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2021年05月15日
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相撲の由来と勧進相撲

  

  高橋紀比古(のりひこ)氏著

  『別冊歴史読本』「伝記シリーズ」 昭和53年 新人物往来社 

一部加筆 山梨歴史文学館

 

 テレビのチャンネルを回せば、大きな力士がコマーシャルに登場したり、マイクを持って美声をきかせ、おすもうさんは茶の間の人気者となった。

だが、親方と弟子の関係、大銀杏(いちょう)やチョンマゲ、十両(十枚目)に出世すると身のまわりを世話してくれる付け人制度をはじめ、近代的になったとはいえ、まだ独特な習慣が息づく世界である。

 現代に至るまでには、相撲にも幾多の変遷があった。

『古事記』上巻に天孫族の代表建御電命が出雷族の建御名方神(大甲主命の次子)と「手を取り」力を競って勝ち、天孫族が出雲を得る国譲り神話が載り、これがもとで「相撲を取る」「取組み」「関取」「極め手」「四十八手」などが使われるようになった、といわれる。

ついで『日本書紀』垂仁天皇七年秋七月七日の条に、野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)が「埆力(すもう)」し、宿禰が蹶速を蹴り殺したとあり、京都の公家五条氏、熊本藩に仕えて江戸時代に行司の司となる吉田追風家は宿禰の裔と伝わる。

 やがて皇極天皇元年(六四二)に百済から赴いた使者を接待したとき健児(こんでい)が相撲を取り、天武天皇十一年(六八三)に大隅隼人・阿多隼人が朝廷で相撲をしたなど史上に姿をみせ、

養老三年(七一九)には相撲人を選ぶ「抜手司 ぬきでのつかさ」が任命された。天平六年(七三回)七月七日、聖武天皇の天覧相撲があり、全国から力と技に秀でた農民が集められた。

天覧は年々大規模になり、弘仁十二年(八二一)から宮中三度節の一「相撲節会」となる。

 こうした宮中儀式とは別に、台頭しつつある武士は騎射・相撲などで鍛錬をかさね、貴族にとってかわり政権をになう。

鎌倉幕府を開いた源頼朝は相撲を好み、後代、曾我十郎・五郎兄弟仇討ちの因になったという河津三郎・俣野五郎の一戦などの説話も生まれ、「武家相撲」の隆盛をみる。

乱世の雄織田信長は、『信長公記 しんちょうこうき』によると、元亀元年(一五七〇)三月、近江国内の者を常楽寺に集めて相撲を取らせ、勝ち進んだ鯰江又一郎・青地与右衛門を家臣に取り立てたり、安土城中で相撲を見物したという。

 江戸開幕と前後して、社寺建立・修築の費用を集める目的で「勧進相撲」が京都で興行されはじめ、同時に職業力士が登場するようになった。初めは私的に行なわれたが、幕府制度が整うと厳しい公許制が勧進相撲にも布かれる。記録に残る最も古い公許は、正保二年(一六四五)六月、京都軋の森で行なわれた勧進とされるが定かでない。

また江戸は寛永元年(一六二四)に笹寺で、大坂は元禄五年(一六九二)南堀江で初勧進が打たれたというが、伝説の域を出ない。

 勧進相撲の熱にうかされ、興行場で刃傷・喧嘩が絶えず、江戸では慶安元年(一六四八)二月に相撲禁令が出る。

寛文元年(一六六一)十二月にも再度禁令を申し渡され、このため江戸は大坂・京都より立ち遅れ、上方に好力士が集中した。だが貞享元年(一六八四)冬に深川八幡宮で晴天八日間の興行が再許されてのち、しだいに活気を呈し、のちには二都を完全に凌ぐようになり、天明年間(一七八一~八九)から回向院が定期興行地になった。

 大名の中にも好角家がおり、扶持を与えて力士を召しかかえ、家臣並とした。土俵入りだけをつとめる看板大関がいれば、谷風・小野川が実力を認められ、熊本の吉田司家から「横綱」(明治二十三年までは地位でなく称号)を許された。

ただし、江戸期の番附や取組は厳密ではなく、もつれた勝負を会所で預る形の「預り」や、少し勝負が長びくと「引分け」、または「休み」などが多かった。なお、江戸時代に優勝制度はなかったが、ここでは幕内最高成績を優勝として記した。

また、当時の「幕下」上位は、現在の十両相当。

 

 この項を書くにあたり、酒井忠正・池田雅雄氏の諸研究を参考にさせていただき、南

隆治氏の助言を得ました。

 






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最終更新日  2021年05月15日 05時39分09秒
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