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カテゴリ:音楽
今日のNHK朝ドラの「らんまん」を見てたら「夏の名残のばら」が出て来てびっくり。ちょうど調べてたところなので、いいタイミング。ドラマは鹿鳴館での舞踏会開催のための音楽披露会。そこでピアノで演奏されたのがこの曲。 鹿鳴館の竣工は1883年、里見義が「夏の名残のばら」を和訳した「庭の千草」が小学唱歌集に掲載されたのが1884年なので、時代考証としては筋が通っています。このようなかたちで当時の日本に西洋音楽が浸透していったのですね。 しかし、この鹿鳴館イベントは付け焼刃の西欧化だったため、残念ながら国内外で大炎上することになります。 <浮世絵とビゴーの風刺絵> (井上馨らがイメージした日本人の姿は、西洋人から見ると散々です) ちなみに、この「夏の名残のばら」はなんとベートーベンも取り上げていたので紹介しておきます。 ベートーベン/20のアイルランド歌曲集 (WoO 153) 6番「悲しく不幸な季節」 (「夏の名残のバラ」の旋律によるベートーベンのバージョンです) また「らんまん」の昨日放映の話には明治政府が増税のために施行した「酒石税」が出てきました。それまでの酒はその年に出荷した酒量に課税する「庫出税」だったのに対し、「酒石税」はその年に仕込んだすべての酒に税をかけるというえげつない内容。仕込み失敗による廃棄や、古酒のために寝かせている酒の腐敗などの損失は見込んでない。そのために多くの蔵元がつぶれ、日本酒の古酒が絶滅しました。その一方で酒税は国税の税収第1位となり、後の幾つもの戦争の度に増税され続けました。 幸い最近になって5年や10年寝かせた熟成古酒が復活し始めていますが、100年にわたる古酒の空白時代を生むことになりました。 <リキュールのような深みのある日本酒の古酒> (灘の「沢の鶴」さんは30年を超える古酒も出してられます) 当時の日本の状況からすると、西欧諸国との不平等な立場を対等にしようとする焦りや、軍事費捻出のための増税など、明治の日本を建て直すために行った新政府のあがきが日本をかき乱します。そのために国内外からの嘲笑や経済的混乱などの犠牲を招きながらも、結果的には日本が近代国家へと一歩踏み出すことになったのですね。 ------------------------------------------------------------ <アイルランドの調べシリーズ> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023/12/30 12:17:25 AM
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