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2021年04月02日
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カテゴリ:俳人ノート

河合曽良 『奥の細道』俳諧書留その2

 

羽黒山本坊におゐて興行

 

   元禄二年六月四日

 

有難や雪をかほらす風の音       翁

  住程人のむすふ夏草         露

川船のつなに螢を引立て        曽良

  鵜の飛跡に見ゆる三日月       釣雪

澄水に天の浮へる秋の風        球妙

  北も南も碪打けり          梨水

眠りて□晝のかけりに笠脱て      雪

  百里の旅を木曾の牛追        翁

山つくす心に城の記をかゝん      丸

斧持貫芦すくむ神木の森       良‐

歌よミみあと墓行宿なくて       雪

  豆うたぬ夜は何となく鬼       丸

古御所を寺になしたる檜皮葺      翁

  糸に立枝にさまざまな萩       水

月見よと引越されて恥しき       良

  髪あふかするうすものゝ露      翁

まつはるゝ犬のかさしに花折て     丸

  的場のすえに咲る山吹        雪

春を経し七ツの年の力石        翁

  汲ていただく醒ケ井の水       丸

足引のこしかた迄も稔蓑        圓入

  敵の門に二夜寝にけり        良

かき消る夢は野中の地蔵にて      丸

  妻戀するか山犬の聾         蕉

薄雪は橡の枯葉の上寒く        水

  湯の香に曇るあさ日淋しき      丸

(むささび)の音を狩宿に矢を矧て  雪

  篠かけしほる夜終の法        入

月山の嵐の風ぞ骨にしむ        良

  鍛冶か火残す稲つまのかけ      水

散かいの桐に見付し心太        丸

  鳴子をとろく片藪の窓        雪

盗人に連添妹か身を泣て        翁

  いのりもつきぬ關々の神       良

盃のさかなに流す花の浪                會覚

幕うち揚るつはくらの舞       水        

 

芭蕉七 梨水五 露丸八 圖入二 江州飯道寺

ソラ六 會覚 一木坊釣雲六花洛珠妙一 南部法輪院

 

元緑二年六月十日

  七日羽黒に參寵して

 

めつらしや山をいで羽の初茄子     翁

  蝉に車の音添る井戸         重行

絹機の暮鬧(さわ)しう梭打て     曽良

  閏爾生もすゑの三ケ月        露丸

吾顔に散りかゝりたる梨の花      行

  銘を胡蝶と付しさかつき       翁

山端のきえかへり行帆かけ舟      丸

舗里は心とまらす         良

粟ひへを日ことの齋に喰飽て      翁

  弓のちかをいのる石の戸       行

赤樫を母の記念に植をかれ       良

  雀にのこす小田の刈初        丸

此秋も門の板橋崩れけり        行

  赦免にもれて独り見る月       翁

衣々は夜なべも同し寺の鐘       丸

  宿の女の妬きものの(か)け     良     

婿入の花見る馬に打群て        行

  舊の廓は畑に焼ける         丸

金銭の春も壹歩に改り         翁

  奈良の都に豆腐始          行

此雪に先あたれとや釜揚て       良

  寝まきなからのけはひ美し      翁

遙けさは目を泣腫す筑紫船       丸

  所々に友をうたせて         良

千日の庵を結小松原          行

  蝸牛のからを踏つふす音       丸

 身は蟻のあなうと夢や覚すらん     翁

  こけて露け気をミなへし花      行

 明はつる月を行脚の空に見て      良

温泉かそふる陸奥の秋風       芭蕉

初雁の比よりおもふ氷様        丸

山殺(ソキ)作る宮の葺かへ     良

尼衣男にまさる心にて         行

  行かよふへき歌のつき橋       丸

花のとき啼とやらいふ呼子鳥      翁

  艶に曇りし春の山ひこ        良

 

  六月十五日寺島彦助亭ニテ

 

涼しさや海征入たる最上川       翁

  月をゆりなす浪のうきみる      寺島詮?

黒かもの飛行庵の窓明て        不玉

  麓は雨にならん雲きれ        長崎市左衛門 ?連

かはとちの折敷作りで市を待      ソラ

影に任する舞の油火         かがや藤右衛門 任曉 

不機嫌の心に重き戀衣         八幡源右衛門 扇風

  末略ヌ

 

  出羽酒田伊東玄順亭ニテ

 

温海山や吹浦かけて夕涼        翁

  みるかる磯にたゝむ帆莚       不玉

月出は關やからん酒持て        曽良

  土もの竃のけふる秋風        翁

ゑるしゝて堀にやりたる色柏      玉

  あられの玉を振ふ蓑の毛

鳥屋籠る鵜飼の宿に冬の来て      翁

  火を焼かけに臼髪たれつゝ      玉

海道は道もなきまで切狭め       良

  松かさ送る武隈の土産        翁

草枕おかしき戀も志ならひて      玉

  ちまたの神に申かねこと

御供して當なき吾も志のふらん     翁

  此世のすゑをみよしのに入      玉

あさ勤妻帯寺のかねの聲        

  けふも命と島の乞食         翁

憔たる花しちるなと茱(グミ)折て   玉

  おほろの鳩の寝所の月

物いへは木魂にひゞく春の風      玉

  姿は瀧に消る山姫          翁

剛力かけつまつきたる笹つたひ

  棺を納るつかのあら芝        玉

初霜はよしなき岩を粧ふらん      翁

  ゑひすの衣を縫々そ泣

明日志めん雁を怯に生置て       玉

  月さへすこき陣中の市        翁

御輿は真葛の奥に隠しいれ

小袖袴を送る戒の師         玉

吾顔の母に似たるもゆかしくて     翁

  貪にはあらぬ家はうれとも      

奈良の京持傳へたる古今集       玉

  花に符を切坊の酒蔵         翁

鶯の巣を立初る羽つかひ        

  蠶(カイコ)種うこきて箒手に取   玉

錦木を作りて古き戀を見ん       翁

  ことなる色をこのむ宮達       良

 

  象潟六月十七日朝雨降

十六日着 十八日ニ立

 

象潟の雨今西施かねむの花       翁

  夕ニ雨止て船ニて潟を廻る

 夕晴や櫻に涼む浪の花         翁

   腰長汐

 腰たけや鶴脛ぬれて海涼し       翁 

  象潟や苫の土産も明やすし      曽良

 象溶々蜑の戸を敷礒涼         美濃岐阜 彌三郎低耳

 象潟や汐焼跡は蚊のけふり       不玉

   羽黒被贈

忘るなよ虹に蝉鳴山の雪        會覚

  杉の茂りをかへり三ケ月       芭蕉

磯傳ひ手束の弓を提て         不玉

  汐に絶たる馬の足跡         曽良

 

海川や藍風わか袖の浦         曽良

  直江津ニて

文月や六日も常の夜には似す      はせを

  露をのせたる桐の一葉        石塚喜右衛門 左栗

朝霧に食焼烟立分て          曽良

  蜑(アマ)の小舟をはせ上る磯    聴心寺 眠

鳥啼むかふに山を見さりけり      石塚善四郎 此竹

  松の木間より績く供やり       石塚源助 布嚢

夕嵐庭吹掃ふ石の塵          佐藤元仙 右雪

  たらい取巻賤か行水         筆

思ひかけぬ筧をつたふ鳥一ツ      左栗

  きねきねの場に起もなをらす     曽良

数々の恨の品の指つきて        義年

  鏡に移す我わらひかほ        翁

あけはなれあさ気は月の色薄く     左栗

  鹿引て来る犬のにくさよ       右雪

きぬたうつすへさへ知らぬ墨衣     眠

 たった二入りの山本の庵       左栗

華の吟其まゝで暮て星かそふ      義年

  蝶の羽おしむ蝋燭の影        右雪

春雨は髪剃皃の泪にて         芭蕉

  春は色々に人々の文         曽良

  同所

星今霄師に駒ひいてとゝめたし     右雪

  色香はしき初苅の米         曽良

瀑水躍に急く布つきて         翁

  餞別

 行月をとゝめかねたる□哉       此竹

 七夕や又も往還の水方深く       左栗

  細川春庵亭ニテ

藥欄にいつれの花をくさ枕       翁

  荻のすたれをあけかける月      棟雪

爐けふりの夕を秋のいふせくて     鈴木輿兵衛 更也

  馬乗ぬけし高藪の下         曽良

  七夕

 荒海や佐渡に横たふ天河        翁

  西濱

小鯛さす柳涼し舟海士かつま      翁

  かゝ(加賀)入

早稲の香やわけ入右は有磯海      翁

  盆 同所

熊坂か其名やいつの玉祭        翁

  一笑追善

塚もうこ(ご)け我泣聲は秋の風    翁

玉よそふ墓のかさしや竹露       曽良

七月廿五日 小松山王會

 志ほらしき名や小松吹萩薄       翁

廿六日

 同歓水冷會 雨中也

 

叙れて行や人もおかしき雨の萩     翁

心せよ下駄の響きも萩露        ソラ

かまきりや引こけし穴石荻露      北枝

 

 山中ノ湯

 

山中や菊は手折らし湯の薫       翁

秋の哀入かは石湯や世の気色      ソラ

 

雲霧は峯の梢をつたへ来て

やかて時雨るゝ秋の山里

朽し身もいでゆの山にめくり

来てよはひをの□る道にこそ入れ

 志る志らぬ往来ひまなきゆの山に

 うき世のさまを見する成けり

 抱あけらるゝ藤の花ふさ

行春を扇に酒を扱□ひて

 皮たびの裏新敷踏す□

手を引すりて上座定る

 名残とも取置ひなの貌を見て

又泣入し癆咳のせき

 もえかねる水風呂の下焼付で

ひらき月あをつろじの紬あい

 右左り膳をすえてもさひしくて

何にもかにもうきは□房

 廃寺の緑にうすべり打しきて

斗で渡す薬代の大豆

 古寺や花より明るきんの聲

 縁のさうりのふめる春雨

 石ふしに細き少鮎をより分で

 

花も烏有とかやよし野に深く□□入て

大峯やよし野の烏の花果

春の夜は誰か初潮の堂籠り」

むつか七き拍子も見へす里抑揚

浦風に巴を崩す村千鳥

前書

いつくにか穴ふれ伏共荻の原

前書

なつかしやならの隣の時雨哉

全昌寺ニテ

終夜秋風聞や裏の山

サカ

破垣やわさと鹿子の通

ケソ住アン

涼し芯や此庵さへ住捨し

千那本福寺ニ宿シテ

足音もはるけき廊の下涼

六月十一日石山ご一宿

あやにくにすがれて勢田の蛍哉

 






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最終更新日  2021年04月02日 15時31分51秒
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