山梨県歴史文学館　山口素堂とともに

『日本の名家・名門人物系譜総覧』「牧野家（文人・学者）

　別冊　歴史読本

　『日本の名家・名門人物系譜総覧』

　新人物往来社編　2003・8・9

　　一部加筆　山梨歴史文学館

「牧野家（文人・学者）

　明治・大正期の映画監督にして製作者、マキノ省三（本名牧野省三）は、日本映画界の父と呼ばれる。彼を祖とする一族は、まさに芸能一家と言えよう。

　省三は明治十丁年（一八七八）、京都の生まれ。

父は西陣復業家の藤野斉。

義太夫芸者の母の許で育ち、母親が経営する千本庄の手伝いをするうち、千本庄の座員たちを俳優として映画撮影の道に入る。

やがて「目玉の松っちやん」こと尾上松之助と出会い、膨大な映画を撮影。

多い時には年に八十本も撮ったという。

　大正十年（一九二一、マキノプロを設立。内田吐夢、衣笠貞之助、坂東妻三郎、月形龍之介、市川右太衛門、嵐寛寿郎、片岡千恵蔵らが参加する。

　三条の材木屋の娘、多田ためと結婚し三男五女をもうけた他、千本座時代に馴染んだ京の花街上七軒「滝の家」の娘てるとの間に一子あり。これが映画監督の松田定次である。四女笑子は女優、長男正唯は映画監督、次男光次郎は製作者、三男真三も一頃は芸能界にいた。

　俳優の津川雅彦、長門裕之兄弟は、孫。タレントの安室奈美恵やＳＰＥＥＤを輩出した沖縄アクターズスクール校長の牧野雅幸も孫にあたる。