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2019年06月15日
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カテゴリ:日本と戦争

 アジアに伸びる ロシアとアメリカ

著者 池田敬正氏・佐々木隆爾氏

    『教養人の日本史(4)』社会思想社 昭和42年刊 一部加筆

 

ウラジオストックでシベリア鉄道の起工式が行なわれたのは、一八九一(明治二四)年のことである。この事は、列強のアジア侵略が新しい時期を迎える合図となった。

この式にロシア皇太子ニコライ二世が出席したことは、この鉄道が、ロマノフ家が続けてきた植民政策-軍隊で領土を奪い取り、富源や商品の販売地を手に入れようとする政策に、役立てられる筈のものであることを意味していた。

しかし、その資金の大半はフランスの金融資本家から出たものであった。つまり、フランスの金融資本も、アジアの侵略から利益を得ようと目論見始めたのである。また、この翌年ウィッテが大蔵大臣の地位に着き、本格的な資本士族の育政策とともに、鉄道建設を急いだことは、ロシアの産業資本家もアジア進出を望むようになったことを示していた。ドイツも、この機会に乗じて、アジアに資本の投下地を得ようと、ロシアのアジア政策を後押しするようになった。

すでに半世紀以上も前からアジアに押し寄せていた列強は、帝国主義国としての侵略政策を、執るようになったのである。

イギリス・フランスなどが中国本土に設立していた銀行が、この頃を境として、貿易決算機関から投資を目的とする銀行に変わったのも、そのあらわれである。列強は、日清戦争を契機に、争って中国本土へ進出しはじめた。

一八九九年、ドイツが回川湾を九九ヵ年の期限で租借したのを始め、ロシアは日本が一旦奪った遼東半島を、イギリスは九竜半島と威海衛を、フランスは広川湾を、それぞれ租借した。租借地は、何れも軍事基地が置かれ、鉄道や銀行によって中国の鉱山利権などを手に入れる根拠地とされた。

なかでもロシアは、中国大陸と陸続きであることや、極東に派遣できる軍隊が圧倒的に優勢であることを利用して、侵略行動の先頭に立った。シベリア鉄道に連絡し、満州北部を通って、旅順に出る鉄道の敷設権や、朝鮮における金鉱採堀権・石炭採掘権・銀行を設置する権利などを手に入れ、さらに、満州と朝鮮を植民地にしようと企てたのである。

アメリカも、一八九八年、米所戦争でスペインを破り、キューバとフィリピンを支配するようになった。九八年にまず、広川と韓口を結ぶ鉄道の敷設権をせしめ、翌九九年、中国の「門戸開放」と「機会均等」を列強に宣言した。これは、すでに列強の手にある勢力圏や利権を、優勢な金融資本の力で、アメリカが取り上げる自由を主張したものである。極東は、こうして列強の争奪競作争の中心地となった。






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最終更新日  2021年04月14日 06時17分43秒
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