カテゴリ:俳句観賞
俳句歳時記 正月 山本健吉氏著
一部加筆 山梨歴史文学館
正 月 お正月 祝月 元月 昵月 端月 端月 初月 初月 嘉月 王月 上月 泰月 謹月 征月 陬月 年端月 初春月 暮新月 初空月 霞春月 太郎月 初見月 年待月 とらの月 早緑月 子日月 三陽月 三微月 端正月 年初月 正陽月 王春月 春正月 人正月 王春 初春 新春 孟春 上春 早春 開春 発春 首春 献春 規春 首歳 初歳 敬歳 開歳 芳歳 華歳 方歳 敬歳 主月歳 年初 甫年 初節 青陽 孟陽 履端 太簇 始和 解凍 王正 月正 天正 地正 人正 初正 夏正 春孟 春首 歳首 歳始 歳初
【解 説】 一月の称であるが年頭慶祝の国民的儀礼の意がつよく籠められている。したがって三カ月、又は松の内といわれる七日まではその感が深く、これを関東、東北などでは大正月と呼び小正月(十五日)と区別している。 正月が盆と並んで年二回の魂祭の機会であったことは古くから学者の指摘しているところであり、東口本の各地に祖霊に供するため、ミクマの飯とか、ニダマという飯(白米の飯を白紙に山盛りにして、盆、鉢などの上にのせ、これに箸を立てるなど)を仏壇に供える風のあるのに対し、西日本では元日に年頭墓参の行われる風の存するのはそのためである。 ただ正月の魂祭の盆と異なるのは祖先の霊と別に、門松、恵方棚などを設け、年神または歳徳神を迎えての客将の更新が特に考えられ、大正月を年神の祭として理解したこと、さらに、小正月を中心として年の始めに豊産を祈るために、繭玉、鳥追など、農耕儀礼の予祝の行事の多いことであろう。 ➡一月 ➡七日正月 ➡小正月 ➡二十日正月 ➡睦月(春) ➡旧正月(春)
元晨 住吉まうでげにもさう 才麿(よるひと) 題世中百首 世の中の何に付ても太郎月 涼莵(簗晋請) 青陽や野心に物の濤て来 涼莵(簗晋請) 烏帽子袴のさはやかなるは、よべ見し垢面部伽歟、 そも誰殿のむこがねにて御わたり候ぞ 罷出たものは物ぐさ太郎月 蕪村(ふたりづれ) 正月や三日過れば人古し 蘭更(半化坊発句集) 正月も二十日月夜ぞあはれなる 柳川春葉(俳句三代集) 正月や歯栞をかけたる軒の柴 松瀬青々(妻木) 正月や宵寝の町を風のこゑ 永井荷風(荷風句集) 正月のこころわかきはわれのみか 飯田蛇笏(雲母) 霜除に菓の花黄なりお正月 村上鬼城(定本鬼城句集) 正月や杣の遊びのふところ手 前田普羅(飛騨紬) 山路来て正月青き芒かな 渡辺水巴(水巴句集) 正月や七浦内のよばれ合ひ 小杉余子(俳句) 正月や刈らずの髪に福頭巾 宮部寸七翁(雑詠選集) 正月や食ふに困らぬ小百姓 原月舟(同) 正月の太陽襁褓もて翳る 山口誓子(青女) 祖母恋し正月の海帆掛船 中村草多男(来し方行方) 湯にぬくめ喪の正月の五十の身 大野林火(筑摩文学全集) 正月やつちくれざまの小墓撫で 平畑静塔(筑摩文学全集) 足くさるまで正月を医師読みたし 平畑静塔(月下の俘虜) 正月日和母にうぶ毛を剃られけり 太田鴻村(穂国) 正月の漁村色濃き菓子を売る 山口波津女(天狼) 正月の人らにぎやかに吾家を過ぐ 油布五線(善人) 粧ひね逢ふひともなき正月を 小松玲子(碧落) 正月の女あるじとして坐る 山本登喜子(碧落) 正月のよその縁側あたたかし 川島水鶏(碧落) 正月や据ひろがりに砂利置かれ 荒井清之助(万緑) 棒の如き礼正月の農夫より 清水踏青(万緑) ダムに住み正月煤け診療医 高島茂(現代俳句集) きんかんが酸し正月の灯の中に 中山純子(現代俳句集) 正月の小川跳び越え旅の夫婦 沢木欣一(塩田) 鶴折って正月遊ぶ病かな 牧野寥々(新渋柿句集) 正月果てのつまづきやすき足にくむ 臼田登代子(俳句) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年11月21日 18時46分52秒
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