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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2019年05月06日
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                      引用資料(『北巨摩郡誌』大正四年刊)

 

 北巨摩の里歌

 

1、   娘幾人良いとは見たが、嫁に欲しいとみればない。

2、   鰯(いわし)頭も崇めりゃ神よ、信がなければ神はない。

3、   盆の十六日お寺で施餓鬼、蝉がお経よむ木の上で。

4、   羽織脱ぎ棄て筒袖巻いて、百姓するのも国のため

5、   草鞋切れても粗末にするな、藁(わら)はお米の親じゃもの。

6、   他人恐ろし闇夜は怖い、親と月夜はいつもよい。

7、   仲が良いとて礼儀を欠くな、円いという字も角がある。

8、   親のない子を見るたび思う、親は生きたる神仏。

9、   歌のでどこは金沢、蔦木、つけて廻すは台ケ原。

10、 親と親との約束なれば、嫁かにやなるまい戻るとも。

11、 人に物言や油の雫、落ちてひろがるどこまでも。

12、 人の口には戸が立てられぬ、流れ川には堰ならぬ。

13、 人の降り見て我が降り直せ、桜花見て色直せ。

14、 ウチの姉さん粉ひきゃ眠る、団子喰う時ゃ目が光る。

15、 酒は呑みたし酒手は持たず、酒屋の看板見て戻る。

16、  ままにならぬとお櫃(ひつ)を投げた、その所ら辺りはまま【ご飯だらけ。

17、 思い切れとて五合桝(ます)投げた、これが一生の別れます。

18、 お大尽衆は太鼓を叩く、私や貧乏で鍋叩く。

19、 風が笛吹きゃ木の葉が踊る、たぬき浮かれて腹皷。

20、 鬼が餅つきゃ閻魔(えんま)が捏(こ)ねる。傍でご地蔵が嘗めたがる。

21、 ままよままよと半年暮らす、後の半年寝て暮らす。

22、 今朝も今朝とて柱で頭、あいたかったと眼に涙。(痛かった)

23、 寺の門口蜂が巣をかけて、坊主出りゃ螫(さ)す這入りゃ螫す。

14、 恥ずかしいぞへ牡丹の花を、見に行く私は鼻が獅子。

15、 石の地蔵さんの頭が丸い、烏とまれば投島田。

16、 富士の山をば鳶が撰ぶ、奈良の大仏蟻が曳(ひ)く。

17、 金の茶釜が抔いう奴は、家には土瓶の蓋もない。

18、 夫耕す娘はかせぐ、妻は瀬戸へ出て米炊しぐ。

19、 おせきなさるな浮き世は車、命長けりゃめぐり逢う。

20、 鮎は瀬にすむ鳥は木にとまる、人は情けの下に住む。

21、 船は出て行く帆かけて走る、茶屋の女は出て招く。

22、 五月雨程恋い慕われて、今は秋田の落とし水。

23、 高い山から谷底みれば、お萬可愛いや布さらす。

24、 大工殿より木挽は憎くや、同じ半ばを挽き分ける。

25、 人のためなら米山さまへ、跣足(はだし)参りも辛かない。

26、 碓氷峠の権現様は、私がためには守り神。

27、 関の五本松は一本切れば四本、後は切られぬ夫婦松。

28、 関の岬には蛇が居るそうな、大きな蛇じゃげな嘘じゃげな。

29、 金の成る木を一本欲しや、それを育てて孫にやる。

30、 並の上にも御座れなら行こよ、船にや櫓もある櫂(かい)もある。

31、 馬が勇めば馬方までも、乗った人までいそいそと。

32、 馬方船頭は乞食に劣る、乞食は夜寝て昼稼ぐ。

33、 思い直して来る気はないか、鳥も枯木に二度宿る。

34、 踊り踊るなら品よく踊れ、品の良いのを嫁にとる。

35、 お婆どこへ行く三升樽掲げて、嫁の在所へ孫抱きに。

36、 宵は月にまぎれてすむが、更くる鐘には袖しぼる。

37、 夢になりとも情けはよいが、人の辛さを聞くもいや。

38、 梅は匂いよ立木はいらぬ、人の心よ姿はいらぬ。

39、 鳥も通わぬ山国なれど、住めば都で花が咲く。

40、 門が立のは八もじ様か、夜風身の毒内御座れ。

41、 文はやりたし我身は書けず、物をゆへかし白紙が。

42、 思い棄つるなかなはぬとても、縁と浮世は末を待て。

43、 住めば浮世に思いのますに、月と入らばや山の端に。

44、 離れ離れのあの雲見れば明日の別れもあの如く。

45、 すゝぐまひもの紀念の小袖、馴れし昔がうすくなる。

46、 ひとり山路は物凄ござる。早く声出せ不如帰(ほととぎす)

47、 月夜たてや闇ならよかろ、待たぬ間に来て門に立つ。

48、 親という字は絵に書いてなりと、肌の守りと拝みたや。

49、 物を言やるないや屑になる、言はて包めば屑もない。

50、 踊れお唄いさきの世は闇夜、今は半ばの花盛り。

51、 よしや今宵は曇らば曇れ、とても涙で見る月を。

52、 紺じゃ濃すぎる浅黄色じゃ薄い、好いた紫腿め易い。

53、 来るか来るかと出て山見れば、山で狐がコンと鳴く。

54、 木曾の御岳夏でも寒い、袷(あわせ)やりたい足袋添えて。

55、 木曾へ木曾へとつけこむ米は、伊那や高遠のあまり米。

56、 木曾じゃ御岳甲州じゃ御岳、西じゃ乗鞍槍ヶ岳。

57、 遠州浜松良い茶のでどこ、娘やりたいお茶摘みに。

58、 またと行くまい湯原の湯へは、三坂三里が憂い程に。

59、 来いと言ったとて行かれる道か、道は四十里夜は一夜。

60、 めでためでたの若松様よ、枝も栄える葉も繁る。

61、 山家なれども我が古里は、柴の庵もなつかしや。

62、 親が片親御座らぬ故に、人もあなどりや身も痩せる。

63、 こなた百までわしゃ九十九まで、共に白髪のはえるまで。

64、 風が物言や言伝するに、風は諸国を吹廻る。

65、 山を通ればいばらが招く、いばら離しやれ日が暮れる。

66、 いとし可愛子に旅させ親よ、憂いも辛いも旅で知る。

67、 かけてよいのは衣桁に小袖、かけてたもるなうす情け。

68、 きゞす野に住む雲雀は山に、うづら栗穂につま思い。

69、 親は子と言て尋ねもするが、親を尋ぬる子は稀な。

70、 山が焼けるが立たぬか雉子よ、これが立たりょか子を置て。

71、 うちの旦那は傘育ち、世間広がり内すぼみ。

72、 鳥がなきます夜はほのぼのと、鐘もなります寺々に。

73、 鐘が辛いか鴉がいやか、帰る帰るの声かいや。

74、 お茶を摘む時や赤茜の襷(たすき)、今度五月にゃ黒襷。

75、 信州信濃の新蕎麦よりも、私しゃお前の傍(そば)がよい。

76、 謡へお十六声張り上げて、七つ屋形に響く程。

77、 花の様なる若殿様を、やるか信濃の炭焼きに。

78、 山が高うてあの家が見えぬ、あの家可愛や山憎くや。

79、 今年や豊年穂に穂が咲いた、道の小草にゃ米がなる。

80、 いつは来いでも盆には御座れ、死んだ人さへ皆御座る。

81、 一理二理なら伝馬で通う、五里と隔たりや風便り。

82、 這えば立て立てば歩めと育てた親を、捨ててお前に情たてる。

83、 雪の化粧はさらりとやめて、素肌自慢の夏の富士。

84、 富士の山程登らせ置いて、ストトントント落とす気か。

85、 どちら向いても苦労は絶えぬ、女夫筑波にやもめ富士。

86、 好いて通えば千里も一理、可愛いあの子の顔見たさ。

87、 青葉の木陰から炭焼く煙り、月の先に桔梗花。

 






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最終更新日  2021年04月22日 04時34分47秒
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