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2005.03.07
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カテゴリ:ビジネス成功法
今日は、2月21日に発売された日経コンピュータの記事

崩壊するアウトソーシング「他人任せ」に未来はない

についてお話したい。

この記事、正直言って、かなり過激な内容である。

内容を要約すると、

IBMがシステムのアウト-シングを行っているJPモルガン、神戸製鋼所、日産自動車など大企業が、数年経って、期待程のコスト削減効果があらわれていないことに大変、不満を持っている。

システムの開発・保守・運用を丸投げしており、費用の内訳をIBMが明らかにせず、不満が貯まっている。

JPモルガンに至っては、アウトソーシング契約を解消し、インソーシング(自前主義)に完全回帰する方針

といった内容。

驚いたのは、クライアント企業のIT企画責任者が自分の名前をハッキリあらわにして「IBMとはまったくかみ合わない。」といった批判的なコメントを記事に載せている点である。
その会社は、まだIBMと契約を解消していないので、日頃、顔をあわせて仕事をしているはずだから、「ハッキリとよく言えるなぁ。かなり気まずい雰囲気でいっしょに仕事しているんだろうなぁ?」と想像してしまう。


この問題、僕の以前の日記(2月14日)でも取り上げた問題と同じである。

サービスをビジネスとして確立するためには(その2)

IBMお得意の「ソリューションビジネス」の失敗例である。


ただし、この記事は、少し冷静に見た方が良いと思う。(この記事に限らないが)

このところ僕が批判しているメディアの問題が、この記事にあらわれている。

メディアというものは視聴者や読者を増やすためインパクトのある見出しにしがちだし、内容も何かひとつの対象に問題を集中させる傾向がある。

ひとつの文章が同じ事実を表していても、言い方によって随分印象が変わるものである。
この記事を読むと明らかにIBMなどのITベンダーに問題があるような書き方だから、これを読んだ読者は、ITベンダーは駄目だ!、アウトソーシングは駄目だ!なんて単純な判断をする人も多いだろう。
(事実を冷静に分析できるように論理力を鍛えましょう!→ 2月26日の日記


僕の2月14日の日記を読んでもらうとわかると思うが、これはIBMとクライアントの、お互い様の問題であり、どっちが一方的に悪いということではない。
GIVE&TAKEが成り立たなくなった一例ということに過ぎない。

そもそもアウトソーシングとは、自社の強みではなくなった業務を外部業者に委託することなのだが、この記事を読むと、強みでなければならない部分もアウトソーシングして、失敗したという事例である。

「わが社の本業は×××であり、ITを売って儲けている会社ではない」と言う考え方は間違っている。
その本業を支えるITを丸投げしては本業がガタガタになる危険性がある。
少なくともIT戦略やシステム構築・導入のプロジェクト管理は、ユーザー企業が主体となって行うべきだし、そのために必要な人材を確保しておく必要がある。
もし、そういう人材を確保できないのであれば、少なくともアウトソーシング業者とは無関係なコンサルティング会社のアドバイスを受けるべきである。

システム部門を分社化しITベンダーに売却するまでは良いかもしれないが、ユーザー企業の中で、成功への強い思い入れを持った優秀なリーダークラスまでITベンダーに売ってしまっては、うまくいくわけがない。
一体誰が責任を持ってシステムを守っていくの?と聞きたくなる。

また、ITベンダーをひとつに絞ってしまっては、競争心がなくなり怠慢になることは明らかだ。
これでは規制産業で胡座をかいでいる企業と変わりない。
案件毎に必ず他のITベンダーと競争させるべきだ。

どうも、上場して歴史の長い大企業は、経営者が、お役人かサラリーマン化する傾向があるように思う。
任期は数年、この間、無事務めたら多額の退職金を貰ってオサラバ。
企業の長期的なビジョンやCSRなんて形だけ。

こんなところが見え見えだと中間管理職のモチベーションも下がる。
何でもかんでもアウトソーシングして、誰もその会社のために責任を持とうとしない。

そういう会社は結構あるんじゃないかなぁ~
ホリエモンが狙っている会社はどうだろうか?

長い間、コンサルティングをしていると、?だと思う会社に出会うことがある。

我々は戦略を提案しているはずなのだが、我々の戦略の背景にあるビジョンが消極的過ぎるので、もっと積極的なビジョンを示して欲しいというのである。

クライアントの要望が戦略策定だったので、クライアントのビジョンに基づき戦略を提案したはずだ。
そのビジョンが消極的であっても、そのビジョンを確実に実現するための戦略を策定すべきなのだが...

どうしてか尋ねると、その会社の場合、経営者が当り障りのない不明瞭なミッションやビジョンばかりを口にするので、従業員が何を目指すべきかわからず困っていて、コンサルティング会社に提案してほしいということである。

確かに、ミッションやビジョンの作り方をコンサルティングする会社もあるが、中身まで考えろということになると、しまいには「我が社の存在理由まで教えてくれ」(私って誰?)ということにならないか疑問である。

やはり、その会社は規制で守られ平和ボケした大企業だった。

日本の将来のため、こういう寂しい会社が少しでも減ってほしいと願う。





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最終更新日  2005.03.07 22:22:41
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