カテゴリ:山口素堂資料室
『陸奥ちどり』桃隣編。山口素堂・序文・56才 元禄九年の芭蕉三回忌追善集
はせをの老人の行脚せしみちのおくの跡を尋て、 風雲流水の身となりて、 さるべき処々にては吟興を動かし 他の世上のこころごころを撰そへて、 むつちどりと名付らる、 其人は武陽の桃隣也。 予がむかしかならず鹿島、松嶋へていへるがごとく、 己を忘れずばがら年のへぬれば、 夕を秋のタ哉といひけむ、 松嶋のタげしきを見やせまじ、見ずやあらまし。 みちのおくはいづくはあれど松嶋塩釜の秋にしくはあらじ、 花の上こぐ海士の鉤舟 と詠じけるをきけば、 春にもこころひかれ侍れどなをきさかたの月、 宮城野の萩、其名ばかりをとどめきけむ。 実方の薄のみだれなど、いひつづくれば、 秋のみぞ、心お ほかるべき、白河の秋風。
時是元禄丑の年八月望にちかきころ 素堂かきぬ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月08日 16時13分39秒
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