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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年06月09日
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カテゴリ:山口素堂資料室

晋(宝井)其角 『虚栗』みなしぐり(一) 

 

編集 山口素堂資料室

 

噛古人貧交行之誌吐而戲序

セバヘハ雨粉々タル俳句何須敬ケン

世不ㇾ見宗鑑ヘリ

道今人棄如シ

 

凩よ世に拾はれぬみなし栗 

晋其角敬  

 

虚栗集

    改正

 

者鼓敵(タタキ)門しだくらく花明か也  幻吁

賤よ春餅にはふ宿ならん         三峯

初烏帽子飾りの床やむら鳥        玉尺

先伴に太山むろしや門の松        残詞

春紫葩木深き宿を山路哉         醉紅

餅ヲ焼て富知ル日の轉士かな       糜塒

   句ひねたり今年二十五の翁        文徘

髭隠るやと(トコロ)にかざす藪柑子     杉風

いでや春地なし小袖のかいどりせる    信徳

月は更科もあれ我蓬莱の朝日守      友静

山松やうらの藪より今朝の春       千之

六尺袴着て鹿見帰らじ松の門       千春

春ごとに松は食(メシ)くふて年ふるや   ト尺

春ヲ何と凧のごまめ時雨の海老      蘭嵐

餅の室根深を蘭の薫り哉         嵐竹

海老臥龍餅をうがつに玉あらん      北鯤

屠蘇ふらば傘すてん若時雨        楓與

朝明のはつねの關や籠守         李下

餅の島ごまめの白地眠リけり       洗口

初禮や富士をかさねて扁狩        梧風

代ヲタメス銀池に鴻の觜(ハン)鈍し    仙化

民の戸や松に餅さく百代(モモカヘリ)     柳興

初なぎやしらけの嶋の空榧(カヤ)    

花申せ吉野三味線國‐栖鼓        才丸

     烟の中に年の昏(クレ)けるを

★霞むらん火ゝ出見の世の朝渚       似春

 

天和三年 試筆

 

鶴さもあれ頗淵ち生きて千の春      其角

   身の正月ヲ屈原が酔           嵐雪

花に行秋はさぴしき男にて         藤匂

  

天和三年 其二

   浦島をあやまるや世の若戒        藤匂

鹽-鯛は死ヲもって叙はれ       其角

芹炊ぐ盞は夢の器            嵐雪

カン サカズキ ウツワモノ

 

 天和三年 其三

今朝春の奥孫もあり彦もあり榾ヲ富ム       嵐雪

  杖こゝろむる梅のかけはし       藤匂

三線の及第蝶の冠して           其角

とゝはやす女は聲若しなつみ歌       嵐雪

芋室の雪間や寒き下若菜          言籬

玉うどのうつくし苣の早苗の薄緑      杉風 

情うるや都は雪のはつよめ菜     伊勢 勝

   何溪-邊双―白-鷺        其角

   旡頭―上亦

髪あらふ鶯芹とかす澤邊哉         其角

小袖着るせて悌匂へ梅がつま        同

追鳥や梅枝に息をたすけたる        千春

うぐひすのよぶかあやしの賣        翠紅

ツルハシテユワミセ

 鳥シテクロメ

  川烏白うを浴せすして白し         楓興

  漁消てしらぬひの佃魚白し         全琴

★浪ヲ饒かと自魚屋の遠津潟         糜塒

  雪を染て白うを流せ冬菜川         嵐朝

  白魚は朧にて海雲を晴ルゝ笧(シガラミ)かな   翠紅

  しら魚の昔汀の鶯の消えかへり       心棘

  梟(ケツ)朽て釘の角ぐむ蘆べ哉       黄吻

  盧のあやしく蝸牛(カタツムリ)を角のかきほ哉  忘水 

   在原寺にて 

  美男村の柳はむかしを泣せけり       鼓角

 ★うぐひすを魂(タマ)にねむるか嬌(クヲ)柳  芭蕉

  に風―女緄(ユカタ)かさうか雨柳      杉風

  昭君の柳をさんや塘(ズツミ)かな      才丸

  柳たれてあらしに猫ヲ釣ル夜哉       木因

  むらつばめ柳になつる柱(コトヂ)かな    四友

  川風に夕日やすかすつばめ網        藤匂

  柳にはふかでおのれあらし心夕燕      嵐雪

  傘にねぐらかさうやぬれ燕         其角

  袖つぼめ舞たり蓮の盞(サカズキ)       暁雲

聲北におもかげのみか白鷺         羊角

行雁や見のこす妻の花盛          在意

友嘶(イバ)ふ駒の勢やすらん雲雀笛     野笛

   【嘶】いななく

 

女にかはりて

 

なれも懸猫に伽羅焼てうかれけり      嵐雪

愛あまる猫は傾婦の媚(コビ)ヲ仮(カル)   才丸

戀守や猫こさじとは箱根山         言水

   不生不滅の心を

の鼾(イビキ)ヲ悟れ涅槃像       其角

莖立(ククダチ)ヲ折てさとるに早し涅槃粥   言水

   寒食

 

木食も香炉に姻なき日なり         鼓角

木食の日旅人たばこに飢つらん       藤匂

寒食や竃下に猫の目を怪しむ        其角

佛か貴―妃のだやめる朧月         四友

   春雨偶興

春の餅かびて嵯峨野の秋と誰レ            其流

烏賊(イカ)のぼり反て野守の鏡かな     工迪

   三陽

  醴(アマザケ)に挑-裏の詩人髭自し      其角

   薪ヲ匂ふ山吹の粥            李下

榮―泉の蛙小判に身をよせて        柳興

   其二

けふぞ背子土圭(セコトケイ)の身に花かづら   柳興

   さゝ波うたふ蝶の釣竿           其角

心扇つばめやくるふらん         李下

   其三

僧の謂うどは廬山の挑の時         李下

   蕨ハ筆を握ルつれずれ          柳興

春雨を三とせ敞に囚(トラ)はれて      其角

 

雛ヲ抱てうたゝね桃に契りけり       其流

宵月の花のかがりや夜遊雛

挑囿(ゾノ)の猫かひさらせひな車      露草

ひなに懸て胡葱のうら亂しな        松濤

離若は桃壷の腹にやどりてか        挙白

龍田姫そめけん離のから錦         子堂

雛丸が夫婦や桃の露不老國         羊角

甕―飼は死ヲもって叙はれ

汐干潟海鹿の野馬見て行ん         卜尺

汐干くれて蠏(カニ)が裾引なごり哉     嵐雪

魚夫出て三ケ月ひろふ汐干哉        立志

  夕ばえや金(インス)をなげて蜆蜑(シジミタン)  以貞

テハリ洒

     貧シテハ始テ覚錢神

花にうき世我酒白く食黒し         芭蕉 ★

   眠ヲ盡ス陽炎の痩            一晶

鶴啼て青鷺夏を隣るらん          嵐雪

 童子礫(ツブテ)を手折ル唐―梅      其角     

月ヲ濁す汀の蓼ヲ蘆刈て          嵐蘭

   浪のさざれにたなご釣影          筆

琵琶洗ふ雨よし朝の時雨よし        一晶

   朝にえぽしをふるふ紙衣         芭蕉 ★

浪人の懸するを詰(ナブリ)むぼしめす     嵐雪

 やぶの一夜に入ルかひぞなき       嵐蘭

散さくら同じ宗旨ヲ誓いひける       其角

   藤は退く之が肝(キモ)―魂ヲ奪(バツ)   一晶

雷鳥のはつねはハシヲ鳴ハならん      芭蕉 ★

 汐てる海に鰹孕る            嵐雪

傾城の鏡を捨し神代ヨり          一晶

   羽をりに角をかくす風流雄(タハレオ)   其角

化(アダ)しのゝ棺ヲ出て草の月       嵐蘭

   破蕉誤ツテ詩の上を次グ         嵐雪

朝鮮に西瓜ヲ贈る遙ナリ          芭蕉 ★

   つくししらぬひの松浦片揆        一晶

めづら見るあげやあげやの萱庇       嵐雪

   蚤は私(ササメ)の盞をのむ         嵐蘭

櫛入レぬ影は六十の荊にて

   御所に胡座(アグラ)かく世ヲ夷(ウズイ)也 芭蕉 ★

人の怪異穂長の宵の熨を呑む        嵐蘭

   松田くびなき雪の曙           嵐雪

きたたしや陣中に似せ鼾(イビキ)かく    其角

   山野に凱て餅を貪(ムサブ)ル       嵐蘭

盗ミ井の月に伯夷が足あらふ        芭蕉 ★

   とくさは武士の憤(イキドヲリ)草      其角

見ぐるしき艶書をやくや柴杷(モミジ)    嵐蘭

   笑ひさんやに帰ル魂           一晶

暁の寝言を母にさまされて         嵐雪

   つゐに発心ならず也けり         芭蕉 ★

花に柄山の列をはねたらん        其角

   柳にすねて海布(クキ)ヲ酒呑       嵐蘭

  

詠懐

 

花に今頼政が歌を知哉           露沾 ★内藤氏

我杖に秣(マグサ)かふべし花の山      幻吁

身は里に麥待花の日数かな         似春

雨花ヲ咲て枳殼の怒心あり         糜塒 ★

伽羅は鈍し浴堂の花に干鬘(カモジ)     露草

花醉鳥故山にねぐら忘けり         云笑

にくしとて瑟を筏の峰の花                   四友

余所に男薄暮に花をみる男         杉風

あみ笠刀うき世つたふか花見猿               嵐蘭

紅といへ花人が合羽日照傘          千春

 

   吉野蔵王堂にて

 

片足は花の塵いとひ給ひけり        千之

  

   

唐山の夜上野は花の畫たらん        楊水

  山は笑む上野東の美人ならん        才丸

落-花雨美人の化粧流し也         一東

花は楚‐地雨のなごりや腐(クサレ)足袋    洙ロ

  

七賢の自書に

 

花と世を竹にそげたる翁かな        樵花

    不(ンバ)花死不(ニアルト)休(セ)矣   

於屍花と流るゝかばね哉          嵐蘭

蓑着たる樵リ子いつの花の紅        露宿

    惜花死不ンバハナニアツモ矣        嵐蘭

僕落(ヤッコ)花に朝寝ゆるしけり     其角

  

彫笛縫花に晴せんうき世哉     其角

  

小町の像讃

 

おとこそ風狂亂暇の姥ざくら        宗因 ★西山

美をにくむ心のさくら若衆哉        文排

就中女に戀そゝのかすさくら哉       藤匂

いはば云べく同人に須磨の櫻賤(シズ)    露章

匂ふらんけふ去人と山ざくら        枳嵐

殿は狩ツ妾餅うる櫻茶屋          嵐雪

畫の君うつゝと咲り夢櫻          杉風

  橙のときはにくしや山桜          利久

  遊人去て畫の櫻舞待つ狐          子堂          

 

   目黒松隣堂にて

 

うき世木をふもとに晩ぬ山櫻        其角

梨花さらに柿のはに蝶すだくらん      嵐蘭

海棠やうき世美人の空ねいり        樵花

たんぽゝよ口おしの花の和(アワ)物や    九十

たんぽゝや春とはぬ宿の忘れ菊       山店

  

さんや吟行

 

詩(カジウタ)を加賀にやはらぐ蛙かな     文排        

角田川宸は田にしつむ野かな

麥職に野守かせ田螺(タニシ)狩       寸鯨

田にしふむ影生憎(アナニク)ややもめ烏    拾蛍

  

御局の春興

 

下仕(シモヅカヘ)して夜をおぼろげの召す   雪叢

さすかかりきみがきもやら。て夕月夜    四友

菜心花の盛や水司が袖心かはく程      柳興

蝶ちりて菜の花や人あひの鐘        翠紅

小雨けり蕗をしとゞのかくれ傘       露章

あさつきよ香を懐しみ妹が里        紫苟 

 

山吹や无-言禅師のすて衣         藤匂子

   腕を薪の飢の早蕨(ワラビ)         其角

子路が廟夕べや秋とかすむらん        同

  其きらさぎの十六日(イザヨヒ)の文     匂子

花鮎の鮨(スシ)のさかりを惜む哉       同

   樽伐(キル)なりとひびく杣川       其角

金減す我世の外にうかれてや         同

   褞(ジン)袍さむく伯母夢にみゆ      匂子

ひだるさは高野と聞しかねの聲        同

   心-鼠は畫の灯をのむ          其角 

あさましき文字の賊衣魚(ヌスビトシミ)と成   

   小袖をさらす涼店(テン)の風               匂子

夕闌(タケ)で宮女の相撲めし給ふ       同

   天‐盞七ツ星をちかひし          角

月兮(ナレヤ)月兮西瓜に創ヲ曲(カナデ)ケル   

   弓張角豆野に芋ヲ射ル           匂子

里がくれおのれ紙子のかゝしにて       同

   なじみは離(カレ)ぬ雪の吉原        角

米の禮暮待文にいはせけり          同

   初木がらしを餝ルしだ寺          匂子

暁の閼伽(アカ)の若水おとかへて       同

窟(イハヤ)も餅はかびけりの春        角

猟師をいざなふ女あとふかく         同

   なみださがしや首なしの池         匂子

ぬれ具足蘆刈やつに剥(ハガ)れけん      同

   婆靼(タン なめし)にわたる島おろし舟   角

鳥葬(テウソウ)にけふある明日の身ぞつらき   同

   寐ざめ語りをきらふ上‐蕩         匂子

殘(ノコ)る月戸にきぬぎぬの歌ヲ書      同

   蕣(ムクゲ)の朝粧ひ髪ゆふてやる      角

蜩(ヒグラシ)の虚勞すゞしく成にけり      全

   雨母親の留主を慰む            匂子

烟らせて男の立茶水くさし          同

   入あひ迄を借ス座敷かな          角

蝶―居―士が花の衾(フスマ)に夢ちりて     同

   佛にけがす莖立の露            匂子 

 






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最終更新日  2021年06月09日 16時54分25秒
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