カテゴリ:話のタネ本 東堀一郎氏著
観客を泣かせる演技 五代目尾上菊五郎
話のタネになる本 昭和49年4月5日 20版発行 東堀一郎氏著 株式会社 光文書院 話のタネになる本 一部加筆 山口素堂資料室
明治政府の優秀な官僚大江卓が、五代目尾上菊五郎に、観客を泣かせる秘訣を尋ねたことかあります。菊五郎は 「べつに秘訣なんてものはございませんが、あっしは舞台へ出たときぐるっとお客を見渡して、かっぶくの良さそうな人を見つけると、その一人に対して、いっしょうけんめい芝居をし、やがてその人が鼻をすするようになると、満場の見物も同様に感きわまって泣いてくれるのです」と答えました。 大江はひどく感心し、この手は演説に用いられるとして、以後大江は場内に一定の人を定めて説きかける話し方を工夫して、その声価を上げました。この大江卓は明治三年神奈川県令のとき、清国のドレイを助けたマジヤ・ルース号事件を裁いて有名になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年05月21日 18時30分41秒
コメント(0) | コメントを書く
[話のタネ本 東堀一郎氏著] カテゴリの最新記事
|
|