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天智天皇(万葉集) 渡津海の豊旗雲に入日さし 今夜の月夜清明けくこそ
『文芸春秋』デラックス 「万葉から幕末まで 日本名家の旅」 一部加筆 山梨歴史文学館
中大兄で出ている。のちの天智天皇 この時は斉明天皇の皇太子であった。歌は、三山歌の反歌として伝えられている。
香具山は 畝傍(うねび)を 愛(を)しときたちて 耳梨(みみなし)と相争ひき 神代(かみよ)より 斯くにあるらし 古(いにしえも)も然なれこそ 現身(うつせみ)も 嬬(つま)を争ふらしき
反歌
香具山と耳梨山と会ひしとき立ちて 見に来し印南国原(いなみくにはら)
この次に置かれている反歌の二であるが、左註に「今案ずるに反歌に似ず」とあるから、万葉編集当時、三山の歌とすることに疑問が持たれていたのだろう。 しかし反歌の一は「立ちて見に来し印南国原」である。反歌でないとしても、「渡洋海の豊旗雲」である。印南野の海岸あたりでの作と受けとってもさしつかえない。
海の上の旗のような雲に赤々と入日がさしている。 この具合だと今夜の月はきっと明るく照ることだろう。
というほどの意である。この歌の結句は原文「清明己曾」であった。 いろいろの訓みがあるが「あきらけくこそ」がよいと思っている。「こそ」は願望を意味するから「あきらかであってほしい」という解もあるが、「あらめ」を略したという説に私は賛成している。 すばらしい歌で、万葉集中に多く比を見ない。荘厳であり壮大である。 (前川)
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最終更新日
2020年09月17日 14時41分51秒
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