良いのか? そして事業失敗のリスクを負って投資した株主がいなければ研究開発はできない。そのことは、どう考えているのだろうか? もし、ひとりだけが貢献したとの結論になれば、人が集まって事業を起こす動機が生まれず、シナジー効果など幻想になってしまっただろう。 こんなことをしては高業績組織「ゴッタユニット」なんて成り立たない。 発明者は確かにMVPかもしれないけど、それを支援した人達が落ち込む程の評価の格差は会社や社会を暗くするし、中長期的に見て発展も難しくなるのではないか? そのバランスを考えると200億円より8億円の方が、まだ妥当だと思う。 だけど、僕は、中村教授を責める気持ちはない。 考え方が極端だと言っているだけ。 これは、あくまでバランスの考え方の問題だ。 僕は、数%の勝ち組と大半の負け組で構成される世の中は暗い社会で、経済全体の発展にも好ましくないと思っているから、こう考えているだけだ。 また、中村教授の心のうちはわからないが、お金よりも、日亜化学工業や日本企業の、余りにも不公平な常識に、怒りを持っていたことが大きな動機だったのではないかと思う。 そういう意味では、ちょっと金額は不満かもしれないが、中村教授の目的は達成されたと思う。 日亜化学工業側は、事実上の勝利と言っていたが、そんなことを言う立場じゃないと思う。 裁判がなければ、そのまま搾取を続けていたのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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