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『タルコフスキーとその時代』著者:西周成
『アンドレイ・ルブリョフ』『惑星ソラリス』『ストーカー』『ノスタルジア』『サクリファイス』等を監督した、名匠タルコフスキーの、知られざる人生に新たなスポットを当てた一書。 かつて、彼の映画哲学を記した『映像のポエジア』を読んだことがある。夢幻的で散文的ともとれる彼の映画が、この本に縷々語られる、膨大な理論的背景をもとに構築されていることに、当時は大きな驚きを隠せなかった。 "時間を彫刻する"という、彼の理念には感動したものの、何やら抽象的過ぎて腑に落ちなかったのも事実。 そして、この書を手に取り、長年の彼へのイメージが大きく修正された。 ソ連当局から迫害され、生涯8本しか作品を残せなかった"悲劇の天才"。 それが、彼自身かなりパーソナルな問題を抱えた人物であり、その性格と行き当たりばったりの製作過程から、完成に膨大な時間と資金がかかり、自然と本数が減っていったこと。そして、彼の語る映画理論と、その実践との明らかなギャップ・・・。 その事実を目の当たりにしても、まったく輝きを失わない、不可思議な魅力を放ち続けるタルコフスキー映画。 彼に興味が少しでもある方には、ぜひ読んで頂きたい本である。
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Last updated
2012.06.06 08:37:34
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