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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年06月04日
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カテゴリ:山口素堂資料室
山口黒露
山口黒露は甲府稲中庵と号した。甲府の人であり、緑町に住んでいた。素堂の弟友哲の家僕の子であり、少年時代から素堂について俳諧を学んだ。黒露は俳諧のみではなく、素堂に茶事を学び、そのほか双六・琴等に優れていた。享保二(一七一七)年に前年没した素堂の追善集『通天橋』を編集し、同八年には淡々主催の「晋子(其角)十七回」に長水・巴人・我兄・蔽牛・素丸(馬光)等と六吟歌仙を興行し、同十一年の秋には俳諧修業のため諸国行脚に出ている。
 以後甲府において俳諧宗匠として、蕉風俳諧の理念を求めて活躍する生涯を送った。元文元(一七三六)年には『燈火三吟』を編集しているが、俳友・門弟の歌仙・句が収められており、確固とした宗匠としての地位についているように思われる。
  
名開きや伝ふる梅の白きより
  万歳やかぞへ立てても竹柱
  鶯の三つまるめて初音かな
 
師匠素堂の死に際しては、
  
猿洩にはなれて猿の夜寒かな
と孤独になった寂しさを詠んでいる。
 
山口黒露は亭保二(一七一七)年に来甲し、稲中庵を創設し、甲州俳壇の指導を行った。
 山口黒露の門人に、甲府稲中庵二世小倉稲後と湖南宇石がいる。甲府稲中庵二世小倉稲後の門人に幸松園利躬かおり、湖南亭宇石の門人に宮崎汀亀がいる。
 小食稲後の没後一周忌の追善俳諧集『こぞのなつ』が寛政三(一七九一)年に刊行されるが、若神子の春米・東向の汀亀の次の句が掲載されている。
  
おしまるゝ花は散り行くぼたん哉   若神子 春米
  其国の涼みははなも降るとなん    東向  汀亀
 
 湘南亭字石
湖南亭字石は本名、奥野三右衛門で、一橋御陣屋の代官であった。
天明二(一七八二)年韮崎に来て、寛政二(一七九〇)年江戸に帰っている。蕉風俳諧を好み、しばしば隣村であった宇津谷村(塩崎村、現甲斐市)の豪農久保寺平右衛門、俳号亀玉亭と俳諧興行を行っていた。また甲府稲中庵二世小倉稲後とも親しく交わっていた。
  
諂(へつら)わぬ技から梅の花香哉
  予を起すものゝひとつぞ梅の花
  青柳といふまで目は育ちけり
  梅咲くや猫の目ほそき爐のあたり
の句を残している。
 
 湘南亭字石は天野何来編の『寿幾むら東上巻』に独吟歌仙を載せている。「歌仙」は俳諧歌仙の略で、数人で長句と短句を交互に詠んでいく連句の形式で三十六句連ねるものである。この場合は一人で三十六句詠んでいる。
 「時鳥雲より下の声高し」
は季語は「時鳥(ほととぎす)]で夏。ほととぎすが雲より下で、高い声で鴫いている。
 [酒飲む筈の夏の寄合]
夏、ほととぎすの鴫き声を聞きながら酒を飲もうとしている。脇句は発句と同季節で詠むことが決まりになっている。
 「鑓▽不長刀ひと手入れかへて」寄合は武士の寄合で、鑓・長刀そ
れぞれT率入れ替える。第三旬は内容を転じることを本意とする。
 「骨ふとぐとわるい居住ひ」武士達は骨ふとぶととした恐ろし
い男達で、そこにいるのも嫌になる。
 「汲水をこぼし兼たる月の桶」月に照らされているその家の桶に
汲んだ水は溢れそうである。歌仙初折五旬日は月の座であるので、
月を詠む。
 「苔も少しの草の華なり」そこに生えている苔は美しく見える。
 「そり下げの鬘おかしげに秋寒き」秋寒く、そり下げの鬘格好の
男は面白く目立つ。
 「物がたりよむ恋の関守」そり下げの鬘をした恋心の関守が恋物
語を読んでいる。
 「塗りごめにいとなまめける囲もの」周囲を塗り込められた部屋
にいる恋する囲われの女性は、なまめかしく化粧をしている。以下
略。
 湘南亭雫石について小沢柳涯は『甲斐体人伝』 において「体調
未だ古徹を脱せず、住絶と称する能はざるも一権官透の気あり」と
述べている。宮崎汀亀は湘南亭雫石の俳諧によって俳諧の世界に
入っていくのである。





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最終更新日  2021年06月04日 16時32分37秒
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