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2021年04月28日
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黒田清隆 西郷大久保歿後の重鎮

   鹿児島出身。政治家。首相。

   天保11(1840)~明治33(1900)歿年六一。

  『明治人物おもしろ史話』平成2年刊

   

 

杉田幸三 – Wikipedia 著 発行 毎日新聞社

 

 大西郷三十九、黒田清隆二十六歳。

慶応元年十二月、西郷は了介時代の黒田を坂本龍馬と一緒に下関へやった。薩長連合の前夜である。坂本・黒田は初対面。西郷は、黒田に、

「木戸さんにあったらよく挨拶をせねばいかんぞ」。

「はい」

「旅費はあるか」

「出来ております」

懐中から紙に包んだ十両を出した。長い間内職に励んで蓄えておいたものだ。「よかっ」と西郷はうなずいた。

ぱじめ(この男薄馬鹿では)と黒田を見ていた坂本も目を開かれた思いだった。

 黒田は五稜郭で榎本武揚の幕軍を包囲していた。榎本は切腹の覚悟だが、心残りはオランダから持ち帰った原書『海律』。珍書を焼くに忍びない。黒田の手許へ届けた。黒田は酒五樽に礼状を添えた。追伸に「義を重んずるの龍城感心した。食糧弾薬が欠乏なら送る。防御の個所が行き届かぬのなら攻撃を猶予する。期日巻知らせられよ」。

この度胸・襟度には驚かされる。返事は、

「同討死の覚悟ゆえ期日は知らせません」

である。士道は生きていた。

 これだから黒田は懸命に降伏を勧めた。榎本・大鳥圭介らは勧告に従う。東京へ護送。議は死罪。が、黒田は身体をはって寛典を主張する。

「忠義一徹で方向を誤ったのだ。ひとたび降をいれた以上は皇室・国家に対して害心は持つまい。許して才器に応じて力を新政府に尽くさせるべきである」。

黒田の誠と日本の知性がついに助命へ。黒田の長女はのち榎本の嗣子に嫁いだ。

 

 いったん引受けたら生命を捨てても相手と争う。これが黒田である。性格は磊落素朴、豪邁、果決。が、過と知ったらすぐ改めた。情け深くもあった。が、一面、細心翼々人を信じない。そのため不遇を招いたことも多い。豪酒で酒乱の気味もあった。が、晩年は節酒して円くなり明治天皇のご信認もあつく内閣総理大臣、枢密院議長にもなっている。

 が、壮時の酒はあっちこっちと逸話をふりまいた。

箱館から帰ったのち、陸軍部内では飛ぶ鳥を落す勢いだ。芝・桜田の売茶亭で飲んだとき、沢山呼んだ芸者の中に贔屓の小清か見えない。

ところが別の客に呼ばれて別室にいた。気附いて暴れだした。小清の客は和歌山の三奇才の一人岡本柳之肋。と分かったから「小清を貨せ」と申し入れる。岡本は断わる。だけでなく黒田の隣座敷に席を移し大騒ぎ。黒田はカンカンだ。組み打ちになる。岡本は組み伏せられた。黒田の睾丸を引っ掴んだ。痛さに堪えず岡本の耳に食い付いた。ようやく総掛かりで引き分けた。

 岡本は耳が腫れ三日間安静を命ぜられた。そこへ黒田の使者。「何、見舞いだと」「はい大変な美人です」「よし通せ」。意外や意外、芸者の小清だ。黒田の御前の命で来たという手紙つきだ。

「乱酔の余りご無礼した。耳の疵で苦しんでいるという。気の毒じゃ。ついてはこの者を看護人にやるからご遠慮なくご使用を。拙者率先にいたってば壮健故ご安心を」。

手紙と同封に小清の借金の書付もあった。身受けし、岡本に贈物したつもりだ。「俺は黒田には及ばん」と岡本は呟いた。黒田が、大阪会議(明治九年)後、木戸孝允にからみ、木戸のため腰車で投げられ、あげく、兵古帯でグルグル巻きにされ、黒田邸に届けられたという話もつたわる。






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最終更新日  2021年04月28日 06時00分20秒
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