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2009年01月02日
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カテゴリ:つぶやき
「2050年の印刷業界を考える」
    ※全国印刷緑友会50周年記念誌 寄稿文より


 経営者に求められる資質は?と尋ねられた時、変化の大きな激動時代において経営の羅針盤である経営指針を社員や顧客にわかりやすく提示することが経営者のあるべき姿と考える。私たちの世代は、太平洋戦争も、安保闘争もストライキなど労働争議、オイルショック等、社会を震撼させる苦労を経験していない。どんな苦境が来ようとも社員一丸(業界一丸)となって戦うためには揺るぎないビジョン作成は不可欠であるし、今その必要性を感じる。
 福田元総理は、2050年までにCO2を半減させることを約束した。簡単ではない。営業車や印刷機に使用する電気代が半分しか使えなくなるからである。印刷業界はどうなるのであろうか?と想像した時、経営に必要な「人・金・物、そして夢」という視点で考えてみた。
 【人】 業界に就労する従業員はさらに減少し、企業数も半減する。しかし、印刷の顧客は、暖簾(屋号)や特定の営業マンへの発注を大切にする傾向にあり、長年にわたり顧客との信頼関係が構築されている。今後良好な関係を保つためには、設備を充実させることよりも印刷物等がどう活かされるのか?という成果物に対しての提案力を向上させることが顧客との関係維持に不可欠となるであろう。そして、競争力を保つためには、より製造側の合理化、工場の共同運営、協業化など人員削減が余剰設備の集約などが予測される。
 【金】 印刷業は中小企業が大半で20人未満の企業も多い。経営に必要な経営方針書などの骨子を用意していない企業は2050年までに生き残れる確立が間違いなく小さい。企業として継続するためには本業の利益=金が創出される仕組みを社員と共に考えなければ社長だけが孤軍奮闘しても限界があるからと考える。なぜうちの会社は日本社会に必要なのかを明記した「経営指針」や、何をどう強みにして攻撃・守備するのかを記した「経営戦略」、3年後や5年後はどんな姿になるのか共有するための「経営計画」などを改めて用意すべきである。また、印刷業は損益や経費など会社の決算内容を社員に情報公開している会社も少ないと言われる。情報公開すればするほど社員との距離は縮まり、経営は社員参加型となりブレは少なくなる。
【物】印刷物はなかなか減少しないと考える人が多いようだが、マーケットは着実に縮小し、生き残った企業の1社あたりの売り上げは拡大する。資源は枯渇傾向にあり、用紙は今のように海外パルプが主体ではなく、国産パルプが使用され、古紙のリサイクルも今以上に活用し、地域で製紙された紙を地域で印刷することが多くなる。紙が製紙工場で抄紙され、印刷、納品に至るまでのトータルなCO2が現状の50%となることが2050年には必要となる。その時には印刷会社に発注する前に「印刷物の必要性」が吟味され、本当に必要なものだけが製造される厳しい時代となる。
【夢】困難な未来があるからこそ、社員には夢=明るい未来を提供するのが経営者の努めである。全国印刷緑友会。この組織名の一文字に私は生き残りのヒントがあると考えている。英語で緑=greenとは、「環境に配慮した」、とか「地球に優しい」という意味を持つ。「緑」を伐採して紙資源を作り、その上で成り立つ印刷業界。社員と共にgreenな経営を考え、行動することが未来永劫生き残れることができる印刷企業の条件ではなかろうか?





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最終更新日  2009年01月02日 10時15分57秒
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