井上死刑囚に思う。
私は井上死刑囚と年齢が一緒だ。サリン事件のあった日は私は阪神の地震で傷んだ家から引っ越しを終えて、少し落ち着いた生活に戻り、スキーでも行くかと赤倉に行った日である。東京から合流した友達からサリンの話は詳しく聞いた。井上被告は,ほかの被告より若いのに、たくさんの役目を負わされて、とても気の毒に思っていた。あなたは若いから手が汚れる仕事をやらなくていいよ、なんてもちろん言ってもらえなかっただろう。私は確かなものなど何もないことを初めて知ったのがサリン事件の年。もう社会人だった。私はすでに社会でもまれ、それなりに精神的にもたくましくなっていた。彼はそれに少しだけ早く気が付いただけだ。そして真面目で上昇志向だった。そして若かっただけだ。だからそんなことが受け入れられず、確かなものを求めてしまったのか。どう考えても私と彼との間にそれほど大差があったとは思えない。彼は拘置所で今まで生きてきた以上の年を過ごし、自分のやってしまったことに向き合い、そして社会で成長するという機会をうばわれ、そして死刑になった。拘置所で過ごしている間、私は結婚して子育てして、仕事をして、それなりに年を重ねてきた。彼の人生と私の人生になんの違いがあったのかと思うと、なぜ彼はあのような人生を歩み終わってしまったのかと思う。井上被告は悪い。遺族や被害を受けられた方からは、本当に許せない人だと思う。その気持ちは正当である。ただ私はどうしても井上被告が気の毒で、心がざわつくのである。本日の夕食ラザニア 紫たまねぎのサラダラザニアに入れたミートソースは生トマトで作ったもうサイコーの味でした。ラザニアって初めて作ったけど、かなりめんどくさい。