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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年03月25日
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【広報白州】町の史跡名物を探る【大武川】

 諏訪神社、七奇石に塩沢鉱泉

○ 大武川部落にある諏訪神社は建部名方命を祀り、上世建部名方命が出雲の国よりこの地に至り、武みか槌命と誓をして始めて和議が整いし処と伝へられる。

後崇神天皇の時代、武淳川別命の東征の功により本州四辺の地に封ぜられ、孫大臣命の須波(すわ)国造りを任ぜられ其の祖廟を此所に立てたのが即ち当社の起因であり、信州の諏訪大社を上社、この諏訪神社を中の社、下諏訪に在るものを下社と称へられ、その由緒最も古き社であるが、回禄の災にかかり社殿、古書類等焼失して今は由緒の微すべきものがないのが誠に残念である。

 

○ この大武川には七奇石と称するものがあり、烏帽子石、乗鞍石、駒つなぎ石、三ツ石、夫婦石、転び石、赤石等で皆形状及び色彩によって名づけたものである。

その内、烏帽子石は大きさ形、共に本物そっくりである。今も部落の公民館に保存されている。

 

○ 大武川部落の東方に釜無川に注ぐ塩沢川の流域にある塩沢鉱泉はその原泉温度二十八度Cが湧出して開発されたもので、いづれも大正時代、当時は現在の福島館、信行館のほかに今はないが大正館もあり、皮膚病諸疾患の治療に特に効果を見られるほか、胃腸病や農閑期に附近の人々の保養施設として人気を維持して現在に至ったものである。

 地元の人の話しによればこの地の湯は多分に流動的であり、昔は部落に野天風呂さえあったと伝へられるとか、最近の話では戦時中に鉱物採取の目的で手摺りされた抗道が横穴式で五十メートル掘ったところで温水にあたり湧出したがそのまゝ終戦を迎えて埋まった儘であることや、昭和三十四年の災害のときも部落内に三ケ所も同様の温水の湧出を見ながら、いつか枯れてしまった、など此処の地域に対する温泉開発えの科学的なメスの投入を希望する声も現在なおしきりであります。

 

大武川の寒天のこと

 

 大武川に寒天の製造がはじまったのは明治三十五、六年頃と云はれるから近々七十年位であります。当時茅野の金沢から業者が此の土地に入りシーズン中をここで創業した(茅野は岐阜と並び間地で最も歴史の古い寒天製造の歴史をもち現在百八十年と云う長い伝統を誇る業蹟のある地帯である。

この土地が寒天の製造に適していることに着目したのは、 寒天製造に必要な立地条件として、特に自然条件がすぐれている

        清潔な水が豊富であること。これは原料である天草を充分に洗い塩分や不純物を洗い

除くに必要

        夜間の温度が氷点下を大きく下まわり凍結が容易であり、なお日中温度が急上昇して

これをとかすこと。

 

寒天の製造は、天草を釜で煮つめて、のり状になったものを舟と称する木型に流し込み、これを野天にさらして夜間凍らせる、これが日中温度の上昇と共に溶けて水分が蒸発し、次第に干燥される。この繰返しで製品が生れる。

③ 燃料としての当時、豊かな薪炭を生産する山林資源を手近にひかえていた。

 

さらにこの地区がその以前から、石灰の産地として優秀な原石を保有して、古くから少規模ながら生産企業に対する素地が充分であったこと、などからこの新らしい事業であった寒天製造が容易に受けれられて定着したものと思われる。

 その後、茅野の業者の引き揚げて、部落がはじめての試みとして部落総ぐるみの区営工場として、一年経営したことがあったが、これは種々の原因で見事に失敗し、結局当初この事業を誘致した人達名取万作(三十郎・名政俊栄(敏)名取峯吉(峯維)名取俊吉(俊七)の四人の個人経営に切替えられた。以后つきつぎと経営に乗り出す人達が増え、最盛期は実に四十三基の釜数を数えた程であったが、その後景気の流動に次第に業者を減じて、現在は十三釜と激減している状態であります。

また業者は価格維持のために自守的に生産調整を行い、操業日数を七十三日にしぼるなど酷しく対処している実状と聞きますが尚昨年のドルシヨックはこの業界にも強く影響を及ぼして諭出寒天は目下のところ、殆んど振はず、これらの貿易市場は日本に替って価格の安い、韓国ものが登場、内地産は内需で賄はれているのが殆んどの由、この事業の特長は原草の仕入れと製造と販売を全部、取り仕切らねぱならないことで、長い間に培ちかわれた経験がものを云うなかで、特に原草である。

天草(マクサ)鬼草、馬足、平草などを遠くアフリカ。スペイン、アルゼンチン、メキシコ、ポルトガル、チリや、東南アジア諸国から仕入れ一釜(一回分)で七十貫~八十貫(二六〇〇kg~二七〇〇kgで)価格にして一万円以上がかかる上、一釜を脈動するには最低八人~十人位の人夫を要しているなど資金能率上に非常な難点が多いことなど将来にわたって相当にその企業性を一層に酷しく問われるものであります。

 然し一方製品の販路は主として食用であり、中国料理を始め菓子類に及ぶほか医療用の実験材料、工業用塗料、接着剤と巾広くルートを拡げつゝあり、需用と供給のバランスの上からも必ずしも暗い材料ばかりはと考へられないので。

 地元の寒天業者の皆さんの一層の発展を期して頂くことを祈りたいものであります。

 (この記事について、地元寒天業界の長老である名取かん二様に種々と伺うことができました。紙上御礼を述べさせて頂きます。)

 






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最終更新日  2021年03月25日 09時58分54秒
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