ニセモノ
「ニセモノ」という言葉は「モノ」なので「物」に対して使う言葉だが、人に対しても使う。「お前はニセモノだ!」みたいに。要は言葉的に「ニセモノの人物」は人扱いされず、モノ扱いなのだ。一冊の本を読み終え読書メーターに投稿しました。転載します。ニセモノの妻 [ 三崎亜記 ]日常に潜むどこか致命的にズレたシュールな非現実。この三崎ワールドにまんまと主観が脅かされ引き込まれた。表題作「ニセモノの妻」他全4編。帰宅すると本物と寸分違わぬ妻が「もしかして私、ニセモノなんじゃない?」と云う。妻は突発性真偽体分離症を患い、偽物が現れたようだ。法的に偽物は物として廃棄されるが、夫は偽物と協力し行方不明の本物の妻を探すことにした。だが偽物への愛着も感じ始める。人は主観だけで本物を見抜く力が弱いから、法や社会通念やネットの情報に頼っている。だけど結局、本物と認める決め手は人の心なんだろうな。