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カテゴリ:ビジネス成功法
昨年の年末、中国のPCメーカー 聯想集団(レノボグループ)が、IBMのパソコン部門を買収するとのニュースが話題になった。(現在、この商談は、米政府から安全保障上の懸念があるとして待ったがかかっているようである)
この出来事は、中国企業のパワーを世界に見せ付けたと言えるが、一方、パソコンの製造販売というビジネスが、IT業界の巨人IBMにとって収益性の低い魅力のないビジネスになったとも言える。 IBMは、今後、付加価値の高いソリューションビジネスに力を入れるそうだが、このソリューションビジネスとは一体何だろうか? これを一言で言うと「顧客の課題に対する解決策を提案し、それを実現することで顧客のビジネスを支援すること」になる。 もう少し具体的に言うと、 顧客の既成概念上存在する定型的な製品やサービスを顧客に言われるがままに提供するのではなく、顧客のビジネスの問題を分析し、そして、それを解決するための製品・サービスの構成(組み合わせ)全体を提供するビジネス。 ビジネスのコンサルティングから、ソフトウェア・ハードウェアの提供、ソフトウェア・ハードウェアの運用、顧客の業務の代行(アウトソーシング)まで通して提供するビジネス手法。 では、何故、ソリューションビジネスが付加価値が高いのか? 顧客が目指していることは自社のビジネスの成功(業績の向上)である。 使用する個々の製品・サービスが、いくら優れていようと自社のビジネスが成功しなければ意味がない。 優れた製品・サービスを上手く使いこなして初めてビジネスは成功する。 しかし、どんどん高度化する製品・サービスを顧客が使い方を学んで、管理することは容易ではない。 そこで、ビジネスの成功に直結するソリューションの提案を行い、かつ、ソリューションを提供し、ソリューションを代わりに使いこなしてくれる業者がいたら、顧客は多少高いお金を払っても良いと考える。 だからソリューションビジネスは収益性の高いビジネスになる。 しかし、こういう一連の製品・サービスを提供する企業は、顧客のビジネスに対する影響度も高くなるため、失敗した場合のリスクも当然高くなる。 また、顧客のビジネス上の問題を解決できる優れた人材が大勢必要になってくる。 従って、こういうビジネスを展開する企業は、相当体力が必要だし、大量の人材も必要になる。 IBMは、このビジネスを展開するため、数年前、自社のハードディスク部門を売却し、代わりに、弱かったコンサルティング部門の補強のため、PWCという大手コンサルティング会社を買収している。 ソリューションビジネスが成功したか、どうかは、提供先の企業のビジネス成功(業績改善)という形で表れてくるはずだから、結果はすぐには出てこない。もう少し様子を見る必要があるが、今のところ、このビジネス手法は大企業に受け入れられ、IBMはIT業界No.1の地位を不動のものにしている。 このように人件費の高い先進国の企業は、より付加価値の高いビジネスにシフトしなければならない。 もの作り大国 日本も中国の台頭により、品質だけでなく、より高い付加価値を提供しなければならなくなってきている。 製品作りであれば、より革新的な技術の開発が必要になるだろうし、サービスであれば、顧客個々の既存ニーズに答えるだけでなく、新たな価値を提供する必要がある。 僕は、製品作りの面で日本は先進国だと思うが、サービスをビジネスとして確立するという点で、いろいろな課題があると思う。 次回、その課題についてお話したい。 つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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