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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年05月25日
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カテゴリ:著名人紹介

北村季吟日記 寛文元年七月


 七月一日 

 

三百韻点下す。

日感上人せうそこあり。

 

二日 

感上人のもとに至る。和語記の事によりて也。

 

三日 

あつさになやみ暮す。夕かた万や源兵衛にてつれづれくさよむ。

 

四日 

真斎以悦なと東山知恩院桟門にあそひてくらす。

夕立うちして涼しき事いふへくもあらす。 

山鳴谷こたへ、水なかれ霧わたりて、佳景猶」めにあり。

暮かゝるほとに、例の眩暈出て、逃げかへる。

やうやう世のましはりすましき身のありさまなり。

歎くにたへたり。

今年三十八歳猶初めの老にいたらすかし。

天命のうすきにこそ養性はをこたることなけれと、

此比は猶ことりほそし。

 

五日 

松月庵八景の題を人々にうたよませんとてつかはす。

雲山谷花 

池上秋月 

山間朝雲 

嶺松暮雪

草庵夜雨 

高台晩鐘

宝冠仏塔 

雲居古井

 

   つくし大賀宗恩下りてのち終に書中をもうちたえにけれは

思ひ出てかきつかはす。其奥に、

    いとぺしく心つくしの空やいかに

都もいまは秋かぜそ吹」

   荻の葉の音信るまていかに猶

かきたえぬらし文月の空

   いとゝしく心つくしの空やいかに

       都もいまはあきかせそ吹く

   萩のはの音信るまでいかに猶

       かきたえぬらし文の空

なをよみつかはす。

 

  昼つかた、令首元両吟の漢和もていませり。

彼松月の八景に宝冠仏塔なかにつきて

 

難題なるへし、是をよみ給へといひやらんかたの、

いと心なきににたるへけれは、

猶せんかたなくて予か詠むへきになりぬ。即けふ一首詠みつ

   八坂瓊の玉といふとも御仏の

宿るひかりにしかしとそ思ふ

  万葉古風俳諧に似たりけれといとせんすへなし。

夕かた岸辺やに徒然よむ。

 

六日 

奥村退歩来ル。夕かた七夕のうた発句しつ。

    ひとゝせをまつにかゝれるあま衣

こよひや袖はほしあひのそら

 俳諧河西牽牛夫と云る心を

    西ふくや妻を恋風お七夕

   夕つかた、猪飼氏光中、上村竹庵、雲瑞院殿なとにまいる。

 

七日 

例の人々来ル。七夕に手向るうた、此比所労の事を思ひて

なかゝれとねかひの糸に玉のおゝくりかへしても

いのる比哉とそことふきしつ。

 

   昼は東御門主にまふて」花をみる。

夕かた、飛鳥井とのゝ御まりをみる。

夜、奥村退歩来りて、土佐日記の物かたりす。

初夜の比より雨ふる。

けふ藤本無瑞年比の契約なりし天福本のいせ物語

一宇不違の写シたるを得させたり。

実に将来の証本道の重宝しく物なし。

即七夕にまつりしつ。

 

八日 

雨ふる。三井近次にて榊の巻より。

夕かた万や源兵衛にてつれづれ草よむ。

所労をこりて、いたくなやめり。

 

九日 

所労之故ふし暮して東山にもえまうてす。

 

十日 

もおなし。

 

   十一日 

少所労をこたる。猶気つかへておほゆ。 

ひるつかた道慶来て閑談。

 

十二日 

猶所労の名残有。ひるつかた、

東山にまうてぬ。友閑にかたる。

叉臼井長兵崔にかたる。

専女ノ三孤神、稲荷のの神体秘説のよし被けふ、

奥州岩城におはす、

内藤左京殿の御内磯江吉左衛門跡盛もとより状ををこせらる。

已然林和泉をもちて愚句とも見たき、との給ひしは、

何やらん集作らんためにとの断也。 

是即左京高殿の仰せとて也。けふの返事しつ。

撰集のさま新犬つくは作りし心はへなといひやりつ。

けふ又猪飼氏より点取一巻をこせらる。

大津小河宗左衛門殿の御かたよりと也。即点して遣ス。

 

十三日 

終日家事をいとなむ。

夕つかた、北村義行もとにゆく。庭の月いと面白し。

荒川真桑なと風味珍重なりし。

平瀬利冬に、たんさく書てつかはす。

次手に盆の句ぜし、かきてみせつ。

    いさめよや心の駒のかけ躍

 

十四日 

未明におきつ。先師の御影の前に例の香花しつ。

けふは立秋成けれは、

なき人もゆきけん西の雲ゐより

秋とゝもにやけふはきなまし

 

十五日 

とくおきぬ。

武田徳院、飛鳥井殿なとにつとめて行。

ひるつかた東御門主に、例のうた発句たいまつる。

夕かた季重をよひよせて御堂のとうろ、みせつ。月いとよし。

 

十六日 

北村閑只きたりて立花の物語す。

専好より四代の伝受と也。いといみし。

其次手にいけはなの事を語に、

船はかたふかぬやうに花のつりあひを専とせり。

とにかくにかへりさうなるは不吉也。

又追手をよき事にすれは、花のなひきに其心あるへし。

さかる下とものかたにある」へし。

へさきはあるへからす。

さかるえたをしてはかたくにもちあひてつよく、

たちたるえたあれはつりあひ、よしとそ。

二重きりのつゝは、まづはきりため也。

利休の比より、たまたま床にいくる事あり。

客にも望まんと、おもはゞ我下の重にみし、

かくいけて客にうへの重にはたらきていけさするやうにあるへし。

又二重なからいけ侍るに、木はうへ、草はした也。

一重の筒はわのしたニテしまひだるよし。

   もしたちのひたる物なとは、わのうへもくるしからす。

惣別かやうのたくひの余に、せいたかきは悪しとかや。

かうしくち木の名ある花瓶ニハ其口をあらはしていくへし。

青地の花瓶はおほくはつきめあり。

つきめあらは花にても葉にても其つめきを隠すを第一とすへし。

世に出舟人舟といふ事、

あれと今はさして其へたてなくあかりをうくるを第一とすへし。と云々。

おもとの前をきに、さへなみの葉といふ事あり、心すへし。と云々。

猶盆山のすへしとの事迄、今節にかたらんなといへり。

夕かた土佐日記の抄ヲ、かきかゝれり。是下心ありて也。

 

十七日

友光亭にて源氏をよむ。かけ物風にゆるゝに、針さゝれける、

印之通の中へりのしたにさせり。」

 

十八日 

近次のもとにてよむ。

夕かた、霊随院殿にまいる。作日ところ給りし礼に也。

 

十九日 

宿にてつれづれ草よむ。近次、横田善太夫なと所望にて先日よりの次也。

晝、東山へまうてぬ。雪前腕殿に坐右をかす。

 

廿日 

以悦亭月次。先月ある興行けふにのひぬ。矍麥露。

  玉ぬきし春の柳も秋萩も

しく色はなきとこなつの店

   忘恋

     わか袖のぶそみたるゝ忘れ草

しけりにけりな人の心に

 

廿一日 

所労にて東御門」跡御連歌不出ぜり。」

 

廿二日

 所労。

 

廿三日 

所労。

 

廿四日 

所労少隙ありて、壬生にまうつ。

 

廿五日 

東門主の御忌月なれは、東御堂にまいる。

 

廿六日 

土佐日記書、夕かた所労おこる。

 

廿七日 

所労引篭。

 

廿八日 

源氏講も、徒然草講ものへつ。所労。

 

廿九日 

少所労隙ありて、平野茂安を見まふ。

叉、上林紹喜満廓坊になれは見廻つ。

庭にあけとうろあり。必伝なとあるに発旬せよ」

となりけれは、ほかけろふすふきや露をあけとうろ。

 

三十日 

上林紹昌にて、終日かたる。






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最終更新日  2021年05月25日 20時22分29秒
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