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カテゴリ:ビジネス成功法
1月16日のサンデープロジェクト(TV朝日)で興味深い特集をやっていた。
タイトルは、 「ものづくり震災編・神戸製鋼 自力復活への道」 スキルより意思が大切、これを象徴する会社の復活劇を特集したもの。 バブル崩壊後の構造不況に苦しむ神戸製鋼。 ときは1995年1月。 ラグビー日本選手権で優勝し7連覇達成。 朗報が伝わって、僅か2日後、阪神大震災が神戸製鋼を襲う。 高炉は24時間動かし続けなければいけないのだが、その高炉が止まってしまった。 これは前代未聞の事態。 神戸製鋼が得意としていた線材が作れなくなった。 何をして良いかわからない。 お客様に材料を届けることが一番大事。 成分表などの企業秘密をライバル会社に提供する。 苦渋の決断だった。 3ヶ月内に復旧ができなければ会社は終わる。 経営トップは考えた。 1000人を超える従業員の家が全半壊 しかし、全員が出社して復旧作業、頑張った。 崖っぷちの中、なんとか会社を存続させたいと従業員達は、必死に働いた。 そして止まっていた高炉に再び火がともった。 しかし、それでも会社の危機は変わらなかった。 阪神大震災による神戸製鋼の被害額は1000億円。 鉄鋼メーカー最大の被害。 どうしていくんだ?トップは悩む。 そして、新たな事業の参入を決断。 電力事業である。 自家発電し、電力を電力会社に売る事業。 予算規模は2000億円を超える。 失敗は許されない。 経営トップは、これに社運をかける。 担当者は必死に頑張った。 そして関西電力の入札が始まった。 ライバルの鉄鋼メーカーを含む29社が名乗りを上げた。 結果は神戸製鋼に微笑んだ。 最大の決め手は価格。 また、70万キロワットの入札枠に対し、他社がリスクを恐れ、少量のワット数しか提示できなかったところ 神戸製鋼だけが70万キロワットに近い提案をした。 神戸製鋼は、以前から積極的に自家発電に取り組んできた。 そのノウハウが生かされたのだ。 この事業は、15年連続100億円(利益率17%)の利益を約束するもの。 これは神戸製鋼本体が過去7年間に上げた利益にほぼ匹敵。 非常に重い数字だ。 現在、神戸市の7割の電力は、神戸製鋼が供給している。 こうして新たな事業に成功した神戸製鋼だが、間もなく、もうひとつの荒波に襲われる。 ゴーンショックだ。 日産のゴーン社長が打ち出した部品調達先を絞り、コストを低下させる戦略。 すべての製鉄所は値下げ競争に巻き込まれ利益率が落ち込み苦しんだ。 特に神戸製鋼の落ち込みが激しかった。 神戸製鋼の株価は40円代に下落。 また、会社存続の危機が訪れた。 しかし、神戸製鋼が長く培ってきたハイテン鋼の技術に光が当たり、何とか切り抜ける。 そして中国特需の追い風に乗り、過去最高益を計上。 神戸製鋼は完全復活した。 阪神大震災、あれから10年、神戸製鋼の社員は一心不乱に走り続けてきた。 経営トップふたりがこう語っていたのが印象的だった。 「本当に目標・目的をみんなが共有して、ひとつの方向に向かって進みだしたら、凄い、恐ろしいパワーを人間は発揮するなと実感した。いろいろ悩みながら今日の神戸製鋼のいろいろなものにつながっている。」 震災がなかったら今の神戸製鋼はあったか?との質問に対して、 「変わっていたでしょうね。震災があって、ここまで貶められ、退路はたたれている。間違いはゆるされない。こういう気持ちが神戸製鋼のトップマネージメントと社員全体に漲っていた。このことを忘れてはいけない。」 孫子(そんし)の言葉に「兵士たちは危険な目におちいってはじめて、真剣に勝負する気持ちになる」というのがある。 一言で言うと「背水の陣」。 しかし、神戸製鋼の場合、この格言だけでは言い表せない”意思”というものを感じる。 長年、危機状態が続き、長年、頑張り続けたのだから凄い。 僕は、前回の日記で日本の将来に対する不安について書いたが、この番組を見て少し希望が沸いてきた。 日本は、明治維新、太平洋戦争、数々の困難から復活してきた。 この神戸製鋼の例も日本人が土壇場に強いことを物語っている。 日本は島国。攻められても逃げ場がない。 これは中国と対照的。 日本人は、何か問題があると全員が結束して頑張る性質が強いのではないかと思う。 神戸製鋼の場合も、欧米大手企業のような事業リスク管理を合理的に行なっている企業にはない精神を感じた。 これがいわゆる”サムライ・スピリット”なのだろうか? おそらくこの先、日本は、試練の時代に入ると思うが、この精神があれば大丈夫だろう! だけど、できれば試練の時代になる前に対処したい。 誰も敢えて辛い思いはしたくないはずだ。 今の日本は一見、危機には見えないところが怖い気がする... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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