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2005.01.30
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カテゴリ:子育て・教育
昨日、ケーブルテレビで「朝まで生テレビ 子供たちの夢、意欲、減退のナゼ?!」の再放送をやっていた。

ゆとり教育による学力低下の問題について議論していたのだが、うちの息子も、もうすぐ小学生になるので、ついつい真剣に長い時間、見てしまった。

この問題、結局、どういう”大人”に育てれば良いか?ということ。
何を到達点とするのか、人によって考え方が違うので本当に難しい問題だ。

僕の考えはどうかというと...

教育といっても、徳と学力の教育があると思う。

徳の教育は、学校だけに期待するものではないだろう。
この問題を取り上げると、あまりにも広がってしまうので、今日は止めておく。

では、学力の方はどうすれば良いか?

学力といっても、文化的な生活を送るための教養と、社会や産業の発展に直接役立つ能力(仕事に役立つ能力)という面があると思う。
今問題になっているのは後者であろう。

日本が将来、どのような国家、社会、経済を目指すかによって、どのような能力を高めるべきか方向は変わってくるだろう。

堺屋太一が言う知力国家を目指すのであれば、これまでのように定型的な仕事を正確にこなす人材より、独創性のある人材が必要ということになる。

独創性のある人材と言っても、科学、芸術、スポーツ、ビジネスいろいろな分野があるが、科学、芸術、スポーツは、総合的な学力より、専門分野の能力を早くから見極め、横並びでなく、その才能を活かせる方向に早くもっていく必要があるだろう。

ではビジネスの分野はどうか?
ビジネスで創造性を発揮する仕事と言えば、経営者、企業の各種企画部門、製品開発部門、コンサルタントなどの仕事が思いつく。
新たな商品・サービス、ビジネスモデルを企画・開発する能力が問われる仕事である。
科学、芸術、スポーツ分野よりも、こちらの方に進む人の方が多いだろうから、こちらの話を中心にすべきだろう。

僕の経験から言うと、こういう分野で活躍する人は大卒が多いが、必ずしもトップの国立大や私立大ではない。
新たなビジネスを起こす中小企業の経営者は大卒ばかりでなく高卒の人も多いだろう。
こういう人たちの共通点は、自ら何をすべきか?考え、実行できる人材だということである。

先進国 日本に問われていることは、国民全員に、「この”何をすべきか?”を考えることができる人になりさい」ということだと思う。

僕は、コンサルティングという仕事をしているのだが、コンサルティングという仕事は、クライアントの下請けをするのではなく、クライアントに対して、”何をすべきか?”助言することが仕事である。

僕の会社も、某トップ国立大出身者が多いのだが、必ずしも成功しているわけではない。
むしろ、偏差値で落ちる有名私立大出身者の方が確率的に成功者が多いのではないかと思う。

某トップ国立大出身者は、勿論、決まった仕事はよくできるのだが、この「何をすべきか?」を考えるのが苦手な人が結構多いのだ。
だから、コンサルティングという仕事が自分に合わないと言って辞めていく人も実際に多い。

僕自身、私立大の出身者なので、昔は、部下に某トップ国立大出身者が配員されたら、必要以上に期待したりしたものだが、今となっては、特別な期待も偏見も無く「あっ、そう」といった程度である。

ビジネスはひとりで行うわけではないので創造する仕事といっても、特定の能力を高めるだけでは何も成すことはできない。
知能指数というエンジンや知識というタンクだけでなく、感情も含めた全体の制御装置が必要である。
価値を生み出そうとする意志や情熱、顧客など関係者の問題意識を理解する力、多面的に物事を見る思考の柔軟性、他人と双方向に正確なコミュニケーションが行えること、感情のコントロールなど、非常に幅広い力が求められる。

逆に知能指数や記憶力は、そこそこあれば良いと思うし、大学までに学ぶ知識なんて、特定の分野以外は、そんなに役に立つものではないという気がする。

ちょっと、ホワイトカラー中心の範囲の狭い話になっているように思うかもしれないが、どのような職種であれ、普段の仕事の中での小さな改善が存在する。
これも創造であり、誰にでも経験できることだし、そういうことの積み重ねは、時代がかわっても相変わらず必要なことだろう。
そういう小さな改善の繰り返しの中からイノベーションが生まれることも多いと思う。

こういう”改善”を成すには、内省的で物事を客観的に評価できることや、改善に対する意欲・意志といった資質が必要なのだが、学歴に関係なく、意外に備わっている人は少ないような気がする。

では、こういった能力は、一体どうすれば育つのか?

どう考えても従来の偏差値教育だけで育つとは思えない。
なので、ゆとり教育が駄目だからと言って、従来の偏差値教育に戻すことについては疑問がある。

近ごろ、学力低下が明らかになり、ゆとり教育が駄目だ、駄目だということばかり言われているが、今日本がおかれている状況を考えると、元に戻したところで、国力が高まるとは思えないし、基本方針をコロコロ変えてしまっては、現場も混乱するだろう。

そもそも、世界トップクラスの先進国である日本が、他の国と同じ基準で学力を測って、一喜一憂するのも、何だか寂しい感じがする。
世界一の経済大国である米国は、平均的学力が決して高くなくないのに、あまり気にしていないように思える。

決まったことを正確にこなすことよりも、独創性、創造性のある人材を増やしたいなら、従来の基準で測る学力なんてたいした問題ではないはずなのだが、だからといって、何を鍛えたら良いのかわからないというのが、現状である。
これが本当の問題ではないか?

僕は、基本スキルとして論理思考、クリティカル思考といったスキルを子供のうちから鍛える必要があるのではないかと思っている。
これまで、日本のいろいろな会社の人と仕事をして感じることは、技術的で細かい事なら論理的に考えることができる人が、人間が関わる大局的な問題に関しては、非論理的に結論を出してしまう場合が多いように思う。(理系の人も)
だから、論理思考と言っても、記号で表す論理学という世界よりも、より現実の社会や人間関係を題材にした実践的なトレーニングが必要だと思う。
また、こういう思考力をコミュニケーションに活かせるよう、総合学習の中で、何か課題を与えワークショップを実施するのも良いのではないか?

これは、国語の能力とも言えるし、数学の能力とも言える。
総合学習ではなく新たな教科としても良いように思う。

以前、紹介した本であるが、例えば、この本の内容なんか、授業にしたら面白いと思う。

■ロジカルシンキングと言えばビジネス系の本が多いのだが、
■この本は、童話や漫画を使った例も多く、職業に関係なく面白く読める。
京大式ロジカルシンキング 頭スッキリ!実践論理のスキルアップ( 著者: 逢沢明 | 出版社: サ...
京大式ロジカルシンキング 頭スッキリ!実践論理のスキルアップ( 著者: 逢沢明 | 出版社: サ...





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最終更新日  2005.01.31 18:43:22
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