山梨県歴史文学館　山口素堂とともに

◇元禄九年（１６９６）三十六才

〇　岩城に帰りて逗留する。四月廿五日、内藤家より俳諧の御相手として五人扶持を給う。(岡田利兵衞氏・旧語と国文学昭32 ・4)

○　『翁草』(里圃撰) に発句六、沾圃・素堂・里圃等と一座する歌仙一。

◇元禄十年（１６９７）三十七才

〇　十月十二日、深川長慶寺に芭蕉の墓を移し、其角・専吟・彫棠・介我等と回愁の歌仙

興行。(『末若葉』『俳諧みゝな草」所収)

〇　『末若葉」(其角撰) に発句六、一座する歌仙一。

○　『誹諧錦繍緞』(其角撰) に発句一。

◇元禄十一年（１６９８）三十八才

○ 『続猿簔』(芭蕉撰) に発句二。

◇元禄十二年（１６９９）三十九才

○ 『皮籠摺』(凉菟撰) に発句三。

○ 『伊達衣』(等窮撰) に発句一。

◇元禄十四年（１７０１）四十一才

○ 『杜選集』(嵐雪撰)に朝叟・嵐雪・序令・沾洲・白獅・百里・新真と一座する歌仙一。

〇　『焦尾琴』(其角撰) に発句五。

〇　『きれぎれ』(白雪撰) に発句四。

〇　『乙矢集』(東鷲撰) に発句五。

◇元禄十五年（１７０２）四十二才

〇　三月刊『花見車』(轍士撰) に太夫に擬せられ「心だておとなしく、三味線もひかんす

ゆへ、身うけもなされたり。つもれる文蓬莱より都にも聞およびしが、好きらひのある風

俗なり。つとめの内ねむらんせずばよかろ」と評せられる。

〇　十二月十四日夜、赤穂浪士復仇。十五日未明、子葉よりの書簡とどく。

　尚々尤世に沙汰御座候迄は御沙汰被成被下問敷候以上

其後は彼是御無音背本意奉存候。

何茂様御堅固に御座候哉。

扨者私義所存之一筋難止今晩存立候趣御座候。

年来御懇意に罷成候、

一道御伝御厚情彼是以生々世々に及申候事に御座候。

山をぬく力も折れて松の雪

春帆・竹平も同じ道にて候。

涓泉は御存の如くにて御座候。

御恩借の御蒲団は申談て其儘打捨置申候。

御一句之引導奉頼く候。　以上

十二月十五日　　　　　子葉

沾徳先師　　　　　　　　　　　　　」

〔註〕『沾徳随筆』に

「浅野氏家臣四十六人の内春帆（富森助右衛門）

・子葉（大高源五郎）竹平（神崎與五郎）涓泉（芽野三平）

 皆予俳門に入て秀作たり。」とある。

○ 『二番鶏』(了我撰) に表六句。

○ 『ふたつ竹』子葉撰) に発句三。

○　歳暮吟「行年を猶活計の秤かな」

元禄十六年（１７０３）四十三才

◇宝永元年(元禄十七年　１７０４) 四十四才

○ 『分外』(艶士撰) に発句一、艶士・嵐雪・青洋・琴風・風葉と一座する歌仙一。

○　『菊の塵』(園女撰) に発句一。

○　『並松』(竹宇撰) に発句六、雪中庵興行の「永代橋眺望」の歌仙他一座する歌仙二。

○　歳暮吟「うちくと蛆わく神も年の市」

◇宝永四年（１７０７）四十七才

○　歳旦吟「分別の古郷はなし下馬の春」

〇　二月三十日、其角没。追悼吟「世の中をざれ絵ざっとの桜かな」

〇　四月十八日、深川泉竜院にて冠里・秋色・嵐雪・青流・朝叟・序令・百里・桃隣・沾

洲等と共角の七七日追善百韻興行。(『類柑子』所収)

〇　十月十三日、嵐雪没、追悼吟「此に絶ぬ芭蕉が遺風しもあられ」

〇　十月、雪中庵の霊前にて百里・周竹・序令・甫盛・沾洲・秋色・青流・神叔等と嵐雪

追悼の歌仙興行。(『風の上』所収)

○ 『類柑子』(其角撰) に発句三、附句二、一座する歌仙一、百韻一。

○　十一月刊『風の上」(百里撰) に発句一、一座する百韻一　露沾の嵐雪追悼句に続けた

表六句。

◇宝永五年（１７１５）四十八才

享保元年(正徳六年)丙申五十六才

○ 八月十五日、素堂没。追悼吟「月に句の琢麿は残し石の苔」

○ 暮、素堂猶子雁山に言い遣す。「下の客に折る迄貰柴の露」

享保二年丁酉五十七才

安永四年乙未

○ 『俳諧五子稿』(朝陽館撰) に言水・去来・素堂・来山・沾徳の句集を編纂。

寛政十年戊午

○ 『俳諧二冊子』(沾山撰)出板される。

寛政十一年己未

○ 『十家類題集』(八千坊撰) に言水・嵐雪・来山・蕉村・其角・希因.芭蕉・素堂・麦

林・沾徳の句集が編纂される。