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2005.01.15
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カテゴリ:ビジネス成功法
近頃、インドのIT企業と付き合っている。
彼らに任せれば、日本の5分の一から10分の一のコストで高度な業務システムができてしまう。
しかも、最新のテクノロジーを駆使しており、生産性が高い。

ビジネスは勝たなければならないから、日本企業より外国企業と組んだ方が勝算があれば、外国企業を選ぶのは当然のこと。
それが資本主義。

しかし、ひとりの日本人として、この先、日本の情報処理産業はどうなっていくのだろう?と心配してしまう。

グローバル経済の中で、もの作りでは中国、情報処理はインドが台頭している。
共に10億人以上の人口。賃金レベルは、日本の5~10分の一。
同じ人間。個人の知能レベルは日本人と殆ど変わりない。

グローバル経済の中で、日本は、どうすれば今の地位を保っていけるのか?
もの作りやシステムやビジネスのアイディアを提供する知力国家を目指すと言っても、日本国民の中で、ひとりで国際競争力のあるアイディアを生み出す人は何割いるのだろうか?

そういうことを考えると日本は、森永卓郎が言っているような、ほんの一握りの金持ち階級と圧倒的多数の低所得層で成り立つ社会に、近い将来なっていくのではないかという不安がよぎる。

僕は、前の日記で書いたとおり、日本人の「組織的知識創造」の能力に希望を持っている。
「組織的知識創造」とは、ひとりの天才に頼るのではなく、仲間がチームプレー(共同作業)により、新技術や新製品を生み出すこと。
これは高度経済成長期の日本の強さの秘訣だったはずだ。
しかし、米国型グローバリゼーションとやらの悪い影響で、どうも日本人自体、個人主義に走り、それを否定する方向に動いているのではないかと心配している。

最近気になっていることは、日本人の多くが、少数の勝ち組と大多数の負け組で成り立つ社会を容認しているのではないか?ということ。(ここで言う勝ち負けとは金銭的な富の面)
つまり米国型の社会を良しとする考え方。
自分は勝ち組に入れると信じている人が多いのだろうか?

前々回の日記では、青色発光ダイオード裁判の和解金8億万円が安過ぎるという意見が殆どだったが、ではいくらが妥当と考えている人が多いのだろうか?

200億円が適正だと考えることは、徹底した成果主義、つまり米国型社会を良しと考えることと、いっしょではないか?

もし、200億円(ひとりの貢献度が50%)で決着した場合、今後の企業経営に、どういう影響を与えるのだろうか?

この裁判は、おそらく今後の特許発明の貢献度評価の基準になっていくと思われるが、発明者の貢献度を50%と評価する場合、企業経営に大きなダメージを与えるので、この前提で企業が研究開発を進めるならば、製品の価格をつり上げるか、コストを削減するか、なんらかの対策が必要になるだろう。
それは、得意先、仕入先、株主、経営者、従業員などの企業関係者の中で、利害の調整が必要ということ。

例えば、

(1)製品価格を上げる場合
→ 得意先が困るし、最終製品の負担者である消費者や納税者も困る
(2)原価を抑える場合
→ 仕入れ先が困る
(3)利益が減る場合
→ 株主が困る
(4)役員報酬を下げる場合
→ 経営者が困る
(5)全体の給与水準を下げる場合
→ 従業員が困る

必ず誰かが困ることになるのだが、(1)から(3)は、外部との調整が必要で面倒になるし、日本企業の場合、(4)の役員報酬はたかがしれているので、一番手っ取り早いのは(5)だろう。
やり方としては、成功報酬の割合を高め、給料のベースを下げることが考えられる。
そうなると、企業内で少数の勝ち組と大多数の負け組が生まれる。

果たして、これが、社会や産業発展のために良いことなのか?

勿論、日本企業の社員に対す発明の報酬は少なすぎた。
だから、発明することのモチベーションを上げるために、もっと報酬を増やすべきだろう。

しかし、ひとり勝ちにすることは、意味があることなのだろうか?
報酬が多ければ多い程、天才は意欲を出し、優れた発明をするのだろうか?

心理学者のマズローは、「人は物質的に豊かになり精神的にも成熟してくると、金銭的報酬の重要性は低下し、より高次の報酬(メタ報酬)の重要性が高まる。金銭的報酬が相変わらず重視されているように見える場合もあるが、それは、愛や賞賛や尊敬を勝ち取ることができる地位、成功、自尊心の象徴として重視されることが多い」と言っている。

天才に必要以上の報酬を与えるより、地味だけど真面目に働く大勢の人が、やる気を起こすように報酬を分け与えた方が企業にとっても社会にとっても良いのではないか?

僕は、日本には日本に合った社会や企業の姿があると思う。
僕は、自分が子供だった高度経済成長期の昭和40年代の日本が、収入の格差は少なく、階級や差別も少なく、全員が未来に希望を持ち、一番幸せな国だったと思う。

もう、このような社会は幻想なのだろうか?

夢を捨てないのであれば、かつて日本のお家芸であった組織的知識創造を復活させ連続的な技術革新を生まなければならない。

しかし、今は昔と条件が違う。
高度経済成長期は、今より生活レベルが低くても、経済は成長し将来の生活は更に良くなるという確信があったのでサラリーマンは仕事に没頭できた。
今の多くのサラリーマンは、将来の不安、目先の損得、勝ち負けばかり気にして仲間と協力して何かを成し遂げようとする精神が薄れてしまっているように思う。

米国型企業は、報酬が多い人ほど結果を早く求められる。結果がでないと去るしかない。
高収入でありながら、マズローが言う生存の欲求すら満たしていない人が多い。
生存の欲求が満たされなければ、ひたすら金銭を追い求めていくしかない。

そんな企業が日本に増えないでほしいと僕は願う。





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最終更新日  2005.01.17 07:01:35
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