ハワイにはマーラーが似合う
☆音だけは別ハワイに行っているときは、ほとんどの情報は入りませんでした。でも、音楽だけは別。ワイキキのFM局から流れてくるクラシック・チャンネルはずっとつけっ放しでした。☆ハワイの海はずっと見てても飽きないダイヤモンド・ヘッドから昇る黄金の朝陽にきらめく海。穏やかな白波が寄せ返す真昼の海。オレンジから紫紺色に変わりゆく夕方の海。ビーチ・チェアでずっと見ていても、全然飽きません。そこにFM局から、マーラーの『子供の不思議な角笛』が流れてきました。穏やかな海に遊ぶ若い人たちをみていると、マーラーの少し退廃的で、人生のたそがれを感じる曲が妙にマッチしているのに気づいたのです。ここで、「あっ」と思ったのです。そうだ、ルキノ・ヴィスコンティの映画『ベニスに死す』のシーンと似ている、と。この映画はマーラーの交響曲第5番第4楽章の「アダージェット」がテーマ音楽として使われていました。内容は、確か美少年(ビヨルン・アンドレセン)に惹かれる老芸術家の映画でした。何だか、この夢と現実が交錯する映画とダブってしまったのです。☆若いっていいなぁと私も思ってしまったのです。私もおばさんになったもんだ・・・。海辺で遊ぶハワイの男の子を見ていたら、力強く迫力のあるカヒコ(古典フラ)を踊っていた少年が、これまたダブり、この世にいるのではないような感慨に打たれたのです。マーラーの曲は、甘美で陶酔する音楽です。ハワイは人生のたそがれを思うところなのかしら?