☆らびあんろーず☆

思いのほか寒い日が続き、たいてい入学式の頃には散ってしまっている桜が
今年はまだまだこれからが見頃という、遅い春の訪れ。
あの年もそうだった。1986年の春。

3月の終わりだというのに、富士スピードウェイへ向かう道には降ったばかりの雪が積もっていた。
GCシリーズ初戦、その年から全面スポンサーとなったLEYTON HOUSEの
目にも鮮やかな真新しいレイトンブルーのマシンが、
希望と期待に満ちたシーズンの始まりを祝福してくれてるようだった。
ネイビー＆ブルーのヘルメットと共に、限りない未来へのチャレンジに挑む、
静かな闘志を秘めたAKIRAクンによく似合っていた。
「今年から、このマシンで戦うんだね♪(*^^*)」
初お披露目となったそのマシンが、まさかそれっきり主を失ってしまうなんて、
そのときは夢にも思わなかった。。。

その日、アタシは伊豆にいた。
当時の彼と二泊三日のドライヴ旅行から帰る日で、途中、AKIRAクンの家がある
小田原に寄道する予定だったが、渋滞回避のため断念、まっすぐ帰宅し、
彼と一緒にお土産を並べたり、「あーだったね♪」「こーだったね♪」と楽しい余韻に浸ってた。
母からかかってきた電話に出るまでは。。。
何故か「彼にかわって」と言われ、別に気にもせず受話器を渡した。
とんでもない大役を彼が背負ってしまうことなど気づきもせず。
電話を切り、何か様子が変だな？と思ったとき、彼が大きく深呼吸して何回かため息をついた。
そして・・・覚悟を決めたかのように「大変なことになった・・・」と切り出した。

母は、アタシが大好きだった憧れの人が、テストドライヴ中に〔事故死〕したという非情な現実を、
どうやって娘に伝えたらいいかわからず、一番そばにいて頼りにできる人にお願いしたのだ。

あのときも・・・4月だというのに、伊豆・大室山の桜は咲いてはいなかった。

AKIRAクンが眠る小田原のお墓には大きな桜の木がある。
毎年、いっぱいの花びらを舞い散らして咲いていた。
今年は・・・もう満開でしょうか。
姪っ子の入学式に保護者の代理で出席するため、今年もAKIRAクンのところへは行けなかった。
もう何年、逢いに行ってないかなぁ。。。ゴメンね。

来年で・・・20年だね。AKIRAクン♪50歳のオジサンだよ。（笑）
でも全然かわってない。あのときの、29歳のAKIRAクンのまま。
やさしい笑顔、やさしい声、おっきくてあったかい手。

菅生の桜は咲いていますか？
来年・・・19年ぶりに訪れてみようかと、今日、思いました。