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2019年06月02日
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日本製W型 ふくれの乙(おと)







  須田
国太郎氏著 昭和374月 京都新聞編集局

  発行者 川出孝雄  一部加筆

 

まるでお面のような顔というときは、無表情な顔という意味に使われることが多い。それ程に面の表情というものは動きのないこわばったものが多いが、実際、面そのものにも表情をもって造られているものがある。現にこの狂言面の乙(おと)は、それ自体滑稽な笑いを誘う面である。

ところがこの面を面として手にとって見ているのと、顔にかけてみるのとは大いなる相違かおる。私の友人が壬生狂言の土産に鬼の面を買って帰って彼の幼児に見せたことがあった。怖がるかと思うと一向左に非ずでいじくっていたが、それを親父が被って見せると、とたんに子供は泣き出したのである。それを外ずすとまた機嫌が直るのであった。

この事実からも面の表情が面だけに限られず、手足、休全休の仕草に表情があることがわかるのである。だからこの乙の面を被って泣くこともあれば、黙ることも可能なのである。もっと突込んでいうと面の付け方だけによっても同じ面が違った衷情を示すのである。

 であるから能、狂言では面を活かすか殺すかはそれをつける演技者の力によるところで、また逆にいって優れた面はそれだけ高い芸力を要求しているわけである。

  

ふくれの乙(おと) 茂山千五郎氏所蔵(京都国立博物館に出陳中)

江戸時代の作品で、他の乙に比べ強調され穴凸凹が特徴。

写真は面をつけた茂山千五郎師。






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最終更新日  2021年04月16日 18時52分38秒
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