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2020年08月22日
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カテゴリ:山梨の歴史資料室

※ 世に知られる甲州の紀行・日記

 

解題 『甲州の道中記』 〈校注者〉鶴岡節雄氏著

   略歴   1915年千葉県生まれ

   主な著書「房総文人散歩」(千秋社)

       「十返舎一九の房総道中記」(千秋社)

       「歴史小品上総のくに」(総南文化研究会)

       「山東京伝の白蘭源太談」(千秋社)

       「仮名垣(書き)魯文の成田道中記」(千秋社)

 

  一部加筆 山梨 山口素堂資料室

 

 江戸以前では、文明十八年(一四八六)道具の『廻国雑記』があり、

江戸期にはいって、貞享三年(一六八六)大淀三千風の『日本行脚文集』などがあるが、

江戸中期、宝永三年(一七〇六)荻生徂徠の『風流使者記』及び『峡中紀行』は、本格的な紀行の出現といえよう。(この両著については後記)

庶民の台頭する江戸後期は、社寺参詣、物見遊山の盛行とともに数おおくの日記、紀行が残されたであろうことは想像にかたくない。

 寛政二年(一七九〇)富士登山をした加茂季鷹の『富士日記』は、文化十一年(一八一四)に板行されたが、前述の大野村名主の日記や芳沢氏の『道記』のようなものは、世にあらわれることもなかったのである。

 

 十返舎一九やその亜流の戯作は、このような社会的文化的背景から生まれたことは言うまでもないだろ    

大野村名主日記帳、八王子の項に

「八王子『きの字宿』に一宿、よき町也、きの字屋身上ト見ル、此所下女ノ方へ巾着切に不行、夜明テ見付残念」

とあり、また曽我野の項には

「みとりやに一宿、和尚大鼻、右之方ニ而ハ内の男かよりか女参、夜中のたわむれ、其上祭り出来、扨々寝られず大難義致候」

などとある。まさに滑稽戯作の生地。

 安政四年(一八五七)

鈍亭(仮名垣)

魯文の『甲州道中膝栗毛』

万延元年(一八六〇)の『同行笠名所杖滑稽冨士詣』は、一九の亜流であろう。同書四編序に岳亭春信は次のようにゴマをすっている。

「彼十遍(返)舎が此世に在とも、一九も出さる出たらめも、自然とそなハる戯作の妙案、雷盆(すり鉢)形の富士の記に、胡麻をするがと謗らバそしれ、嘘ハないぞへ本文を、読でみなさん作者の才ハ、長道中の足ともに、走るを知らせ玉へかし----

 さて、大野村名主の日記と同年(安永九年)には、水野猶忠の『甲州道中記』があり、

文化年間(一八〇四~一八一七)には、清水浜臣の『甲斐日記』がある。

江戸末期から明治にかけては、

天保七年(一八三六)無窮神習の『甲州道中記』、

天保九年(一八三八)寒雲老人の『津久井日記』、

同十二年(一八四一)安藤広重の『天保十二年卯月日々の記』

(俗に『広重甲州道中記』本文に引用、後述)、

弘化三年(一八四六)栗本鋤雲の『登嶽日記』、

嘉永三年(一八五〇)黒川春村の『並山日記』、

万延元年(一八六〇)の『松亭身延紀行』、

慶応二年(一八六六)霞江庵翠風の『甲駿道中之記』(内題『甲州道中記』)、

明治十三年(一八八○)池原香昇の『美登毛能数』、

明治三十五年(一九〇二)阿部弘蔵の『入峡記』、

明治三十九年(一九〇六)邨岡良弼の『甲信紀程』などがある。

これらの大部分は、『甲斐志料集成』や『甲斐叢書』などに収録されている。






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最終更新日  2020年08月22日 07時40分24秒
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