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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2019年04月15日
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カテゴリ:山口素堂資料室

山口素堂発句 秋の部

 

   昔、此の日家隆卿、

   七そじななのと詠じ玉ふに、

   みづからか祝ふなるべしと

   我母のよはひあふ事を壽て、

   猶九そじ余り九つの重陽をも

   かさねまほしく思ふ事しかり。

 

  めでたさや星の一夜も蕣(むくげ)も

  去年の蔓に蕣かゝる垣根かな

  有明も蕣の威に気おされぬ

  朝頗よおもはじ鶴と鴨のあし

  土佐が画の彩色兀し須磨の秋

  西瓜ひとり野分をしらぬ朝(あした)かな

  棚橋や夢路をたどる蕎麦の花  

   独楽

  

  我舞て我に見せけり月夜影

  

  もしやとてあふぐ二日の初月夜  

   むさし野の月見にまかりて

   帰るさに

  

  袖みやけ今朝落しけり野路の月  

   四国下りのころ

  淋しさを禄にしたり須磨の月

  三日月にかならす近き星ひとつ

  

  三日月をたはめて宿す薄かな  

   武蔵野の薄を手折て、

   大仏の前に耳かきを

   拾ろひし事を思ひ出て

  宿にみるもやはり武蔵野の薄哉

  候べく候や小野のお通が花すゝき

  晴る夜の江戸より近し霜の不二  

   明石

  

  朝霧に歌の元気やふかれけん  

   

   玉津島

  

  霧雨に衣通姫の素がたみん  

  

   野水の雁の句をしたひて

  

  麥を忘れ花におぼれぬ雁ならし

  回廊に汐みちくれば鹿ぞ啼

  露ながく釜に落来る筧かな  

   長崎にて

  

  珠は鬼灯砂糖は土のごとく也

  南瓜や巾つしり落で暮淋し  

   忍の岡のふもとへ家を、移しける比

  

  塔高し梢の秋の嵐より

  ちからなく菊につゝまる芭蕉かな

   

   宗祇法師のことばによりて

  名もしらぬ小草花さく野菊かな  

   戊寅の秋洛陽に遊び

   一日鳴滝に茸狩して

   両袖にいだきて知りぬ。

   其片袖に都の主人にあたへ、

   其片袖に大津の浦の一隠士安世のかたへ、

   此三唱を添て送るならし。

 

   其一

  茸狩や見付ぬさきのおもしろさ   

   其二

  松茸やひとつ見付し闇の星

   其三

  袖の香やきのふつかひし松の露  

   

   九月十三夜游園中十三唱

   

   其一

   ことしや中秋の月よからず

   此の夕は雲霧のさはりもなく

   遠き山も

   うしろの園に動き出るやうにて

   さきの月のうらみもはれて

  

  不二筑波二夜の月を一夜哉

   

   其二 寄菊

  たのしさや二夜の月に菊添て   

   

   其三 寄茶

  江を汲て唐荼に月の湧枚かな   

   

   其四  

  旨すぎぬこゝろや月の十三夜   

   

   其五  寄蕎麦

   月に蕎麦を占こと古き文に見えなし。

   我蕎麦に占によしなし。

  

  月九分あれ野の蕎麦よ花ひとつ   

   

   其六

   畠中に霜か待つ瓜あり、

   試に筆をたてて

   

  多瓜におもふ事かく月見哉   

   

   其七

   同隠相求といふ心を

  むくの木のむく鳥ならし月と我 

   

   其八 寄薄       

  

  蘇戮にはやどらぬ月の薄かな   

   其九 寄蘿

  

  遠とも月に這かゝれ野辺の蘿   

   其十

   

   一水一月千水千月といふ古こと

   にすがりて我身―つの月を問

  袖につまに露分衣月幾つ   

 

   

   其十一 若月

  

   月一つ柳ちり残る木の間より   

  

   其十二 寄芭蕉

   

   去年の今宵は彼庵に月をもてあそびて

   越の人あり筑紫の僧あり

   あるじも更科の月より帰りて

   木曾の痩せもまだなほらぬに

   など詠じけらし。

   今年も文月のためとて庵を出ぬ

   松しま 象潟をはじめ

   さるべき月の所々をつくして、

   隠の思ひ出にせんとなるべし

  此度は月に肥てや帰りなん    

  

   其十三 国より帰る

 

  我をつれて我影かへる月夜かな

  うるしせぬ琴や作らぬ菊の友

 

  酒折のにひばりの菊とうだはゞや   

 

   こかしせし思ひか小夜の枕にて

   我此心をつれにあはれむ。

   今なほ思い出るまゝに

  はなれじときのふの菊を枕かな  

   石山

  雲なかば岩を残して紅葉けり  

   

   大江山

  ふみも見じ鬼住跡の栗のいが

   甲斐が根

  

  ほぞ落の柿の昔聞く深山哉

  天の原よし原不二の申行時雨かな






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最終更新日  2021年04月25日 13時46分11秒
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