カテゴリ:山口素堂・松尾芭蕉資料室
元禄二年(1689)『素堂十三唱』一「其袋」
……十三夜遊園中……
ことしや中秋のつきは心よからず。 此夕はきりにさはりもなく、 遠き山もうしろの園に動き出ルや うにてさきの月のうらみもはれぬ。
富士筑波二夜の月を一夜哉 素堂
寄蕎麦
月に蕎麦を占こと、ふるき文に見えたり。 我そばはうらなふによしなし。
月九分あれのの蕎麦よ花一つ 素堂
畠中に霜を待瓜あり、誠に筆をたてて
冬瓜におもふ事かく月み哉 素堂
同隠相求といふ心を
むくの木むく島ならし月 素堂
一水一月干水千月といふ古ごとにすがりて、我身ひとつの月を問う
袖につまに露分衣月幾つ 素堂
こぞのこよひは、彼庵に月をもて遊びて、 こしの人あり、つくしの僧あり、 あるじ(芭蕉)もさらしなの月より帰て、 木曾の痩まだなをらぬになど詠じけらし。 ことしも又月のためとて庵を出ぬ。 松しまのきさがたをはじめ、 さるべきつきの所々をつきして、 隠のおもひ出にせんと成べし。
このたびは月に肥てやかへりなん 素堂 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月16日 06時49分49秒
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