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カテゴリ:ビジネス成功法
先日、久しぶりに昔の部下に会った。
彼は、数年前、大手外資系銀行へ転職し、ある法人向け商品の営業企画部門で仕事をしていたのだが、その銀行が、その事業から撤退することに決めたため、また転職することにしたそうだ。 撤退する事業の競争相手は邦銀であるが、邦銀が企業に対して採算度外視の価格で提案するため、邦銀相手に競争しても、本社から要求される事業の収益性を満たさないため、撤退せざるを得なくなったようだ。 彼は、ぼやいていた。 邦銀は日本企業とは昔ながらの持ちつ持たれつの付き合いの中で、シェア割といった明文化されていない暗黙の約束があり、その中で採算を管理しているため、時にはシェアを守るため、個別の商品を採算度外視の価格で提供することがある。また、無償で至れり尽せりのサービスをすることがある。 外銀から見ると、こんなことに付き合っていては経営が成り立たない。 欧米は直接金融が発達しており、銀行貸付の依存度は低いので、外銀は、金利収入以外に様々な商品・サービスを開発し企業へ提供している。 いわゆる手数料ビジネスが発達しており、収入比率も高い。 だから、邦銀のように手数料をディスカウントしては商売上がったりになってしまう。 グローバルに展開している外銀は、収益性の低い地域から撤退し、より見込みのある地域に拠点を移す。 だけど、彼は長男。 日本で仕事することが条件。 外国では働きたくない。 だから転職する。 ま、彼は優秀だから何処行っても大丈夫だろう。 さて、この話を聞いて、僕は、日本の銀行と企業の付き合い方は、これで良いのか?と疑問に思った。 外銀が、ある事業を撤退するわけだから、一見、邦銀にとって囲い込み戦略に成功したかのように見えるが、僕の経験から、これは、そんな簡単な話ではないと感じる。 日本の場合、企業の資金調達は間接金融(銀行借り入れ)が中心なので、銀行も、その金利収入に頼っている。 しかし、近年、大手企業は資金管理を効率化し、借り入れをどんどん返済しているため、銀行の金利収入はどんどん減っている。 したがって他の手数料収入を増やしていかなければ、収益性はどんどん悪化するのだが、一旦、低価格で提供した商品やサービスの値上げを大胆にできない。 そんなことをすると取引が他行に切り替えられてしまう。 今の優良企業と銀行との力関係は、こんな感じだ。 (明らかに企業が強い。まだまだ銀行が多すぎるのかも?) どうも、今の銀行と企業の関係は険悪な場合が多い バブル崩壊後、銀行の貸し渋りによって痛い目に遭った企業は、その恨みを忘れていないようだ。 銀行が、何か新しい提案をして、価格を提示しても、「もっと安くしないと他行に代えるよ」と強気。 企業から見れば、あの辛い時に冷たかった銀行からは、どれだけ貰っても貰いすぎとは思わないようだ。 銀行も辛い。 あとで両者から個別に話を聞いても、互いの文句ばかり言っている。 銀行と企業は切っても切れない関係だと思うが、どうも腐れ縁のような関係になっていて、見ていて寂しい。 以前の日記「「他人任せ」に未来はない! (崩壊するアウトソーシング) で書いたITベンダーと企業との関係と同様に、どうもべったりとした関係は良くないようだ。 ひとつひとつの取引をうやむやにして丼勘定でやってしまうと何が得して何を対価として支払ったのか、わからなくなって、相手のありがたさが実感できなくなる。 やはり、企業がGIVE&TAKEで良い関係を築くには、ある程度距離をおき、ある程度の緊張感を持って接し、ある程度の競争相手や代替する取引先が存在し、ひとつひとつの取引について、公平に競争し、そして選定し、互いに納得した形で契約することが大事なのではないかと思う。 昔のことを持ち出してケチをつけ、甘えあって、足を引っ張り合っては、互いに国際競争の中で生き残っていけないだろう。 自滅を待って、外資が再参入することもありうる。 本当に自覚するには、やはり規制をできるだけ少なくし自由競争できる産業を作っていく必要があると思う。 こういうことが日本の経済界の大きな課題だと思う。 これは、個人同士の人間関係にも言えるし、日本と中国の関係のような国家間にも言えるのではないか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.03.17 16:15:16
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