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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2020年09月12日
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山陰 旅情ガイド


『文学の旅 ⑬ 附録』


山陰は、東西に長々と延びた中国地方を二つに分けた北側を占める地域ですが、南側の山陽と比べると、いろいろな面で対照的であると共に、多分に損をしているように思われます。

まず第一に、地方名を陰陽で分けたところに、文字からくる印象にかげりが感じられて、明るい山陽に対して暗い山陰というイメージを最初から与えるのです。

なるほど山陽は、東海地方とともに日本の大動脈ともいえる地方で、人口も多く、文化もいち早く発達しました。それにひきかえ山陰は裏通り的な役割しか果せませんでした。

長い間、そういう風土に馴らされてしまったのでしょうか。

 

ところが、世の遷り変りはおかしなもので、昨今の旅行ブームで、旅人は裏通りのものさびたたたずまいを見せる山陰にどっと押し寄せ、ここがにわかに脚光を浴びてきました。

みんな山陰の旅情に郷愁をかきたてられるのでしょうか。

 

ところで、山陰と一口にいいますが、東は兵庫県の北部、豊岡・城崎あたりから、西は長門まで、約五〇〇キロの細長い地帯です。

列車やバスの数も多くなり、便利になったとはいうものの、これではコースのプランを立てるのはなかなか大変です。この長い一本道を始めから終りまで見物して歩くには、いくら暇があっても足りません。

そこで、山陰観光を上手にするためには欲ばらずに、ポイントを紋ることです。

幸いなことに、山陰と山陽を結ぶ線は意外と多いのです。和田山と姫路を結ぶ播但線、鳥取と津山・岡山を結ぶ因美線、伯耆大山と倉敷を結ぶ伯備線、宍道と芸備線広島を結ぶ木次線、益田と山口・小郡を結ぶ山口線、長門と厚狭(あさ)を結ぶ美祢線などが、中国山脈を横断して、日本海側と瀬戸内をつないでいます。

この線を利用すると便利です。つまり山陰の観光だけに限らず、途中のコースに山陽を組み入れるという形で計画するわけです。そうすると、中国山地を挟んで変化する山陰と山陽の風土の違いが楽しめます。

旅の楽しさ、印象というものは、より大きな変化があればあるほど深くなるもので千 人工美があるから自然美が尊ばれ、ひなびた自然があるから華やかな都会が楽しいのです。

回遊券が喜ばれるのは、ただ単に延べ距離になって運賃が安くなるというだけのことではなく、旅程に変化をもたせるという大きな意味があるのです。

 

京都から山陰に入り、城埼・鳥取砂丘・鳥取海岸・倉吉・大山などを訪ね、伯備線で岡山へ出て、山陽観光をプラスするのも一つの手ですし、新幹線の終着岡山を基点として、倉敷・広島・岩国を回り下関から山陰に入り、青海島・秋芳洞・萩・津和野・大社・松江などを巡り、伯耆大山から再び岡山へ帰るコースも一つのテです。

コースについてはいろいろ自分で変化に富んだプランを作るのは楽しいものです。

四月頃から十月頃までのシーズンは海も空も明るくて訪れる人も多く何かと便利。

十二月から二月頃までの海は灰色で荒々しく、どんよりした曇り空か続き、雪の日が多くなります。明るい春、海に山に若者が躍動する夏もいいのですが、やはりいちばん山陰が美しいのは秋です。

山陰の旅となると、どこから行くにしても相当の日数が必要になります。

一週間も10日も過すうちには雨の日もあるでしょう。こんな日には民芸品や郷土の味を探訪することです。

味覚にしても民芸品にしても数が多く、事欠きません。また、萩や津和野などの観光にはレンタサイクル(貸自転車)を利用することをおすすめします。

タクシーやバスによらず、のんびりと気ままに、自由に自転車で巡れば、町の情緒がいっそう深く味わえるのではないでしぅうか。

 

山陰 女性に人気のある古きよき町

 

松江

 

松汀城から市街を眺めると、近代的なビルが建ち、新しい都市としての松江市がわかりますが、城

を降りて街なみを歩いてみると、濠に映る柳の風情や崩れかけた武家屋敷の築土があって、松平不昧公以来の伝統が未だに消え去っていないことがわかります。

 

松江は、宍道湖と中海に挟まれた沖積地に開けた都市で、中央を大橋川が流れています。これに架かる松江大橋には展望所があり、東には伯耆富士、西には嫁が島を浮かべる宍道湖の先に三瓶山が眺望できます。市街は宍道湖岸側に開け、繁華街は松江大橋通りが中心です。

 

大橋川の北側一帯は水路が多くて景色も良く、ほぼ市の中心にある城山公園を始めとして北側の小泉八雲旧居・同記念館や、西側に月照寺、東北に菅田庵(かんでんあん)、楽山公園などの史跡・名勝があります。

 

大橋川の南側には天神川加東流しており、その南に八重垣神社・神魂(かもす)神社などがあり、また大庭町一帯には山陰地方の代表的な古墳がたくさんあります。

 

松江温泉は宍道湖の北岸、一畑電鉄松江温泉駅の西側にあり、旅館の他にレジャーセンター・名産センターなどのモダンな建物が軒を連ねています。名産センターヘ行って、二階の郷土民謡館へ入ると、町の有志による安末節やどじょうすくい、銭太鼓などが見られます。一日四回。

 

不昧公の町だけに銘菓がずらり。らくがん「山川」、求肥の「若草」その他菅公子・出雲風土記など。

 

城崎

 

 山陰地方の代表的な温泉のひとつである城崎は、大谿(おおたに)川の両側に並ぶ旅館が、川岸の柳

並木とマッチして、明るいうちにもどこかしっとりとした情緒を漂わせています。そこに何故だか格調の高さを感じるのは、古くから文人たちに親しまれてきた場所であるという歴史があるせいかも知れません。

この温泉はむかし湯島とよばれ、舒明天皇の時代(七世紀)から湧いていましたが、八世紀に道智上人が浴場を設け、難病をなおしてから有名になりました。

駅から一キロ半のところには道智上人の創建になる温泉寺(重文)があり、その寺の背後に大師山があります。石山からは温泉街はもちろん日本海の波濤を遠く望むことができます。

町の東面を流れる円山川を下ると、約四キロで日本海に出ます。

日和山・但馬海岸を探勝する基地にもなっています。

 

津和野

 山口線に沿い、山に囲まれた細長い町津和野は、静かなたたずまいをみせる古い城下町。人口ー万あまり、町の中心部に一千戸ほどの人家が並んで、町を縦に流れる錦川にはゆったりと鯉が泳いでいるといった風情です。

およそ七百年の昔、開祖吉見頼行が封地されて以来、維新までこの地方の政経文化の中心として栄え、藩政の史跡がそっくり残って、静かな城下町のたたずまいを見せています。

津和野駅裏手のゆるい坂道を登ったところにある乙女峠は、キリシタン流罪の地で、幕命によって信徒を収容していた光琳寺のあった所。いまはその跡に小さなマリア聖堂があります。

 

歴代城主の菩提寺である永明寺の苔むした門の左手には、森鴎外と坂崎出羽守の墓があります。森鴎外が十一歳まで過ごしたという小さい藁葺の家は当時のままで保存されており、津和野川の対岸には西周の旧居があります。

 

三本根城ともいわれる津和野城跡からは津和野川を挾んだ街並が一望できます。

日本五大稲荷の一つという稲成神社は、朱の鳥居がトンネルを造っており、参拝者が絶えません。

 

藩校や家老屋敷のあった殿町にあるカトリック教会は、小さい教会ですが、白い漆喰で固めた商家の土蔵に囲まれ、すぐ横の溝には鰹が遊泳するといった所。

歩くより自転車でという人は駅前に貸自転車があります。

 

 萩

朽ちかけた土塀の上に、夏みかんの枝が重そうに下って、その前を若い女性が自転車で走り去って行きます。萩という町は、歴史の重みの上に現代の花が咲いたというような明るい感じの町です。

津和野にしても萩にしても、ゆっくり歩いて見たい町です。歩くのがめんどうならば自転車を借りて廻るのも良い方法です。また観光には、何かにつけて萩駅よりも東萩駅の方が便利です。

 

指月山麓にある萩城は、毛利輝元が築城し、山口に移るまで居たところで、一名指月城ともいいます。建物は明治四年に解体、いまは塁を残すのみです。本丸跡は指月公園になっており、園内に志都岐山神社・江風山月楼などがあります。

 

反対側の東萩駅の東南一キロには吉田松陰を祭る松陰神社があり、境内に松下村塾、その東に松陰幽囚の旧宅があります。また近くには、伊藤博文旧宅や東光寺・松陰誕生地があります。

市の中心部には藩校の明倫館跡があり、これは水戸の弘道館、岡山の関谷学校とともに日本三館といわれた学校。ここには日本最初のプール水練池があります。

萩は貸自転車の盛んなところ。秋のシーズンなどは市内の三〇〇台近い貸自転車がフル回転とか。

市内いたる所にあります。









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最終更新日  2020年09月12日 22時15分24秒
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