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2019年06月26日
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カテゴリ:日本と戦争

 日露間領土問題の歴史に関する日本国外務省とロシア連邦外務省の共同作成資料(1992 平成4年)

 

序 文

 この資料集は、日露両国国民、が、日本とロシアとの間の「領土問題」を正しく理解するための一助として、日露両国外務省が共同で作成したものである。

 クリル諸島への日本人の進出が南から、ロシア人の進出が北から行われた結果、一九世紀半ばまでに択捉島とウルップ島との間に日露の国境線が形成された。

一八五五年 二月七日付けの日魯通好条約により、この国境線が法的に画定され、択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、(しこ)(たん)(とう)及び(はぼ)(まい)群島は日本領、クルップ島以北の諸島はロシア領として平和裏平和裡に確定した。

 一八七三年 五月七日付けの樺太千島交換条約により、樺太全島における日本の権利と引き替えに、ウルップ島からシュムシュ島までの諸島が、ロシアから日本に平和裡に譲与された。

 一八九五年 六月八日付けの日露通商航海条約の締結時に一九五五年条約は効力を失ったが、同時に、一八七五年の樺太千島交換条約の効力が確認された。

一九〇五年 九月五日付けのポーツマス講和条約に従い、ロシアは日本に北緯五十度以南の樺太南部を譲与した。当時の日露両国の文書に照らして見れば、一九五三年の日露国交樹立以降、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属がロシアにより問題にされたことは一度もなかった。

 日本とソ連邦が外交関係の樹立を宣言した、一九二五年一月二十日付けの日ソ関係の基本法則条約において、ソ連邦は、一九〇五年のポーツマス条約、が有効である旨同意した。

 一九四一年 八月十四日付けの英米共同宣言(大西洋憲章)**ソ連邦は同年九月二十四日に参加**においては、米国及び英国は

「領土的その他の増大を求めず」、

また、

「関係国民の自由に表明せる希望と一致せざる領土的変更の行わるることを欲せず」

と述べられている。

 一九四三年 十一月二十七日付けの米国、英国、中国のカイロ宣言、ソ連邦は一九四三年八月八日に参加においては、

「同盟国は自由のために何等の利得をも欲求するものにあらず、また、領土拡張の何等の念を有するものにあらず」

と述べられている。

同時に、同宣言では、連合国の目的は、就中

「暴力及び貪欲により日本国が略取したる地域」

から日本を駆逐することにある旨述べられている。

一九四五年 二月十一目、米英ソ三国の首脳により署名された「ヤルタ協定」は、ソ連邦の対日参戦の条件の一つとして、「ソ連邦へのクリル諸島の引渡し」を規定した、ソ連邦は、ヤルタ協定により、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島を含むクリル請島のソ連邦への引渡しの法的確認が得られたと主張していた。日本は、ヤルク協定は領土の最終的処理に関する決定ではなく、また当事国でない日本は法的にも政治的にもヤルタ協定に拘束されないとの立場である。

一九四五年 七月二十六日付けの**ポッダム宣言**ソ連邦は一九四五年八月八日に参加は、カイロ宣言の条項は履行されなければならず、また、日本の主権は本州、北海道、九州及び四国並びに連合国の決定する諸小島に限られる旨を規定している。

日本は、同年八月十五日、ポッダム宣言を受諾し降伏した。

 一九四一年 四月十三日署名の日ソ中立条約により、日ソ両国は領土保全と不可侵を相互に尊重し合う義務を負っていた。同条約はまた、五年間効力を有する旨、及びいずれの一方も有効期限満了の一年前に廃棄通告をしない場合には、自動的に五年間延長されたものと認められる旨、規定していた。

 一九四五年 四月五日のソ連邦による廃棄通告により、同条約は一九四六年四月二十五日に失効することとなった。ソ連邦は一九四五年八月九日、日本に対し宣戦布告を行った。

 ソ連邦は、八月末から九月初めにかけて択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島を占領した後、

一九四六年 二月二日付けの最高会議幹部会令で、これらの島々を当時のロシア・ソヴィエト社会主義共和国に編入した。

 一九五一年 九月八日署名のサン・フラソシスコ平和条約は、日本がクリル諸島及び南樺太に対する権利、権原及び請求権を放棄することを規定している。しかし、同条約は、これらの領土がどの国に帰属するかについては規定していない。ソ連邦は同条約に署名しなかった。

 サン・フラソシスコ条約で日本が放棄したクリル諸島の範囲については、日本の国会における西的村条約局長の答弁(一九五一年十月十九日)、森下外務政務次官の答弁(一九五六年二月十一日)、同条約の起草国の一である米国の国務省による対日覚書(一九五六年九月七日)等において言及されている。

 ソ連邦がサン・フランシス・平和条約に署名しなかったため日ソ間で別個の平和条約締結交渉が行われたが、領土条項に関する立場の相違から合意に至らなかった。

 そこで

一九五六年 九月二十九日付けの松本日本政府全権代表とグロムイコ・ソ連邦第一外務次官との間の往復書簡において、両国間の外交関係を回復した後に領土問題を含む平和条約締結交渉を継続する旨が了解された。上記書簡はまた、日ソ両国間の外交関係の再開と、日ソ共同宣言の署名への道を開いた。

 一九五六年 十月十九日付けの日ソ共同宣言は、両国間の戦争状態を終結させ、外交・領事関係を回復させた。日ソ共同宣言においては、日ソ両国が正常な外交関係の回復後、平和条約締結交渉を継続すること、また、ソ連邦が平和条約締結後、歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡すことに同意することが規定されている。同年十二月五日、日本の国会は日ソ共同宣言を承認した。

同年十二月八日、ソ連邦最高会議幹部会は日ソ共同宣言を批准した。批准書の交換は、同年十二月十二日、東京において行われた。

 一九六〇年 新日米安保条約の締結に際し、ソ連邦は歯舞群島及び色丹島の返還の前提として、日本領土からの全外国軍隊の撤退という条件を新たに課した。これに対し日本政府は、両国の議会により批准された条約である日ソ共同宣言の内容が一方的に変更し得ないと反論した。

 その後、ソ連邦の側からは、日本とソ連邦との関係における領土問題は第二次世界大戦の結果解決済みであり、領土問題はそもそも存在しないとの立揚が述べられるようになった。

 一九七三年 十月にモスクワで行われた日ソ首脳会談の結果発表された、十月十日付けの日ソ共同声明においては、

「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが、両国間の真の善隣友好関係の確立に寄与する」

旨述べられている。

 一九九一年 四月に東京で行われた日ソ首脳会談の結果発表された、四月十八日付けの日ソ共同声明においては、双方は

「歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の帰属についての双方の立場を考慮しつつ領土画定の問題を含む日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約の作成と締結に関する諸問題の全体について」

話し合いを行った旨述べられている。また、同声明では、平和条約締結作業の加速化の重要性が強調されている。

 一九九一年 十二月に独立国家共同体、が創設され、日本によってロシア連邦がソ連邦と継続性を有する国家として承認された後、日本とソ連邦との間で行われて来た平和条約交渉は、日本とロシア連邦との間で継続されている。

 双方は、領土問題を「法と正義」に基づき解決する必要があるとの共通の理解を堅持している。

 一九九一年 十一月、エリツィン大統領は、ロシア国民への手紙において、日本との関係における最終的な戦後処理の達成の必要性を指摘しつつ、これらの島々の住民の利益に配慮していく旨述べている。

日本政府も、領土問題の解決にあたり、現在これらの島々に居住しているロシア国民の人権、利益及び希望を十分に尊重していく意向である旨明らかにしている。

 日本及びロシアの読者に供される本資料集には、二国間の領土画定に関する日露、日ソ間の基本文書及び本問題と関係のある一巡の他の文言及び資料を収録した。

   一九九二年九月

             日本国外務省

             ロシア連邦外務省






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最終更新日  2021年04月13日 05時21分53秒
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