カテゴリ:柳田国男の部屋
日本昔ばなし 猿の尾はなぜ短い
柳田国男全集 大正元年版 一部加筆
昔の昔の大昔、猿の尻尾は三十三尋あったそうです。それが熊のためにだまれて、あのような短い尻尾になってしまいました。 或時猿は熊のうちへ訪ねて行って、どうすればたくさんの川の魚を、とることが出来るだるうかと相談しました。そうすると熊が言うには、今晩のような寒い晩に、どこか深い淵の上の岩に坐って、その尻尾を水の中へ漬けて置いてごらん。きっと色々な雑魚が来てくっつくからとおしえてくれました。 猿は大喜びで敦へてもらった通りにして待っていますと、夜が更けて行くうちに、段々と尻尾が重くなりました。それは氷が張って来たのでしたが、お猿は雑魚が来てくっついたのだと思っていました。もこれくらい取れたら十分だ。あんまり冷たいからかえりましょうと思って、尻尾を引き上げようとしたけれどもなんとしても抜けません。これは大変だと大騒ぎをして、無理に引張ったところが、その尻尾が根元からぷっつりと切れました。猿の顔の真っ赤なのも、その時あまりに力をこめて引張ったためだと言っている人があります。(出雲) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月26日 16時56分15秒
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