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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2020年09月19日
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カテゴリ:山梨の歴史資料室

山梨 語り継がれた 故郷のうた 

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

苗取歌  

○ョー、今日の、苗も終へるに、アーヨーナ、稲子は、どーこにとーまるー。アーヨーナ。

 ○とりょい苗だよ、いつ蒔いた。雨風あはいで、春蒔いた。

 ○けさーない(苗)の、つゆ(露)ーでは、そーじよ(袖)をー、濡れいたよーな-。

 ○苗とりー上手の、苗取るはー、あ-本い手をー、いーれて。

 ○しこくまーきの、なーい(苗)をなー、おーしーめーぐーりとらうよー。

 ○なーヘーじーりのかーたーいはー、たろーじのかーほがみらーれーなー.(南巨摩郡)

 

田植歌  

 

○なまけちや、くれちょ、早少女衆。この下に三斗五升まきの田がある。(西山梨郡)

 ○オ-ヤレナ-ヤレヤレナ-、早少女しゆ-、田を植ゑてしまへば、左うちわで。

 ○オ-ヤレナ-、ヤレ、ヤレ、ヤレナ-。餅揚かね-やつは、うそつく年のく-れ。

 ○オ-ヤレナ、今日の(苗)代はよい代だ。

 ○オ-ヤ-レナ、お馬でかいたかこの様に。

 ○なまけちやくれちょ早少女衆、この下に二斗五升撒きの田がある。

 ○はや田を植ゑて農休み、連れ立ちて行きたい、伊豆の湯-ヘでも。

○オ-ヤレナ-、植ゑで青ませ、穂にまで咲かせ、食はで行くのが女の緑々。

○オ-ヤレヨ-、こひする海や-、どこにある。

富士山の裾野にたんだ-ひ-も-と-、

富士山の-すそのにたんだ-ひ-とも-と-。

○五月がくれば思ひ出す。お隣と水掛論でうたれた。

○我子になさけ掛けるよりも、房さん嫁子になさけをかけなさい。

○植ゑ田の中へ植ゑ込まれ、親達見るか笠のあひから。

○植田の中へぬれくと、植田はほさつ田の神よ。

○昔の歌は理をせめぬ。今の歌は皆人身のことばかり。

○はょ田を植ゑて、農休み大塚沼へ花見に。

○植田の中へねさねさと馬鹿野郎。植田は菩薩田の神よ。

○太郎次のとの々、お田植にや、東が白む。横雲が、引くんょ-、横雲が。(朝)

○かきねをならすきりぎりす、今宵は戻れあすの夜に。(夕)

○太郎次の、とのはどれがそだ。

七とこぬひめのはめりがさ、ま-せんよ-はそりがさ。(畫)(西八代郡)

○こ-こ(此処)は、と-のの、みおろし-、よくう-ゑて、た-もÌ-れよ-。

○おてんたう(天道)様の、ひ-かりが、みづにもひ-かり、かも-やき。

○けふ-のた-の-えしろうま,こま-、千匹おろいた。よいしろかいた。

をんな(女)がかいたか、このやうに。

○オ-ヤレナ-、植えて青ませ、穂にまで咲かせ、食はで行くのが女の緑々。

○オ-ヤレヨ-、こひする薄や-、どこにある。

富士山の裾野にたんだ-ひ-とも-と-、

富士山の-すそのにたんだ-ひ-とも-と-。

○五月がくれば思ひ出す。お隣と水掛論でうたれた。                ヽ

○我子になさけ掛けるよりも、舅さん嫁子に情けをかけなさい。

○植ゑ田の中へ植ゑ込まれ.親達見るか笠のあひから。

○植田の中へぬれぬれと、植田は菩薩田の神よ。

○昔の歌は理をせめぬ。今の歌は皆人々のことばかり。

○はよ田を植ゑて、農休み大塚沼へ花見に。

○植田の中へねさねさ馬鹿野郎。植田は菩薩田の神よ。

○太郎次のとのゝ、お田植にや、東が白む。漬雲が、引くんよ-、横雲が。(朝)

○垣根を鳴らすきりぎりす、今宵は戻れあすの夜に。(夕)

○太郎次の殿はどれそだ。七とこぬひめのはめりがさ、

ま-せんよ-はそりがさ。(昼)(西八代郡)

○こ-こは,と-のの、みおろし-、よくう-ゑて、た-も-れよ-.

○お天道様の、ひ-かりが、みづにもひ-かり、かも-やき。

○けふ-のた-の-えしろうま,こま-、千匹おろいた。

よいしろかいた。女がかいたか、このやうに。

○よ-田を、うゑると知れたなら、松明もちて、こ-すもの-。

○みろみろ-、たろ-じ。まだ田は-、一反歩。一反斗りやすいよ。

走りばしり、植ゑうよ。

○おわか(別)れまうすよ田の神、みやうねん(明年)こそ參らうよ。

○今朝も牡丹餅よ、やつたぢやないか。なんの遺恨で、深植ゑなさる。

晩にや私が酒を買ふ。

○何の遺恨で、深植ゑなさる。今日も牡丹餅貰ったぢやないか,

思ひ直して浅植ゑなをれ。晩にや私が酒を買ふ。

○はやう五月が来ればよい。三ど笠かぶって畦にた-ちた-い。(南巨摩郡)

○五月のうちに江戸へ立つ。武功さん、とて(到底)百姓にやなれまい。

○千くらべても、先の殿、先の殿にます様の殿はごいせね。

○なまけちやくれちょ早少女衆。この下に三斗五升撒きの田がある。(北巨摩郡)

○早田を植ゑて農休み、行きたいよ、大塚村の蓮の花に。(中巨摩郡)

○けふの田は七つにやあがる。ヤノ。やつをうつ、薬師の鐘か、ヤノ、ぼんとなる。

○日は暮れぬ烏は森に、ヤノ、まひとまる。吾等も共に、ヤノ、まひとまる。

○天笠のやつむねづくり、ヤノ、何がふきぐさ。蛍の葉と檜の枝が、ヤノふきぐ”。

○初春に賓つみこむ千石船に、江戸の土産は、恵比寿大黒中にある。

○早少女や田の中、やき餅や火の中。

○太郎次さま。よい日の-日-取り、ヤレ、

早稲とでろ(泥)中、手がほなが-。アーヨイヨイ。

〇吉田ではおふじの七五三を、ヤノ、七重きる。七重も、八重も、ヤノ、九重も。

○朝露に髪よゆひさけて,ヤノ、苗とれば、苗葉の露で、ヤノ、そでしほる。(南都留郡)

 

甲斐 唄い継がれた 故郷のうた 草取歌

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

草取歌 

 

○田の草取りが、いやだから、田のない國へ行きたい。

○ひどい姑にわしやとりつかれ、岩を袴にきりぬけて。

岩をはかまにきりぬくよりも、水へ絵をかけ、これ姑。

○田の草取るも苦にやなぬらぬ。秋作が當れば銀の簪(かんざし)。

○二番ご迄は稲の為、あけ取はまた来年の田の為。

○田の草取れば鎗かつぐ。殿様の鎗ばか鎗ぢやごいせぬ(ございません)。

○ぽたりと落ちろ庭の晦。落されてお庭のちさと色づけ。

○娘をやらば成鳴へ。成鳴は田場で稲がよくでる。

○あなたが来たら目がさめた。わしの目にや、あなたは諏訪の目薬。(酉山梨郡)

○ヤレヤレ-ヨー。田の草取るも、ヤレョ-、おたの-しみ。あ-きさくが、

あたれば-、銀-のヤレョー、簪(かんざし)-。ドツコィドッコィ。

○ヤレヤレヨ-。田の草-と-るも、ヤレョーあだぢやな-い-。

お貢をあげねば、國が-ヤレョ-さか-えぬ-。ドッコイドッコイ。

○ヤレヤレョ-。田の草-と-るは、ヤレョ-誰がた-め-、

親や子を、すごさにや-ならぬ、ヤレョ-、身の-ため-、ドツコイ、ドッコイ。

○ヤレヤレヨ-。身内ぢやとても、ヤレヨ-譲りやせ-ぬ-。

水かけにや青田が枯れて、ヤレヨー、割れやす-。ドツコイ、ドッコイ。(東八代郡)

○田のく-さと-ろはあつけれど-、

あ-きさく(秋作)が当たれば、南部ちーりめん(縮緬)。(中巨摩郡)

○田の草とりに頼まれて、行くもいや。行かぬも義理の悪さよ。

○田の草とるはいやなれど、秋作が宜のれば銀の将。

○田の草とらばねつくとれ。丸すけや、いごや、びりもの根をほれ。(北巨摩郡)

 

甲斐 唄い継がれた 故郷のうた 草刈り歌

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

草刈歌  

 

○草刈るならば、藪の根を刈らねば、小草たまらぬ。(西八代郡)

○朝草刈れば殿やせる。朝草を刈る様の小野郎おきたい。(北巨摩郡)

○あれ見ろ江戸へ雲がとぶ-。雲ぢやない-、心が江戸ヘ-とびさうらふ(候)。

○アーナー。朝草刈れば-殴やせる。ハ-。錘切れろ-、

刈らすにた-まれ-。寄せ-く-さ-。

○ア-ナ-。十五夜さ-まの出所は-。ハ-。しま芒、三階松の-か-けから。

○ア-ナ-。山でのつらさ-、いちごばら、ハ-、おそろしや。里でのつらさ-嫁御。

○ア-ナ-。馬いそけー船頭こけ。ハ-。此の川は、ほけきょの流れ、すーみ川。(南都留郡)

 

甲斐 唄い継がれた 故郷のうた 麥打ち歌・麥搗き歌

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

麥打ち歌  

 

○ぢ(爺)さま出て見やばんばつれ、とさま(父)でで見やかつかつれ。(南都留郡)

○岩殿山で三味をひく。引くは殿、かたろは殿のお妾。ア-ョンサ-。

○岩殿山が荒れて出て、弓と矢と、小旗の竿が流れる。ア-ョンヤサ-。(北都留郡)

                      豆&               親      

麥搗き歌  

 

○大麥ついてよ-、麦ついて、お手にまみ(豆)よ、九つ。

九つのまみよ(豆を)見れば、お-やの在處、こ-ひ(恋)しょ。(南巨摩郡)

○奥山の棒の臼で、あむぎ・を七日つけば、お手にまめが九つ。

九つのまめを見れば、親の在處がこひしや。(南都留郡)            ’

 

甲斐 唄い継がれた 故郷のうた 盆踊歌  

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

 

○お寺の前の玉椿-、とりたくも、為くてお-手がと-どかぬ-、

ヤン、お-手がとどかぬ-。

○小池もはらんだ、小川もはらんだ。相もと河原ぢや、瀬もぱらんだI、瀬もぱらんだ1.(東八代耶)

○をどれ(踊れ)やるはねるも今夜ばか。をどりたくも跳ねたくも、

此の子をだいては踊られぬ。何時か雨降り河が出て、此の子を流してひざをどり(膝踊り)。

○踊りょをどるも今晩ばかり、明けて十五夜をどる馬鹿。

○お寺の茄子がなつたとな-.一本に百八なったとな-。

なるにやなったが、和尚にやくさくて喰はれぬ。

○踊にきたか、見にきたか。踊りに来たらさ-をどれ。

○わしとお前でをどらんじょ。誰も勝てまい語るまい。

○踊りに来たか、見に来たか。踊りに来て、をどらぬものゝ卑怯もの。(西八代郡)

○いやだよ、こんな田舎には。一日も早出て行かす、都へ。

○ほかしやさんのびん(鬢)の毛は、奥山の木花の晩いたやう(居た様)だ。

○殿様はお江戸でお書き役、あつらへてやりたい鹿の巻筆。

○泥水で育てられても、身は水仙よ。清く咲きます蓮の花。

○大尽だとて高ぶるな。今に見ろ大尽跡は菜畑。

○馬八か馬鹿とおしやれども、馬八の歌きくやつは猶馬鹿。(北巨摩郡 武川・白州)

○三十三になれど妻はない、妻欲しや、縄帯しめた妻でも。(北巨摩郡)

 

甲斐 唄い継がれた 故郷のうた 臼挽(うすびき)歌  

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

○お前とわしは、梨の花。なるはなし、ならぬは、梨のむだ花。

○わしらがぢや-、臼にや-、案山子やお-案山子や、いらない。あ-いやだら、い-やと-。

○挽いておくれよ。一台なれど。ひと(他人)の臼だと思はずに。

○臼屋へ来たで、ひけぢやない。わしよじ-つと思はば、お-挽きく-だされ-。(南巨摩郡)

○門に橘、ノーサン、格子に牡丹、うちの様子を菊(聞く)の花。チョイドーダイ。

○春の日に花見に連れ立つ二人の中を、キタサー、憎くじやまする花の雨。ハードツコイ。

        

【註】この歌、天保・嘉永の頃行はれしものゝ由、今も老婦人間に唄はれる。

(この地臼挽きは夜間婦女子相集りてなす定めなり。)

 

甲斐 唄い継がれた 故郷のうた 粉挽き歌  

 

甲斐俚謡集 文部省発行 俚謡集及び其拾遺による

 

   掲載書『甲斐資料集成』

    一部加筆 山梨歴史文学館

 

○お石臼挽に頼まれて、ひくもいや。ひかぬも義理のわるさよ。麩

○豆田もいやだ、戸田もいや、縁あらば荊沢(ばらざわ 甲西町)の宿か青柳。

○一番挽含が今終へた。お若い衆頼むよ、二番挽ま-しで。

○甲州ぢや小麥を三度挽く。お江戸では七度挽いて麩(ふすま)を取る。(西山梨郡)

○お石臼挽に頼まれて、ひくはいや。ひかぬも義理の悪さよ。(東八代郡)

○甲州ぢゃ小麦を三度挽く。お江戸では七度挽いて昿を取る。

 

餅搗(もちつき)き歌 

 

○目出度いことが重りで、嫁は取る。娘はよそへ嫁入り。

○もちょ搗かん内ぢや、もちよ搗く年の暮れ、もちょ搗く内ぢや、餅ょっかん。(西八代郡)

 

地搗き歌  

○藤田の稲荷さんは田-んぼ(田圃)な-か(中)、

あをやぎ(青柳)の権現さ-まはし-くなか。

○干大根、吊り下げられた、軒の下。解いておくれよ、荒縄を。

のちは心を入れ替へて、明日からこ-こ(孝行)となるわいな。

○まんざ(万沢)、名物、知らなきやあかす。千歳山には、琴平さん、

ちょいと富士見の西行坂。(南巨摩郡)

○御家の始は龍柱。皆さんお声を揃へて、たのみます。

ア-ョ-イヤ-ヨ-イトナ。サョナで三つ四つ頼みます。

❖二番 おこしては牛柱、御家にまします、御堅め。

皆さんお声を揃へて、ア-ョ-イョイヤーョイトーナー、サンョナサンヨナ。

❖三番 おこしては牛柱。ア-ョ-イ4ョイトナ、サンョナサンヨナ。

❖四番にいつては四方をかためる御家にまします。ア-ョイョイ、ア-ョイトナ。

○恵比壽、大黒、ちやちや・ふ-ぐねすみ、ハ-ョ-イョイ、祝ひこんだる此地揚き。

サリトハョ-ツク、サンョエ-、

ハ-ョイサノサ-ノサンョ-エ-、ア-サンョナア-サンョナ。

○久保の所左衛門殿に猫の皮看せてょな-、ヨ-イサノサ-、サンョエサンョナ、

鼠をとれとはそれや無理だょな。ヨ-ツク、サンョエサンョダ、サンョエサンョダ。

(南都留郡)

 

木遣歌  

○出せよく木を出せよ。娘も若衆も皆出せよ。學校の材木引き出せよ-.

○ど-らんは腰に付く。大木は聾につく。アヨィ-サ、あとづなはかんばんか。

もとつなが専一だ。ヨ-イサ。てこがたがかんじだ、アョーィサ。

○牡丹餅は粉につく。アョーイサ。も-つ皆様は御苦労だ。其の意気でやつたなら、

ちやう場へと御到着。

○今日は大慶だ。元つなにお頼みだ。手をつけてやつたなら、さぞ後到着。アヨーイサ。

(西八代郡)

 

綿打歌  

○ほかしやしんしよ知れたもの。弓一分、龍二朱、つちが三百。

○ほかしやさんは、めたほかす、よりこよりこよりやなまけて、綿がつくなる。

○ほかしやさんの妻はいや。朝おきて、よりこをよるのつらさよ。(甲府市)

○ヤレヤレョ-。雨降る晩にやじつこまる。下駄からかさのしまつに-。ペンヨペンヨ。

○ヤレヤレョ-。ほかしやさんのしんしやう知れたもの。

かご一分、つる二朱、つちが三百。ペンシヨペンシヨ。

○ヤレヤレョー。ほかしやさんの、びんの毛は-、奥山の-、木の花の-、

咲いたごとくよ-。ペンシヨペンシヨ。(東山梨郡)

○ヤレヨ、ヤレヨヤレヨヤレヨヤレヨ、ヤレヤレ、ヤーレヤレー。

ほかしやの槌から金を打ち出す。ヤレヨヤレヨ。

○ヤレヨヤレヨヤレヨヤレヨヤレヨ、ヤ-レヤレー。

時ならぬ白髪に苦努がみ-えやす。ヤレヨヤレヨ。

○ヤレヨヤレヨヤレヨヤレヨヤレヨ、ヤ-レヤレー。雪をだす綿にも温さこ-もれろ。

ヤレヨヤレヨ。(東八代郡)

○オーヤレヤレナー、ヤレヤレナー。

ほかしやさんの鬢の毛は霜月の木花の咲いたご-とく。

〇オ-ヤレヤレナー、ヤレヤレナー。ほかしや身上知れたもの。

弓一分,龍二朱、弦二朱、槌がさ-んびやく(三百)。

○オーヤレヤレナー、ヤレヤレナー。

馬子さん、馬に鈴がない。韮崎へ形見に、鈴をと-られた-。

○ヤレヤレヤレナ、ほかしや身上、知れたもの。

弓一分、籠二朱、つ-ち(土)が三百-。ヤレヤレナー。

○ヤレヤレヤレナ、やねやさん-やによ(屋根)葺いて立つ時や、

か-たみよ、お-いてけℑ-。ヤレヤレナー。(南巨摩郡)

 

機織歌(はたおりうた)  

○谷村子織、博多織、小沼すが織、つむぎは松山、田の倉もえぎ朝日にてらす茶むぢ絹、

烏澤日むぢの色のよさ。真木の霜ふり卵色、犬畑大𠮷萬がうし。(北都留郡)

 

楮打歌(こうぞいちうた)  

 

○私や行きたいよ、おかたさん。韮崎の穴同音の開帳へ。

○今晩これで、千秋楽。あすのばんこりずに、お-いで、く-だされ。

○楮草うちに、たのまれて。行くもいや。行かぬも、ぎ-りのわるさや。(西八代郡)

 

紙漉歌(かみすきうた)

○紙すきよいやで、内を出て、くされ縁、また行く先きも紙すき。

○いやだらいやと、しょてに言へ。しすの帯、あはせて置いていやとは。(西八代郡)

 

田植唄(たうえうた)

○はや田を植ゑて農休み、お色男と、あんころ餅を、食べにゆ-きたい。(西山梨郡)

○青田の中へおいろこが見えろ、笠の影。

○五月の中の半ばでも、いろこさん、わしを見かけ下さい。

○この田を植ゑでのう正月おいろことたどしの木綿。

○こらくな-、こらこらな-、五月が来れば思ひ出す-。

あひくに顔見合せて田を植ゑて-。(西八代郡)

○歌を唄うて、田を植ゑて、晩にやたろ-じと寝ていく。

○たらうじさんはとしより、小たらうじさんと寝て行く。

○お-らち、こらちを、引寄せて-、い-ね(稲)の三束も刈り抱いて、

あ-きや-、女郎でも刈るように。

○五月の農に江戸へ立つ、おいろこは、どうで百姓にやなあれまい。

○はよう田を植ゑて農休み、お色勇と大塚沼の蓮の花見に。(南巨摩郡)

○故郷を出て放をして、兄さんと新版歌の読売り。

○田のく-さと-るは暑けれど-、あ-き作があたれば、南那ち-りめん-(縮緬)。(中巨摩郡)

○君様にくれたいものは、蒔絵櫛かんざしを添へて恋の文。

○君揉と寝た夜はよいが、朝起きちや互ひの涙で濡らす。

○生娘-は-𠮷野の桜-、見る人ごうとに、ヤレ、折りだ-から-、アゝヨイアゝヨイ。

○君様は吉野の山の初桜,一技手折りて、ヤノ床花に。(南都留郡)

○ヤレヤレ-ナァ、恋風は野でも逢はれるが、お色男にヤァなかなか野では逢はれぬウ、

それが定(ちよ)だ、中々野では逢はれぬ。

○ヤレヤレナァ、お色男さんの家をごらん-、五間許り真中にやぐら煙出、

五間許り真中にやぐら煙出。(東山梨郡)

 

草取唄  

 

○朝草苅れば殿やせる、朝草を苅るやうの小野郎おきたい。

○藤田(地名)のでんじよ-豆男、ころころと転んで南下條まで。(北巨摩郡)

 

盆踊唄  

○お-せんぢょぶったらば-、和尚が出て来て、や-かましいと、仰有(おっしゃ)った。

喧しかお仙女-出しやんせ-、お-出しやんせ。(東八代郡)

○糸取ると家を出て、糸取らでお色男さんの気を取る。

○はや田を植ゑで農休みな、お色男と行きたいお江戸見物。(北巨摩郡)

 

臼挽唄(うすびきうた)

○臼挽きかけて出て見れば、お月さま、山の端に、しのびやのきはに。

○臼挽きや他所のいけのろま、おぢょうもの(娘)の袖曳きや、村の若い井衆。

○臼挽けばこそ肩、こかた、あひにやまた、みるばか、お声聞くばか。(南巨摩郡)

○思っちょょ恋ひちょ人の妻、思ひても恋ひても我がにやなるまい。

 

桑もぎ唄  

 

○おさんどんでも情婦に持ちや可愛い、晩のお雑炊(おじや)のてんこ盛り。(東八代郡)

 

綿打唄

○ほかしやさんの髪の毛は、霜月の水の花の咲いたごとよ。(東八代郡)

○ほかしやさんとよりこより、お互ひによからず、いろめつかひして。(甲府市)

 

楮打唄(こうずうちうた)

 

○おいろこさんが、紙を漉けば、たもゝきけ、すげたもあがれ、かるがると。(西八代郡)

 

方言唄

 

○是は甲州言葉の名寄せ、はんで、ぞぜ-る、わにるのと、出ると出来ぬの言葉逢ひや、

どこからどこまで、もうしやんしよ、そうでごいしよう、

そのいちら、がとうによまわれ、のぶいやつ、お且那聴いておくんなっちよ、

このぼこ、ずでこで、ごつちよで困りやす。(甲府市)

 

手鞠唄  

 

○向ふ傅兵衛さま大金持で、底ぢや米搗き、中屋ぢや唐臼、中の御縁で三味線が誰ぞ、

お松さんかい、清松さんかい、お松さんなら何故髪結はね、

髪をしゃんと結ってはぶきをかけて、はぶきちら、清水(きよみず)さして、

お手に持ちたる萩原煙草、此所で一服かしこで二服、花の都で三十二服ぢやまゐらす、

こなたへござれ、御所の老桧姫小松、お松植えにゃツゥツゥ、鶴舞遊ぶ、

下にやラクラク亀らく遊び、千代よよろづ代道は遠けれど、京の土産何に呉りゃる、

一には京箱二には文硯。三には三両にごり緒の雪踏(雪駄)、

紙に畳んで紙縒(こより)で締めて、締目(しめめ)に、イロハを書いて、

イロハ坊達は伊勢々々參る、伊勢の行者にめんぐろけにしたで、七ツ八ツ子がぶんこの蓋を、

開けて見たらばシツシツしらの貝、ホッホッほらの貝、先づ先ず貫貸しました。(甲府市)

○一ツでは乳を呑みそろ、二ツぢや乳から離れて、三ツでは寺へ上って、

四ツぢや寺からお下って、五ツでは管(くだ)を巻きそろ、六ツぢや綾をかけ候、

七ツではころ機を織り候、八ツぢゃ錦を畳みそろ、九ツぢや嫁に貰はれ、

十ぢや世間に渡されて、十一ぢや花の様なる赤ン坊持ち候、かんほこもち候、

金で鹿島へ貰はれて、鹿島では何か出たとて、

月に三度びのお御神楽、大神楽渠一寸百ちいた鞠の数々。

○おせんの櫓で手鞠をつけば、興四か興三(よぞう)叉三なんぞの女房は、

六才で紅かねつけそめて、十歳で熊野へまゐらせて、熊野の御堂は誰が建った、

八幡長者の小娘が、独りで建ったもよく建った。二人で建つかもよく建った、

三人兄弟ある中に、登ればのぼをの緒が切れる。降りればくだをの緒が切れる。

建ってお呉れよ社(やしろ)さん、たってやるのは易けれど、この子があるから建てられぬ、

やがて雨降り川が出る、その時流して建ってやる、ちよと百ついたも鞠の数、物の数。

(東山梨郡)

 

子守唄 

 

○ねんねん寝入れよ、よく寝いれ、お乳の出花と菓子やらんぢよ。

○ねんねこよ、おさんねこよ、ねんねして起きたら何を遺らんぢよう、

酒桶けっからかして、酒呑ましよ。おねんねこよ、おねんねこよ。(東山梨郡)

 

動物の唄  

 

○鳶とろゝ、おらん家を三年めぐれ、小豆を煮てくれろぞ。

○螢も来い来い来い、山吹も来いこいこい、螢といふ虫は、いないな虫で、

夜なべになると、ピッカンチャッカン火を點ず。

○たいろたいろ、角出せ、角を出さぬと代官所に願ふぞ。

 

遊戯唄  

 

○おうかんこかん、どの子を欲しい、○○さん欲しい、何を呉れて育てる、

林檎に饅頭、それは虫の毒よ、(とく)()に飯(まんま)、魚にや骨がある、天半ぶん、

それでもお厭、天皆、そんならあげましよ。(東山梨郡)(この歌に似たゐが甲府にあり)

 

雑謡  

 

○故郷懸しや氏神さんの。森が見えますほのぼのと。

○夕酒を打くふ時も独り身は、うそら淋しい恵林寺の鐘。(東山梨郡)

○おん方く、何處への嫁入り、鎌倉までの嫁入り。

○お馬にも乗らず、お駕籠にも召さずす、夜中の頃にお山に登った殿様は、

○ありや何處の殿様だ、お子さん恐れ、泣く子もだまれ、三河國の殿様、

○あの山見れば思ひ出す、我が殿は、あの山かけでうたれた。(勝頼を偲びて)

 

山家鳥島歌(甲斐)

 

○殿は雨夜の月影なるか、心私知らぬ行末を。(諸国盆踊唱歌)明和八年版

○高い山から谷底見ればお萬可愛や布晒らす。

○おれが晒らすは布では無いぞ、あだな男の心をさらす。

○下高砂にお政女、かつがれて、役所となれば、もめやす。(以下三井馨蔵氏蔵)

○乙黒まではかぶったが、乙黒の渡船ですてた網笠。

○今年の盆は盆ぢやない、韮崎の紺屋が焼けて白地山。






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最終更新日  2020年09月19日 21時03分03秒
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