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2019年05月12日
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〔俳諧余話 素堂〕「芭蕉 年々や猿に着せたる猿の面」の句について

 

年々や猿に着せたる猿の面

と云句、全く仕損じの句也。與風歳旦よかるべしとおもふ心、一にして取合たれば、仕損じの句なり。云々            

(『芭蕉一葉集』「遺語之部」)

 師の云く、(略)上手の上には必ず仕損じ多し、愚老が當歳旦

年々や猿に着せたる猿の面 

 はまったくの仕損じの句なりと、我問ふ、師の上にも仕損じありや、答へて云ふ、毎句あり、仕損じたるに何のくるしみかあらん、下手は仕損じを得せず、云々。                                                                     

(『直指傳』許六著)        

 

人同じ所に留りて、同じ所に年々陥ることを悔ひて

 年々や猿に着せたる猿の面

句評解  

猿回しが、年々歳々春を祝ひに連れて来る猿は、年々歳々の同じ面を冠って踊る。其猿の如くに人も亦、年々歳々愚の上に愚を重ねて平凡に暮らす。其の老い行く姿の感慨であろう。

 芭蕉はこの句ををかしき句にて御座候と誇っていたが、許六に対しては、仕損じの句だと語ったが、『直指傳』に見えて居た、仕損じといふのは、豫期以上に良く出来たことを言ったので、「猿の面」の五文字が仕損じの所であらう。 

(『芭蕉全傳』山崎藤吉氏著)                      

 又詞に季なしといへども、一句に季と見る所ありて、或は歳旦とも定るあり                               

  年々や猿に着せたる猿の面

 如斯の類なり。                               

(『花實集』去来序。偽書と伝わる)                

 

《筆註》『類柑子』

元旦や狙にきせたる狙の面

 

《芭蕉》一月十六日、許六宛書簡。 

 御細簡辱く拝見致し、愈々御無事に御座成され候ひて珍重之に過ぎず存じ奉り候。先日は早々御入来候ひて又悉く、

少しの間素堂に罷り有り、御意を得ず、千万御残り多く存じ候。

年明け候ひて少し持病心に罷り有り候は餅のとがめにやと存じ候。

 昨日は淡州公へ参り、御宅へと存じ候処、段々他家へ入り重なり、日半ばに成り候故、延引仕り候。今日と明日去り難き隙入御座候間又延引、十五日六日の間にと心懸け罷り有り候間、かならず御尋ね申し上ぐべく候。

彦根より巻など参り候よし珍重、一覧申し度く候。若急々に逢ひなされ度き事も御座候はば、十四日御出で成さるべく候。

大かたは十五六の間御見舞ひ申し上ぐべく候。雨天雨風に御座候はば、又々延引仕るべく候。以上

  十二日           ばせを

              許六賀丈 貴報

 この年の芭蕉句

  はまぐりにけふは賣勝ツわかなかな       (真蹟)

 春もはやけしきとゝのふ月と梅              (赤冊子書留)

 旅人のこゝろにも似よ椎の花                  (続猿蓑)

 いざ子供ひるがほ咲ぬ瓜むかん              (真蹟短冊)

 夕顔や酔てかほ出す窓の穴                     (続猿蓑)

 蕣や昼は錠おろす門の垣                         (藤の実)

 川上とこの川下や月の友                         (続猿蓑)

 菊の香や庭に切たる履の底                     (続猿蓑)

 鎌倉は生きて出けん初がつを                  (旅館日記)






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最終更新日  2021年04月18日 14時26分52秒
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