カテゴリ:山口素堂・松尾芭蕉資料室
山口素堂 貞享三年(1686) 秋、「芭蕉素堂に瓢の銘を求む」 素堂… あるひと芭蕉庵にひさこを送れり、長さ三尺にあまり、めぐり四尺にミつ。天然みかゝすして光あり。うてハあやしきひゞきを出す。是をならして謳歌しあるハ竹婦人になぞらへて、納涼のそなへとし、又米いるゝ器となして、うち無しなしき時は朋友の許へ投すれハ滞ちて帰りぬ。 予是に銘していはく 一瓢重泰山 自笑称箕山 莫慣首陽山 這中飯穎山
芭蕉… 顔公の垣根におへるかたみにもあらず、恵子がつたふ種にしもあらで、我ひとつのひさごあり、是をたくみにつけて、花入るゝ器にせむとすれば、大にしてのりにあたらず。さゝえに作りて酒をもらむとすれば、かたちみる所なし。ある人のいはく、草庵いみじき種、入べきものなりと、まこ とによもぎのこゝろあるかな。隠士素堂にこふて、これが名を得さしむ。そのことばは右にしるす。 一瓢重泰山 自笑称箕山 莫慣首陽山 這中飯穎山 其句みな山をもてあてらるゝがゆえに、四山と呼ぶ、中にも喰穎山は老杜のすめる地にして、季白たはぶれの句あり。素翁の季白にかはりて我貧をきよくせむとす。かつ、むなしきときは塵の器となれ。得る時は、一壷も干金をいただいて、黛山もかろしとせむことしかり。
ものひとつ瓢はかろき我よかな 芭蕉 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月05日 08時10分33秒
コメント(0) | コメントを書く
[山口素堂・松尾芭蕉資料室] カテゴリの最新記事
|
|