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2020年08月26日
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カテゴリ:山口素堂資料室

山口素堂追善 草庵五物『通天橋』雁山編(『甲府市誌』「資料編」巻四近世3)

 

一、高眠石   此灯籠  出、甲斐根

かゝげて尽て鬚も怪我なし蛬              素丸

 

一、夢山                手水鉢   出、甲斐根

ばせを覚て今ぞまことに一檜杓

 

一、今日掛物  宗旦筆

中秋の辞世風雅の人目出ざらめや。往日元伯が書る今日庵のいほりをけづりて、けふ

といふ文字ばかりはむべつきなからずとて毎に弄ばれたるを

有明はけふの素堂の名残かな              郁文

 

一、三澤印硯  銘  竹洞子記(人見竹洞)

三潭印月硯      釈心越禅師及有一見 。竹洞子記(人見竹洞…幕府儒官)

端石圓而大不満尺。石面如 高山聳峙有 其中自然淵 。

濃意味不似異石。所謂為 硯海有 三孔 偶通墨矣。

謂下與 西湖景一三潭印月硯。尚 子於二記中詳焉。

雲起す硯の潭の秋の風            雁山

 

一、唐羽織

竹皮をもて衣にせんは蓑に似たるべし。素堂翁のからなく愛せしうへのきぬは、我が日のもとの袖笠をからず、野服に似てまた異なり。司馬君実はいにしへの裁縫をしたひしにもならはじ、只虎ふす野べの風ふせぎ、おもしろしと斗打はをり給ふなるべし。

洗ひうつ拍子ぬけてをから衣      湖十

 

『通天橋』雁山編(『甲府市誌』「資料編」巻四近世3)

諸相如華具三十三(抜粋)

一とせ野竹洞老人より素琴を送られける趣を

月見前聞たことありいとなき世    露柱

 

《註》…入集者…花千・雪声・千泉・文江・鳳干・竹泉・風谷・亀十・知十・〓風・硯魚・葵笠・文露・也覧・万蝉・里十・貫十

 

素堂、『通天橋』素堂一周忌追善集。黒露編。(その2)(別掲)素堂の生涯を探る上で重要な記述が見える。

 

『通天橋』雁山編(『甲府市誌』「資料編」巻四近世3)

『通天橋』雁山編(『甲府市誌』「資料編」巻四近世3)

一回忌 八月十五日

水の浪の生るを放つ寺参り        湖十

取しまりなき風の瓢箪            雁山

虹 に独手斧の月暮て            諾自     (三十六韻、以下略)

 

一周

誰と啼て臥流の底にけふの月      謝道

庭も樹も初汐くもり空寒し        諾自

秋春秋夢ともいはじみだれ芦      雁山

 

『通天橋』雁山編(『甲府市誌』「資料編」巻四近世3)

悼亡

いつはむかし、素翁が母七十七歳の秋七月七日に、万葉の秋のなゝ草の小集あり、七

もとの草花を誰かれと風狂せし俳の七叟なり。その敬莚は

七かぶの萩の千もとや星の縁      芭蕉

けふ星の賀にあふ花や女郎花      杉風

星の夜よ花び紐とく藤ばかま      其角

布に煮てあまりぞさかふ葛の花    沾徳

松江の鱸薄の露の星を釣          嵐蘭

動きなき岩撫子やほしの床        曾良

蕣は朝なくの御製哉                素堂  《註》…元禄五年の作

 

またいつの秋か、其人さへ半ばなくなりにけりとて、星やあふ秋の七草四人なし、と口ずさまれしが、今はためしも其なき数に入ぬ。つらくそのことをおもふに、含飯両頬ひもいと情厚くもの教へられしに付て其徳百にして一つをも報せず、ひと

ひ古き皮籠の内をみるに、かひやり捨たる艸紙の一まるけあり。半は往年成し序の草案也。二たび舅氏にあふ心地して、嬉しさも猶哀先だちぬ。さることのさし置がたく、かの手向のはしの一つにもやと、いやしきを忘れ犬馬の労を費し、其まちくの名を拾ひこゝに呈。

昔翁拾 桶枕俳漱レ流 有花有茗供堂静謳。

鉢扣瓢壙 鵆掛浦惆 菊塵垣顕    梅時窓幽

風上漂泊 入誰袖 留

猶この艸々に洩けんも有きかし。また過し宝永丁亥の秋わらわやみに煩ひて例ならずやみ、末葉の露消がてに心ほそきゆふべ、

わすれめや瘧の間日のあき風

と吟なりぬ。さらに契りにや有るけん。からうじて病ひかるくなり行まゝ閑なる夜往んし云捨たる句ども、三十六番をみづから左右に別て、鍼灸の人の許へ送られしか。

、誠に風雅に心をよすること花鳥風月ここに年あり。尚はかなりしは、度々の回録にとしごろ愛せし蓮池も水かれて、むなしき旧地に一草廬を結び、すげもなき竹のみ四もと三もとして、唯に茶と仕舞と我を慰るの友なりと、常に興ぜしもむことくさの種とや。歳々歯ひかたぶき、近きころ一向に老衰して、幽棲の月も独詠がちなり。多病故人疎じとやらん、問い来る人も緒たえのはしのたえてやは、一ツ橋あやうきことにつけても朝ゆふべの心も安からず。長明が手のやっこ足の乗物は

さることにて、此翁五十余り(?)の頃より、偶のたま鉾も歩行なりがたく、まいて其春よりはいとゞ衰て、水無月の暑影にもけふの命もあすのいのちもと思ふよとごち給ひしか。程なく病床に打臥しはふ月の末なり。日ごろ近きにと僕伝九郎が知らせ来るに、急ぎものして一夜ふたよ病をたすけしもつゐのこととなりて、薬つめたく床あらはに、中秋の夕とみの終りをとりぬ。かなしきことども多かる。明る十六日の暮方に谷中感応寺に葬り、親き者のみつどひよりてかたのごとく孤墳を建つ。干時翁七十五。終焉の句とてもなかりしか。それの春野夫京師に侍りしに、ことの便りに此句にて心得よとていひ送られしか。猶その際迄も都の花をしたふこゝろいと浅からずや。

実に今おもひ合すればとく其期を知れるにや。かの文の奥に

初夢や通天のうきはし地主の花      素堂

享保二酉八月中旬

吉田宇白板

 






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最終更新日  2020年08月26日 17時10分27秒
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