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2019年04月30日
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素堂「芭蕉庵十三夜」46 元禄元年(1688)
 

ばせをの庵に月をもてあそびて、只つきをいふ。越のひとあり、つくしの僧あり。まことにうき草のこらず水にあへるごとし。あるじも浮雲流水の身として、石山のほたるにさまよひ、さらしなの月にうそぶきて庵にかへる。いまだいくかもあらず。菊に月にもよほされて、吟身いそがしひ哉。花月も此為に暇あらじ。おもふに今宵を賞する事、みつればあふるるの悔あればなり。中華の詩人わすれたるににたり。ましてくだらしらぎにしらず。我が国の風月にとめるなるべし。

   もろこしの富士あらばけふの月見せよ  素堂
   かけふた夜たらね程照月見哉      杉風
   後の月たとへば宇治の巻ならん     越人
   あかつきの闇もゆかりや十三夜     友五
   行先へ文やるはての月見哉       岱山
   後の月名にも我名は似ざりけり     路通
   我身には木魚に似たる月見哉    僧 宗波
   十三夜まだ宵ながら最中哉       石菊
   木曾の痩もまだなをらぬに後の月   はせを

 

仲秋の月はさらしなの里、姥捨山になぐさめかねて、猶あはれさのみにはなれずながら、長月十三夜になりぬ。今宵は宇多のみかどのはじめてみことのりを
もて、世に名月とみはやし、後の月あるは二夜の月などといふめる。是才士文人の風雅をくはうるなるや。閑人のもてあそぶべきものといひ、且は山野の旅寐もわすれがたうて人々をまねき、瓢を敲き峯のささぐりを白鴉と誇る。隣の家の素翁丈山老人の 一輪いまだ満たず二分虧(かけ)り といふ唐歌は、此夜折にふれたりとたづさへ来れるを壁の上にかけて、草の庵のもてなしとす。狂客なにがし、しらら吹上とかたり出けれは、月もひときははえあるようにて、中々ゆかしきあそびなりけらし。

 貞享五年戊辰年菊月中旬      蚊足著
   物しりに心とひたし後の月

 

【参考資料】 模刻素堂真蹟(寛政十年刊)……著述年不詳

むかし九月十三日夜、芭蔑の翁さらしなの月より帰りて、木曾のやせもまだなをらぬに、けふの月と詠じつきの會をもよほしけるに、こしの人ありつくしの僧あり、まことに浮草のうきぐさにあへるがごとし。そもそも今宵の月を賞する事中華にハきかず。ましてくだら、しらぎにもしらず。我日の本の風雅に富る成べし。

  もろこしに富士あらば後の月見せん   素堂











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最終更新日  2021年04月23日 05時08分31秒
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