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2019年06月18日
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カテゴリ:日本と戦争

日清・日露戦争の基礎史料

 

    『歴史読本』 臨時増刊 1994・春号 入門シリーズ

                          一部加筆

 

 明治政府は成立当初から、隣国朝鮮の服属化に異常な執念を燃やしていた。留守政府による征韓論が、外遊組帰国により却下されたのち、日本は江華島事件をきっかけに朝鮮の開国に成功した。 

明治九年(一八七六)二月に調印された不平等条約である「日朝修好条規」(『大日本外交文書』)により、朝鮮は清国とは宗属関係をもたない「自主ノ邦」とされ、日本の朝鮮支配の第一歩が印された。

 かかる強硬な日本の外交姿勢は、朝鮮の宗主国と自認する清国との対立を生んだ。

日清の対立は、壬午・甲申事変を背景に、東学党の反乱をきっかけに、明治二十七年(一八九四)七月、日英通商航海条約が調印された直後〔条約改正の項参照〕、日清戦争に突入した。

 福沢諭吉をして「文明と野蛮の戦い」(『時事新報』記事)と叫ばせた日清戦争は、日本の勝利に終わり、下関条約が締結された。この条約で靖国の宗主権は完全否定され、日本の朝鮮侵略の条件が創出された。

しかし日本の大陸進出は、南下を国策とするロシアを刺激し、三国干渉を引き起こした。遼東半島返還を余儀なくされた政府は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん) (復讐を心に誓って辛苦すること。)」を合言葉に、ロシアヘの敵愾心(てきがいしん)をあおり日露開戦の準備を進めた。日清戦争敗北により「眠れる獅子」清国の弱体が暴露されると、欧米列強は争って清国の利権獲得に走った。とりわけロシアは満州を占領し、朝鮮まで勢力を伸そうした。ロシアの南下を恐れる日英両国は同盟を結び日本はこれを背景に、仮想敵国ロシアとの開戦を決意した。

 日露開戦が叫ばれると、少数ながら非戦論が唱えられた。社会主義者の幸徳秋水・堺利彦らは内村鑑三とともに「万朝報」で非戦論を主張した。社主黒岩涙香が主戦論に転向すると退社して平民社を創立して反戦論を継続した。たが、かかる叫びも、主戦論を主張する世論の前にかき消された。

 日清戦争後十年にして勃発した日露戦争は、「君、死にたまふことなかれ」(歌人与謝野晶子)の声を封印した総力戦の中で展開され、一進一退の状況下のもと、米大統領ル-ズベルト仲介による講和に持ち込まれた。講和はロシアの強硬な態度により進展しなかったが、戦争継続不可能の日本は譲歩して、ポ-ツマス条約が締結された。

それゆえ、韓国の支配権、樺太南部の割譲は明記されたものの、賠償金支払いが含まれない講和条約となった。そのため増税や多大な犠牲のなかで戦争に協力した国民は、講和条約の内容に不満を爆発させた。

 日本の韓国支配は、以後露骨に展開された。日露戦争後の第二次日韓協約で韓国を保護国とした日本は、安重根による初代統監伊藤博文暗殺事件を口実に、明治四十三年(一九一〇)、「韓国併合条約」(『日本外交年表竝主要文書』)を締結して、念願の韓国植民地化を実現するのである。(伊藤純郎氏 著)

 

日朝修好条規『大日本外交文書』四

 

    『歴史読本』 臨時増刊 1994・春号 入門シリーズ

                          一部加筆

 

大日本国

大朝鮮国ト素ヨリ友誼ニ敦ク年所ヲ歴有セリ、今両国ノ情意未タ洽ネカラサルヲ視ルニ因テ重テ旧好ヲ修メ親睦ヲ固フセント欲ス、是ヲ以テ日本国政府ハ特命全権弁理大臣陸軍中将兼参議開拓長官黒田清隆、特命副全権弁理大臣議官井上馨ヲ簡ミ朝郷国江華府ニ詣リ、朝鮮国政府ハ判中枢府事申(木憲)都、捴府副総管尹滋承ヲ簡ミ各奉スル所ノ諭旨ニ遵ヒ議立セル条款ヲ左ニ開列ス

 

第一款 

朝鮮国ハ自主ノ邦ニシテ日本国ト平等ノ権ヲ保有セリ、嗣後両国和親ノ実ヲ表セント欲スルニハ彼此互ニ同等ノ礼義ヲ以テ相接待シ、毫モ侵越猪嫌スル事アルヘカラス、先ツ従前交情阻塞ノ患ヲ為セシ諸例規ヲ悉ク革除シ、務メテ寛裕弘通ノ法ヲ開拡シ、以テ双方トモ安寧ヲ永遠ニ期スヘシ

 

第二款 

日本国政府ハ今ヨリ十五ケ月ノ後時ニ随ヒ使臣ヲ派出シ、朝鮮国京城ニ到リ礼曹判書ニ親接シ交際ノ事務ヲ商議スルヲ得ヘシ、該使臣或ハ留滞シ或ハ直ニ帰国スルモ共ニ其時宜ニ任スヘシ、朝鮮国政府ハ何時ニテモ使臣ヲ派出シ、日本国東京ニ至リ外務卿ニ親接シ交際事務ヲ商議スルヲ得ヘシ、該使臣或ハ留滞シ或ハ直ニ帰国ス

ルモ亦其時宜ニ任スヘシ

 

第九款 

両国既ニ通好ヲ経タリ、彼此ノ人民各自己ノ意見ニ任セ貿易セシムヘシ、両国官吏毫モ之レニ関係スルコトナシ、又貿易ノ制限ヲ立テ或ハ禁沮スルヲ得ス、倘シ両国ノ商民欺罔衒売又ハ貸借償ハサルコトアル時ハ、両国ノ官吏厳重ニ該逋商民ヲ取糺シ償欠ヲ追弁セシムヘシ、但シ両国ノ政府ハ之ヲ代償スルノ理ナシ

 

第十款 

日本国人民朝鮮国指定ノ各口ニ留在中若シ罪科ヲ犯シ朝鮮国人民ニ交渉スル事件ハ、総テ日本国官員ノ審断ニ帰スヘシ、若シ朝鮮国人民罪科ヲ犯シ日本国人民ニ交渉スル事件ハ、均シク朝鮮国官員ノ査弁ニ帰スヘシ、尤双方トモ各其国律ニ拠リ裁判シ毫モ回護祖庇スル事ナク、務メテ公平允当ノ裁判ヲ示スヘシ

 

第十一款 

両国既ニ通好ヲ経タレハ另ニ通商章程ヲ設立シ両国商民ノ便利ヲ与フヘシ、且現今議立セル各款中更ニ細目ヲ補添シテ以テ遵照ニ便ニスヘキ条件共、自今六ケ月ヲ過スシテ両国另ニ委員ヲ命シ、朝鮮国京城又ハ江華府ニ会シテ商議定立セン

 

「日清の戦争は文野の戦争」-福沢論吉『時事新報』

 

    『歴史読本』 臨時増刊 1994・春号 入門シリーズ

                          一部加筆

 

朝鮮海豊島の附近に於て、日清両国の間に海戦を開き我軍大勝利を得たるは、昨日の号外を以て読者に報道したる所なり。抑も今回の葛藤に付き、日本政府が注意の上にも注意を加へ、只管平和の終結を望みたるは隠れもなき事実なるに、世の中に自から身の分限を知らず、物の道理を解せざるほど怖しきものはある可らず。彼

の支那人は自から力の強弱を量らず、無法にも非理を推通さんとしても毫(すこし)も悛むる所なきより、止むを得ず今日の場合に立至りて、開戦第一に我軍をして勝利の名誉を得せしめたり。

我輩は此一報に接して漫に驚喜して狂するものに非ず。

開戦第一に我軍の勝利は素より日本国の大名誉として祝す可しと雖も、我が軍人の勇武に加ふるに、文明精鋭の兵器を以て彼の腐敗国の腐敗軍に対す、勝敗の数は明々白々、恰も日本刀を以て草を掃ふに異ならず、触るゝ所として倒れざるものなきは、尋常一様の事にして毫も驚くに足らず。唯予め期する所に違はずして、日本の

軍人果して勇武にして、文明の利器果して利なるを喜ぶのみ。素より僥倖の事に非ずとして、扨日清間の戦争は世界の表面に開かれたり。文明世界の公衆は果して如何に見る可きや。戦争の事実は日清両国の間に起りたりと雖も、其根源を尋ぬれば文明開化の進歩を謀るものと、其進歩を妨げんとするものとの戦にして、決して

両国間の争に非ず。本来日本国人は支那人に対して私怨あるに非ず、敵意あるに非ず。之を世界の一国民として人間社会に普通の交際を欲するものなれども、如何せん、彼等は頑迷不霊にして普通の道理を解せず、文明開化の進歩を見て之を悦ばざるのみか、反対に其進歩を妨げんとして無法にも我に反抗の意を表したるが故に、止むを得ずして事の茲に及びたるのみ。

即ち日本人の眼中には支那人なく支那国なし。只世界文明の進歩を目的として、其目的に反対して、之を妨ぐるものを打倒したるまでのことなれば、人と人、国と国との事に非ずして、一種の宗教争ひと見るも可なり。

苟も文明世界の人々は、事の理非曲直を云はずして一も二もなく我目的の所在に同意を表せんこと、我輩の決して疑はざる所なり。

斯くて海上の戦争には我軍勝を得て一隻の軍艦を捕獲し千五百の精兵を倒したりと云ふ。思ふに陸上の牙山にても既に開戦して、彼の屯在兵を鏖(皆殺し)にしたることならん。彼の政府の挙動は兎も角も、幾千の精兵は何れも無事の人民にして、之を座にするは憐れむ可きが如くなれども、世界の文明進歩の為めに其妨害物を排除せんとするに多少の殺風景を演ずるは到底免れざるの数なれば、彼等も不幸にして清国の如き腐敗政府の下に生れたる其運命の拙なきを自から諦むるの外なかる可し。

 

韓国併合に関する条約(一九一〇年八月二十九日公布)

 

    『歴史読本』 臨時増刊 1994・春号 入門シリーズ

                          一部加筆

 

『日本外交年表並竝主要文書』

 

日本国皇帝陛下及韓国皇帝陛下ハ、両国間ノ特殊ニシテ親密ナル関係ヲ顧ヒ、相互ノ幸福ヲ増進シ東洋ノ平和ヲ永久ニ確保セムコトヲ欲シ、此ノ目的ヲ達セムカ為ニハ、韓国ヲ日本帝国ニ併合スルニ、如カサルコトヲ確信シ、茲ニ両国間ニ併合条約ヲ締結スルコトニ決シ、之カ為日本国皇帝陛下ハ統監子爵寺内正毅ヲ韓国皇帝陛下ハ内閣総理大臣李完用ヲ各其ノ全権委員ニ任命セリ、因テ右全権委員ハ会同協議ノ上左ノ諸条ヲ協定セリ

 

第一条 

韓国皇帝陛下ハ韓国全部ニ関スル一切ノ統治権ヲ完全且永久ニ日本国皇帝陛下ニ譲与ス

第二条 

日本国皇帝陛下ハ前条ニ掲ケタル譲与ヲ受諾シ、且全然韓国ヲ日本帝国ニ併合スルコトヲ承諾ス

第三条 

日本国皇帝陛下ハ韓国皇帝陛下、太皇帝陛下、皇太子殿下竝其ノ后妃及後裔ヲシテ、各其ノ地位ニ応シ相当ナル尊称威厳及名誉ヲ享有セシメ且、之ヲ保持スルニ十分ナル歳費ヲ供給スヘキコトヲ約ス

第四条 

日本国皇帝陛下ハ前条以外ノ韓国皇族及其ノ後裔ニ対シ、各相当ノ名誉及待遇ヲ享有セシメ且之ヲ維持スルニ必要ナル資金ヲ供与スルコトヲ約ス

第五条 

日本国皇帝陛下ハ勲功アル韓人ニシテ特ニ表彰ヲ為スヲ適当ナリト認メタル者ニ対シ、栄爵ヲ授ケ互恵金ヲ与フヘシ

第六条 

日本国政府ハ前記併合ノ結果トシテ全然韓国ノ施政ヲ担任シ、同地ニ施行スル法規ヲ遵守スル韓人ノ身体及財産ニ対シ十分ナル保護ヲ与へ且其ノ福利ノ増進ヲ図ルヘシ

  明治四十三年八月二十二日

        統監  子爵 寺内正毅 印

  隆烈四年八月二十二日

        内閣総理大臣 李完用  印






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最終更新日  2021年04月14日 05時42分36秒
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