カテゴリ:北杜市歴史文学資料室
輿石守郷 『甲斐叢記』入集者 輿石守郷 北杜市長坂町『峡北地方物故文化人集』 天保八年(一八三七)山本甚五左衛門二男として生まれ亀之助と云う。養父森喜の後を継ぎ、森郷から守郷と改める。堀秀成、落合直澄に古典和学を学び、和歌朗詠「えびかづら」発刊、本県歌道の隆盛に資した。居を甲府に移し、浅間神社・稲積神社仕祠官山梨神道分局長その他に任ぜられる。明治三十九年(一九〇六)又山梨湯田女校長として「伊藤うた女史」を援け、同校の発展に尽くした。明治四十年(一九〇七)八月七十五歳で没した。著書『甲斐古社考』『補正活語図解』『伊勢物語段解』等あり。 山春月 ほのぼのとさくらの上にほふりなし よしのゝ山のはるの夜の月 庭蛍 玉すだれゆらくと見しは己かやとの 柳にすたくほたるなりけり 立秋 ふる雨の音もきのふにかはるなり 雲間をわけて秋や立つらむ 名所雪 ふしの嶺もおなしひかりに明そめて 雪にはてなき武蔵野のはら 蚊遣火 翁の質 輿石えん子 さらぬだにかやの軒端のいふせきに 蚊やりたくなりなつの山里 窓前款 世のことはきかしとこもる窓のうちに うたても通ふ萩のうは風 秋夕 翁子息二十一年廿四才歿 輿石弓雄 なにとなくものおもはるゝゆふへかな 萩の上風身にしみてより 待月 いくたひかこゝろは峯をこえぬらむ 月かけおそきあきの山の端 『甲斐叢記』掲載和歌 ☆ 斑山(まだらやま)須玉町 巻の六 たずと云ふ然る事も有るにや よそめには花とや見らん斑山 ☆ 念場原(ねんばがはら)高根町 巻の六 信濃路や横吹おろしひまをなみ ねば野の雲雀あがりかねつも ☆ 朝日山塁蹟 高根町 巻の七 木立しゝ山はをくらく荒にけり 照るや朝日の名のみ残りて ☆ 朝陽山清光寺 巻の七 武士のやと山桜咲にけり あはれ昔の香に匂ひつゝ ☆ 釜無川 白州町下教来石 巻の七 若鮎つる釜無川は濁るなり くまな河原にすめる月影 ☆ 天童山景徳院 巻の八 古をしのふ眞袖につゆちりて あはれ身にしむ田野のやまかせ ☆ 笹子山 大月 巻の八 いろかへぬ笹子の山に夕立て 真白にふれり峰の初雪
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最終更新日
2020年06月13日 18時37分35秒
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