2297841 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2021年06月16日
XML

元禄五年(1692) 素堂51才『三日月日記』

 

我が友芭蕉の翁、月にふけりて、

いつともわかぬものから、

ことに秋をわたりて、求なし。

あるときは敦賀の津にありて、越の海にさまよひ、

其のさきの秋は、石山の高根にしはし庵をむすひて、

琵琶湖の月を詠し、

二とせ三とせをへたてて、此郷の秋と共にあふなるへし。

文月のはしめは、蚊にふさきも静ならす、

玉祭頃はこれにかかつらひ、

在明のころの下絃のころも、雨のさはりのみにして、

初秋は暮れぬ。

なかの秋にいたりて、

はつ月のはつかなる日より、

夜毎に文月のおもひなし、

くもりみはれみ、扇をおほふことまれ也。

我庵をちかきわたりなれは、

月にふたり隠者の市なさんと、

みつから申つることくさも古めきて、

入くる人々にも句をすすむることになりぬ。

むかしより隠の実ありて、

名の世にあらはるること、月のこころなるへし。

我身くもれと、

すてられし西行たに、かくれはてす、

人のよふにまかせて、僧正とあふかれたまふも、

なお風流のためしならずや。

此翁のかくれ家もかならず隣ありと、

名もまたよふにまかせらるへし。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021年06月16日 07時23分06秒
コメント(0) | コメントを書く
[山口素堂・松尾芭蕉資料室] カテゴリの最新記事


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

山口素堂

山口素堂

カレンダー

楽天カード

お気に入りブログ

9/28(土)メンテナ… 楽天ブログスタッフさん

コメント新着

 三条実美氏の画像について@ Re:古写真 三条実美 中岡慎太郎(04/21) はじめまして。 突然の連絡失礼いたします…
 北巨摩郡に歴史に残されていない幕府拝領領地だった寺跡があるようです@ Re:山梨県郷土史年表 慶応三年(1867)(12/27) 最近旧熱美村の石碑に市誌に残さず石碑を…
 芳賀啓@ Re:芭蕉庵と江戸の町 鈴木理生氏著(12/11) 鈴木理生氏が書いたものは大方読んできま…
 ガーゴイル@ どこのドイツ あけぼの見たし青田原は黒水の青田原であ…
 多田裕計@ Re:柴又帝釈天(09/26) 多田裕計 貝本宣広

フリーページ

ニューストピックス


© Rakuten Group, Inc.
X