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2020年09月07日
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カテゴリ:著名人紹介

光悦謡本

 

光悦謡本は、謡曲版本の最も古いもので、上木の年男は不詳であるが、古傳や、慶長版の他書との比較で、慶長年間の版行と推定せられて居る。又それが光悦本と称せられて居るわけは、本阿弥光悦が、本文及繪の版下を書いたからである。

 此の本は、一番一冊で、曲名は表紙にのみ記され、本文は、一枚の第一行から書き下されて居る。版の大きさは、今の半紙よりやや幅広ではあるが、やはり半紙本ともいふべきで、烏子紙両画刷粘葉綴の上質と、普通紙刷普涌綴の並製とあって、表紙には、種々薄色の色紙が雑ぜ用ゐられ、それに雲母摺で絵模様が刷り出されて居る。又上製の烏子紙本には、薄色五色の紙を取り交ぜたものや、白鳥子紙に雲母摺で絵模様を出したものなど、色々ある。上製本は、之を箪笥に入れ、五冊づつ一つの抽出に容れて、贈輿したものらしく、並製本は十冊づつ十段の重箱に容れ、外箱を以て之を覆うたものを用ゐたとの事である。

 冊数は、凡て百冊、即ち百番であるが、印刷の度毎に、多少其の番組を変えへたと見えて、本に依っては、百番の番組に、多少の出入がある。

 

 光悦本には、「扇の草紙」や、「歌仙」の如き、絵入整版のものもあるが、謡本は、木版活字本で、一字又は二字三字連続した木活を七行十三字詰に組み合はせて、印刷したものである。

従来の木活ものは、皆漢字楷書のものばかりであつたが、之を行草書又は連続した平假名に施用したといふ點に於いて、光悦本は注意すべきものである。

 光悦謡本には、前記百番本の外に、「久世舞」即ち亂曲集がある。これは八行十五字のもので、表装烏子紙本と同製であるが、文字の連続には、百番本より、精巧な所がある。

 光悦が藝術的意匠になる雲母摺の圖案式模様、巧妙な木版活字、及特殊の料紙、是等は賓に光悦謡本の特色で雅致に富んだ最古の謡曲版本として、それは永久に傳えらるべき貴重品であらねばならぬ。

(是處に出したのは、光悦本「高砂」第一枚の表)








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最終更新日  2020年09月07日 20時55分33秒
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