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2005.02.14
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テーマ:たわごと(26903)
カテゴリ:ビジネス成功法
将来、日本が知力国家として生き残っていくには、ハイレベルな製品・サービスを提供できる企業や人材を育成していかなければならない。
僕は、特に付加価値の高いサービス産業の発展が不可欠だと考えるが、実際に、日本は、もの作りにおいてはトップレベルだけど、サービス産業の方は先進国とは思えない。

日本はチップを払う習慣がないこともからもわかるように、そもそもサービスにお金を払うことについて馴染みがない国だ。
人だけが資源である日本が、本当に、これで良いのだろうか?考えてしまう。

何故、こうなってしまったのか?

僕は、公共事業中心の資本整備といった経済発展の歴史が長いため、お役所や、規制に守られた大企業のような買い手の立場が非常に強く、弱者である売り手(業者)を、我が物のように支配してきたことが原因ではないかと思う。
買い手企業が規制によって競争にさらされていない場合、売り先が他にないから、限られた巨大な買い手の機嫌を伺わなければ商売が成り立たないからである。
資金決済の条件(売掛金の回収期間が長い)など、日本は、買い手に非常に有利な商習慣が多いことからも、買い手が売り手より強い立場であることがわかる。
昔から商人が「お客様は神様です。」という言葉をよく使うことからも、それがわかるだろう。

このため、売り手は商品の受注につなげるためなら、何でもやる(無償でサービスする)という習慣が根付いてしまっている。
営業担当が、何でも屋(情報屋さん)になって初めて、ものが売れ、資金を回収できるといった関係だ。
買い手は、「ものを買ってやってんだから、もっと奉仕しろ。やらないなら仕入れ先代えるぞ」と売り手に要求することが習慣になっている。

しかし実際に、買い手が本当に得をしているのかというと、そうとは限らない。(売り手は馬鹿ではない)

日本の情報処理産業の場合、市場規模は世界第二位であるが、業務系システムにパッケージを利用するケースは欧米に比べ非常に少なく、手組み(1から作り上げるシステム)のシステムを利用するケースが多い。
これは同じ業界で業務の内容が殆ど変わらない企業が複数あっても、パッケージは使わず、似たようなシステムを、その都度ベンダーに作らせているということだ。
似たようなシステムをそこら中で作るより、新たな価値を生むシステムに投資した方が競争力がつくはずだが、何故、そうするのか?

これは顧客がベンダーのいうことを鵜呑みにしているからである。
当然、パッケージの方が安いから、企業は無駄なコストをかけていることになるが、ベンダーにとっては、その方が売上が上がる。
だからベンダーは「パッケージでは貴社の要件を満たしません。」と言って、導入効果の低い機能を捨て切れない顧客を丸め込み、何でも作ってしまうのである。

ベンダーから無償で提供される情報というのは自分にとって都合の良い情報であり、買い手にとってベストの情報ではないということである。

買い手企業が、自分自身のプライオリティをちゃんと整理せず、また、ものやサービスの価値を正しく評価できなけば、専門的ノウハウのあるベンダーの言いなりになってしまうのだ。

僕の経験では、こういう裸の王様化したお役所や大企業は非常に多い。
実際に、こういった企業では、過剰なシステムの運用コストや複雑化したシステムのメンテナンスに悩んでいる場合が多々ある。

一方、日本のITベンダーは、こういう商売に甘んじてきた結果、優れたパッケージソフトの開発を怠り、近年、グローバル企業を目指す大企業においては、外国製の業務パッケージに置き換えられ、外資系企業にシェアを奪われている。

これは、売り手も買い手も互いにぬるま湯に浸かり、互いに競争力がなくなってしまった悪い例である。

ビジネスの世界では、売り手も買い手も互いにWINーWINの関係を築くことを目指すことが原則だ。
不明瞭な依存関係を作って、互いに、こそこそと得をしようと意識していては互いに足を引ってしまう。
僕は、買い手と売り手は取引の当事者として対等に向き合って、製品は製品、サービスはサービス、それぞれの価値を認め、それぞれ正当な価格で取引を行うことが、両者とってメリットがあると思う。
GIVE&TAKEによりシナジーを生み出すことを互いに目指し、真のパートナーになるべきである。


特定の業界の話をしてしまったが、個人においても、近い例はあるだろう。

例えば、FP(ファイナンシャル・プランナー)という仕事がある。
これは個人のライフプランに基づいて最適なファイナンシャルプランを策定する仕事。
その人に最適な資産運用、金融商品の活用法などのアドバイスを行う。

FPには、独立系と金融機関系が存在するが、日本で、独立系FPにお金を払う人は、まだまだ少ないのではないか?
それよりも無償で相談にのってくれる金融機関系を利用しがちだろう。

しかし、金融機関系FPは自社の金融商品を売ることが本来の目的だから注意する必要がる。(表向き違っても)

僕は、必ずしも独立系FPが良いとは思わないが、いずれにしても、ちゃんと自分の頭で、そのサービスの出来を評価することができなければ、顧客が、丸め込まれてしまう危険性があることを忘れてはいけないと思う。


前回の日記でIBMのソリューションビジネスについてお話したが、こういうことを考えていくと、顧客にとて、サービスと製品が一体となったソリューションというビジネスが、本当に最適な方法なのかどうか、考えてしまう。

また、IBMにとってソリューションビジネスが本当に付加価値の高いビジネスなのかも。

これは、一見、目新しい方法論のようだけど、単に土俵を変えただけで、従来、日本のベンダーがとってきた囲い込み戦略と変わりないのではないか?
もし、IBMが、ちゃんとサービスに対して正当な対価を請求せず、コンピュータの販売を目的にしたならば、従来の日本のベンダーがやってきたことと変わりないだろう。

これでは、IBM自身の収益を圧迫することに成りかねないし、優秀なコンサルティング部門の人材を維持できるのかも心配である。
また、顧客の方は、すべて一ベンダーに任せて、中身がブラックボックスになってしまうと、必要なタイミングに最適な方法・手段を選択する機会も失ってしまう。

恐らく一長一短があるだろう。

この心配が本当がどうかは現時点では判断できない。
これからのIBMのやり方とIBMの顧客の態度次第であり、互いの業績が証明するだろう。


話は長くなったので、もうそろそろ、まとめたい。

政府は、特許や著作権など知的財産権の保護に力を入れているが、こういうものだけ保護しても、サービス産業が発展するとは思えない。

もの作りだけで、知力国家なんて無理。

買い手(顧客)が、サービスそのものの価値を認め、それをちゃんと評価すする力を養い、サービスの価値に見合った適正な報酬を、きっちり払う、こういう習慣を根付かせることが、良いサービス業者を育てるために必要である。
得に情報・ノウハウを提供するサービス業の発展が鍵である。(コンサルティングのことだけではありません)

これは買い手が企業の場合も個人の場合も同じ。

では、どうすれば良いか?

う~ん 買い手企業の意識としては、好業績をあげている進歩的な会社の多くは十分わかっているし、一方、規制に守られた権威主義的な会社の多くは全然わかっていないので、これを放っておくと勝ち組・負け組という形で表れてくるし、実際に表れている。

日本の産業全体の発展、国力の問題として、このまま企業を放っておいて良いのか?という課題がある。
政府がすべきことはあるのか?
とりあえず規制緩和の促進により、自由競争できる環境を企業に与え、権威主義を崩壊してしまうことが改善の第一歩だろう。





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最終更新日  2005.02.14 22:46:09
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