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2020年09月08日
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カテゴリ:著名人紹介



奈良絵本 笹川臨風氏著

 

平安朝に流行した絵巻物は鎌倉時代に入って全盛を極めた。或は合戦物、或は高僧伝、或は御社佛閣の縁起を画いたものが数多く出た。此傾向は尚足利時代にまで及んだが、此頃に於いて舊画派は凋落し、新しい宗元の水墨画が流行することゝなり、家屋の建築も異り、床の間に掛物を掛けるようになりて、絵物巻は漸く其影を潜めんとするに至った。

 然し御伽草紙の類を絵巻物に取扱ったものもあった。『福富草子』の如きはそれである。又絵巻物は其形を替えて、冊子体となったものがあった。即ち奈良絵本である。

『大江山絵詞』

『伊吹山絵詞』

『日高川絵詞』

『西行法師絵詞』

『十二類絵詞』

『付表御絵詞』

『鏡破翁絵詞』

『佛鬼軍』

の如き、僅かに絵巻物の残喘を保ったものもあったが、物語草子と称するものは、多く奈良絵本の形となって広く行われた。絵詞の類又は御伽草紙が其の主なもので、横本もあれば絵本もあった。紐紙に金砂子、或は金泥の雲霞、若しくは草花の類を図案化した表紙で、處々に絵を挿んでいる。足利末葉の土佐派餘流の筆に成った仕入れ本のこととて、精妙のものではないが、朱、緑青、胡粉、金銀泥等の彩色を用いて、美しく描かれている。

 今此に載せるものは、『大職冠』の挿絵である。『大職冠』は即ち舞の本で、幸若舞三十六番の一である。御伽草紙、絵紙以外に舞の本なども往々奈良絵本中に見えるので、これは其の一例である。

 

これをば知らで、

まんと順風に帆を揚げ、

心に任せ吹かせ行くに、

日頃ありとも覚えぬ所に島一つ浮かべり。

見れば旗おし飜えし、

黒金の楯の間よりも創や敦の稲光り、

たうぢやうの影どもが雲霞の如く見えければ云々

 

とある段を描いたものである。






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最終更新日  2021年04月10日 17時46分08秒
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