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2021年08月01日
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江戸 五人組御仕置帳について 享保十年(1725)

 

 

参考 白州町誌・武川村誌

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

五人組制度の起源は、古代律令制下の五保制(五保の制)といわれる。

 

五人組制度は村では惣百姓、町では地主・家持を近隣ごとに五戸前後を一組として編成し、各組に代表者を定めて名主・庄屋の統率下に組織化したもので、これは連帯責任・相互監察・相互扶助の単位であり、領主はこの組織を利用して治安維持・村(町)の中の争議の解決・年貢の確保・法令の伝達周知の徹底をはかった。

また町村ごとに遵守する法令と組ごとの人別および各戸当主・村役人の連判を記した五人組帳という帳簿が作成された。

 

実態は逃散したりして潰れた家や実際の住民構成とはかけ離れた内容が五人組帳に記載されていた場合があったり、また年貢滞納をはじめとする村の中の争議は、村請制の下では五人組ではなく村落規模で合議・責任処理されるのが普通であった。

五人組制度の存在が、間接的に名主・庄屋の権威を裏付け、住民の生活を制約すると同時に町村の自治とりまとめを強化することには役立った。

近代的自治法の整備とともに五人組は法制的には消滅したが、第二次世界大戦中の隣組、戦後は町内会にその性格は受け継がれていた。

五人組の遵守すべき法令を前言に列挙し、村役人およびすべての五人組住民がが連署連判して、法令に違犯しない旨誓約した請書をつけた帳簿である。

 

前まえ公儀より度々出され候御法度の趣き、いよいよ以て堅く相守り、御制法の儀に相そむかざる様に、村中小百姓下々迄申し付くべき事。

 

五人組の儀、町場は家並、在郷はもより次第に五軒ずつ組合い、子供ならびに下人・たな貸し・借地の者に至るまで、悪事仕らざる様に組中油断なく詮議せしむべし。若しいたずらものこれ有り、名主の申し付けをも用いず候わば、これを訴うべき事。

 

隔年、宗門改帳三月までのうちに差し出すべく候、若し御法度の宗門の者これ有らは、早速申し出すべく候。

切支丹宗門の儀、御高札の旨相守り、宗門帳の通り人別入念に相改むべく、宗門帳済み候てのち召し抱え候、33下人の寺請状、別紙取り置くべき事。

 

五人組宗門帳に押し候他に印刻致し置くまじく候。もし子絹候て印判替え候わば、名主・長百姓は役所迄相断るべし。

其のほかの百姓は名主・長百姓へ断るべし。

名を改め候わば早速五人組へ断り致し、宗門帳へも改め候名を記すべき事。

 

 切支丹ころび侯ものならびに類族これ有らば別帳にこれを記すべし。

 切支丹奉行所へ差出し置き候ことに候の間、たとえ他村より縁組等にて当村へ右の族来り候わば、早速注進すべき事。

 

畑並びに山林等、永代売買御停止に候、若し質物に書き入れ候わば、拾か年を限り質物手形に名主・長百姓に加判仕らすべく候、田畑質に入れ金銀借り置き、田畑をば金主に仰らせ候て、御年貢地主より 出し候儀仕るべからず候。

惣て証文あやしき文言これ有らば、出入に成り候時、訴訟取り上げず、且つ又証入井びに名主の印形、取り置き申すべき事。

【附り】

名主・組頭へ加判願い候わば、其の様子を承り届け、早速に加判致し遺わすべきに候事

衣類・道具又は門橋等のはづし金物類、出所知れざる売買物、いっさい買取るまじく供、右質にも取らず又は預け置くべからず、出所知れ候物にても、請け人これ無く候わば質にも取るまじく供事。

惣て家業を第一に相勤むべし、百姓に似合わざる遊芸を好み、或いは悪心をもって公事たくみ致し、非公事をすゝめ、偽りを以て書をなすもの、又は不孝の輩にあらは隠し置かず申し出づべし。何事によらず神水を呑み、誓詞を書き申し合わ せ、一味同心いたし、徒党がまよき儀、仕るべからざる事。

盗賊・悪党人これ有らば、訴人仕るべし、褒美を取らすべし。其の上あだをなさざる様に申し付くべき事。

百姓衣類の儀、結構或るものを着るベからず。

名主は妻子共に絹紬・木綿・これを着るべし。

平百姓は木綿のほかはこれを着るべからず。

綸子・紗・綾・縮緬の類、襟・帯等にも致すまじく事。

然れども平百姓にても身肱(身代・暮らし向き)よろしきものは、手代方までことわりを立て、差図を請け、絹紬を着るべき事。

【附たり】、

男女ともに乗物に乗るべからず。惣て景仰等目立ち供普請奢がましき儀、仕るまじき事。

婿取り・嫁取りに祝儀、奢がましき儀これ無き様、分限より軽く仕るべし。人大勢集り大酒呑むべからず、

ところにより改景の祝義、新宅のひろめ(披露)、初産の祝義などとて不相応の祝仕り侯義は停止たるべし。分限に応じ、内所(内緒)にて軽く祝い仕るべく候。祝言水祝 (新婚最初の正月の神詣の帰りに、若者たちが新郎に水をかける風習)停止の事

  【附たり】、

葬礼の野酒、一切停止の事

捨て子仕るべからず。若し他所の者捨て置き候わば村中にて養育致し、早速注進すべき事。

生類憐みの儀を心掛け、不実無き様に仕るべく候、不仁の義、一切仕るべからざる事

猟師のほか鳥獣一切取るべからず。猟師たりというとも鶴・白鳥を取るの儀、御停止に候。若し村中にて鶴・白鳥を売買致し候ものあらはこれを訴うべき事。

牛馬を捨つるの儀、致すべからず候。よその捨牛馬井びに放れ牛馬、当村へ来り候わば、見出し次第名主・組頭へ各の村中立合い、詮義致し、持主知れ候わば其の村の名主井びに牛馬の主より手形を取り相返し、其の上早速注進すべき事。

馬の筋をのべ候儀、御停止に誤。牛馬売買仕り候わば出所を聞き届け、請人を取り、五人組へ相断り売買仕るべく候。出所確かならざる牛馬は、買い取るべからざる事。

新地の寺社建立の儀、堅く停止たるべく候。惣べて月次の念仏・題目の石塔・供養塚・庚中塚・石地蔵の類、田畑山林又は道路の端、新規に一切立てまじく候。仏事・神事・祭礼等は軽くこれを執り行い、新規に祭礼を取り立つべからざる事。

寺社の儀、住持・社人替り候わば、注進すべき事。

神仏開帳致し侯わば注進すべし。当村の神仏、他国へ当分相移り、開帳仕り候儀これ有らば、前方注進すべし。

又は他所より神輿を送り来り候様なる儀これ有らば、請け取るべからず。村の中に少しの間も指し置き申すまじき事。

当村にこれ有り候出家・社人・山伏・行人・道心者又は非人等、其のほかエタのたぐい、常々吟味致し恨て、うろんなる者住居仕らせまじく候。

名主・組頭へ相達し、他村より来り恨者一夜の宿も仕らせざる 様に、右の者共へ中し付くべき事。

当村の者の内、或は立ち退き、或は逐電し、或は身上潰し候て住居成 り難きものこれ有らば注進すべし。

又は他より子細これ有り、立ち退き来り候もの、親類たりというとも当村に一切差し置くまじく候事。

一 

 他所の者当村に有り附き、庄宅仕り度しと願い候者は、其の者の出所、家職の様子聞き届け、出所の村方名主へこれを届け、慥かなる請け人手形、これを取り、宗門の旨相改め、詮義を遂げ候て差し置くべし。店借り、地かり等の者置き候儀も右同前と相心得べき事。

百姓、田畑、孫子に分け取らせ候とも、一人前の高、五石より内に分 くべからず。小高の百姓は孫子分け取らせまじく候。

若し子細これ有り、わけ候程の義これ有らは、差図を得べし。惣べて新規に百姓有り。

【附き】

恨義これ有らば住進すべく候。防火の義は存生の内に親類井びに名主、組頭を立ち合わせ書き付け置き、後日に出入りこれ無き様に心 掛くべき事。

当村の内にて能・あやつり(操芝居の意)・角力、又は狂言其のほか見せ物の類、芝居仕らせまじく候。

私領にても分け郷或は村隣りにて、当村の境目とまぎらわしき地にて致し候わば、芝居始まらざる以前に 早速注進すべき事

惣べて遊女・野郎(男娼)の類、一切当村に置くべからず。一夜の宿をも致すまじき事

行方知れざる者に一夜の宿も貨すべからず。旅人其のほか何者によらず、堂・宮・山林・道路に死人これ有らは、其の者の持ち来たり候、雑物等相改め、名主・組頭立ち会い、様子を委細言付けにて注進すべし。

堂・宮・山林に隠れ忍び、胡乱なる者有らは詮義せしめ、品々により搦め捕り、これを訴うべし。其のほか手負又は不審なる者、他所より来たり候わば出所を尋ね、付け届け致し、注進の上差図を請け候て彼の者を出すべき事。

往来の輩、若し相煩い候わば、早速医者に見せ、随分養生致し能々いたわり、食い物など念を入れあたえ、看病仕り置き、これを注進すべし。

行歩叶わず、先へ参り候儀成り難く候わば、其の者の在所を承おり届け、迎えを呼び手形を取り相渡し遣わし申すべく候。若し病死致し候わば、其の者の道具等を改め、名主・長百姓立会い、封印を致し置き、指図を受くべき事。

殺害人或は自害候もの、或は倒れものこれ有らは番人を付け置き、早速これを訴うべし。

火事・盗賊・喧嘩・手負いの者、惣べて不慮成る義出来候わば、右同前に油断なく注進の事。

【付き】

馬宿へ宝前・大助郷より人馬寄せ候わば、問屋・年寄、又は名主吟味致し、濫りに人馬触れ仕るまじく候。其の宿の馬をかこい置き、面々勝手の荷物を附け候よう或る儀、一切仕るべからざる事

御朱印は勿論、駄賃、伝馬人足の儀、常々吟味致し、滞り無き様に仕るべき事

  【附たり】

助郷へ人馬触れ来り候わば、刻限違えずこれを出だすべし。若し人馬割り心得難き事の候とも、先ず滞おり無く出だし、 後日申し遣わすべき事。

御用の人馬の義、本海道(街道)にてこれ無く候。

往来の者駄賃人馬の義は、昼夜を限らず滞り無くこれを出だすべき事。

 

御朱印、又は御証文もこれ無く、人馬出だし候様と申し、或は駄賃を出ださず通り候ものこれ有らば、其の品より押え置き、名主・組頭立 ち会い、詮議の上、怪しき者にて候わば注進すべき事。

 

村中申し合わせ、番屋を作り番人を附け置き、火の用心随分念を入れ申し附くべし。若し出火これ有らば、声を立て村中立ち会い、精出すべし。勿論御年貢入れ置き紋蔵は大切に囲い申すべき事。

 【 附たり】、

風烈の時分は昼夜に限らず、切々相廻り用心仕るべく候。近在に出火候わば、早々にかけつけ、これを防ぎ申すべき事

堤・川除、切れざる様に常々申し合わせ、洪水の時は村中の者出会い、随分囲うべきの還、橋等の損じ候て往還の障に成り候か、田畑損毛に或るべき所は、惣べて小破の時早速に修覆し、自普請成り難き所は御入用にと申し付くべく候。これなく候とも、普請場の道・橋は、常々油断なく作り申すべき事。

洪水の時、堤・川除囲い候節、又は盗人・狼籍者ならびに火事これ有り、聲を立て候節、村中の者の内、拾五歳以上六拾以下の男は残らず出ずべし。若し場所へ出会わざる者あらは、名主・長百姓詮義の事。

鉄砲の儀、運上出だし候猟師、又は猪・鹿防ぎのため願候て鉄砲渡し置き候のほか、村中にて隠し置くべからず。尤も御定めの月のほか、鉄砲打つべからず。証文の通り濫りにこれ無きよう心得べき事

御林御立山の竹木は勿論、枝、葉、下草等迄、公用の他伐り採るまじく候。たとい下草銭出だし候て刈り取る所たりとも、苗木刈り取り候様なる儀致すべからず。御林のす剥き候所へは苗木植え立て候様に仕るべく候。百姓の持林井びに屋敷の四壁の際も、目立ち候木を伐り遣わし候わば、先ず書付を差し出しこれを伐るべし。堤にこれ有り候草・萱等、刈り取るまじき事

【 附たり】

新規に堤に植えものいたすべからず。堤の際切り欠き、植えもの仕るまじく候事。

入会の野山、面々の持山にても、草木の根堀り取るまじく、鶴嘴(つるはし)を入れ候儀、停止たるべし。田畑へ山崩れの砂入る事様に山林苗木植え立可く申し候事。

 【 附たり】

山中にて焼畑いたし来たり候所は格別、野火附け候義は停 止の事

諸作第一によき種を選び候て蒔き、耕作に念を入るべし。荒作の様にいたし候者あらば急度詮義せしむべし。独身にて煩い候ものこれ有らば、名主・長百姓立ち会い村中にて助け合い、田畑荒らさざる様に仕るべき事。

【 附たり】

地所に不相応の田畑・諾作他にてかわり作劣り、耕作不精成る者これ有らば吟味仕るべく候。左様の者は小検見の節も引け方申し付け候事。

常々耕作並びに商売等も致さず、家職の稼ぎこれなき者これ有らは、吟味を遂げ其の趣きを訴うべきの事。

博突、惣べて賭けの諸勝負、或は百姓諧と名付け、商いに事寄せ、博突に似たる義、何にても仕るべからず。若し違これ有るか、又は右の宿等を致す者有らば、早速これを訴うべき事

百姓に不似合の風俗を致し、長脇差を帯し、喧嘩口論を好み、大酒を呑み、酔狂致し、行跡悪しき者これ有らば、訴うべき事

他所へ参りて二夜泊り、罷り出で紋程石鏃は、名主に断り罷り出ずべし。若し他国へ出で候、又は用事候て相越し候わば、其の子細を名主・長百姓・五人組へ書付を以て相断るべし。公事訴訟に公儀へ出候、其の趣を名主・長百姓・五人組へ相届くべき事。

【附たり】

百姓の願い立ては名主・長百姓、奥判致すべき事

 

御年貢皆済これ無き以前に穀物他所へ出だすべからず。金納のため米売り候わば、先に米綿の員数を積り、綿米は極上米を技置き、次の余り米を売り申すべき事

【附たり】

御用の置床、裏用の事に腕共、名主壱人にて封印を切り、 取り出し申すまじく候、名主、長百姓一両人にても立ち会い申すべき事。

御城米井びに荏・大豆とも名主・長百姓の内も立ち会い、青米・死米・砕米・籾糠等これ無き様に随分吟味致し、升目切れざる様に俵拵えの儀、前々の通り寄せ入れ、二重に締め、小口繩にてかがり、繩にて相結い立て、名主・長百姓・米主、且つ又手代、判の申札入れ申すべく候。

外札は木にても竹にても国・郡・村、米の名ばかりこれを記すべく候。尤も船廻りに仕り候節は、貫目等念を入れ、船頭・上乗手形申し付け、相剋すべき事一御城米積出し候節、名主・長百姓立ち会い俵拵え相改め、船積み致すべし。船中に於いて米さくり取り申さざる様に上乗り・船頭共へ堅く申し付くべく候。船掛り場所にて油断致すべからず。且つ又御米を船順に相渡し、納め名主は陸を参り候様或る事、堅く仕るべからず候。

 御蔵に於いて悪米・なげ米等にまぎらわし候様或る事仕るまじく候。

 右上わ乗りの儀、村にて吟味を遂げ、朧かかる者これを遣わすべし。

御蔵前の入用ならびに船中雑用等、多く入らざる様に申し付け、委細帖面に記させ、入用これを渡すべき事。

御城米納めに罷り越候者共逗留の内、悪所すべて遊山がましき事、一切罷り越すべからざる事

 【附たり】

納めに罷り出で候節、手代等へ土産物又は手人がましき 事、堅く仕るべからざる事

御年貢金銀、名生方へこれを取り集め、帳に納め候度々金銀納めの名書き付け、印判これを致さすべし。名生方へ金銀請取手形通帳に致しこれを渡し、和之帳押し切り致し遣わし置き、後目に出入これ無き様仕るべき事

御年貢皆済の納払い勘定致し、名主へ御手代の判形帳取り置くべき事

御年貢米納めの節、名主方より米主方へ銘々手形これを遣わし、庭帳入念に書き付け、判形致すべし。不念にて印形これ無く、後目訴え出で候共、取り上げまじき事

惣べて公儀より下された人足扶持・賃銭等、当座に銘々割り渡し、帳面に請取り腕の趣き書き付けさせ、印形取り置くべし。惣べて頃合いの差引勘定致すべからざる事。

毎年御年貢免状出で候わば村中の者に披見仕らせ、名主・長百姓方より村中大小の百姓、出作の者にも残らず相触れ、寄り合い候て免割り致し、小物成・臨時物・米・銀、壱人ずつ委細を書き付け、小百姓へも疑わしく致さざる様に其の訳を申し聞かせ、右免状写し候て惣百姓立会い、拝見仕り候旨を言付け、銘々印形取り置くべく、郷蔵の戸へも免状写張り置かせ、御年貢割合仕り候節、其の中夫銭小入用と御年貢入れ交ぜ、一同に仕るべく候。差別を立て割り合うべく、算違

 いこれ無き様に随分念を入れ、御年貢の儀申し渡し、目録の通り候、常々村中申し合わすべき事。

免状拝見の一札、村中の通し印形、翌年正月十目迄に指し出すべき事。

公用の儀又は村中申合わせの儀に付き、名主方へ百姓の寄合、村人懸りの食物・酒・看等、一切組み申すまじき事。

堤・川除・堰場並びに道の御普請、用水掘抜き致し候節、人足等の村入用(以下欠く)

名主・長百姓を始め、惣べて前々申付の通り手代井びに妻子・召使等に至る迄、金銀米銭・衣類・諸道具・酒肴、其の他怪物成りとも、音信・礼物、一切仕るまじく候。

右の者ども若し□物・借物、或は押売・押買、何事に依ら学無沙汰の義致し候わば、隠す無く有りのままにて其の趣き申し出るべし。

隠し置き、後目に相聞こえ候わば、名主・長百姓の越度たるべき事

自分の家来並びに手代の召使当村へ参り、口上にて申すは申すに及ばず、自分井びに手代の印判もこれ無き書付持参にて何事を申付け候とも一切承引すべからず。早速注進すべき事

手代打々相廻り候節、何事も飯米・塩・味噌持たせ廻り候か、若し持参致さず候節は所々の直段損調べ、其の上、泊り、休みの所にて御定めの木銭はこれを出だし、上下共に少しも酒の馳走に相成らず、打々費れ無き様に申し付け候条、酒肴等此方より指図これ無き物、何にても村入費割懸け候わば、名主・長百姓曲事為るべく候。

差図無く人馬集め置き、百姓の隙をまじき事。

村中年中の欠銭・懸り物・小入用等の儀、随分名主・長百姓吟味を遂げ、入用多分これ無き様に念を入れ、右の入用帳の儀も白紙を閉じ、手代印判を加え渡し置き候の条、惣べて村人用、少しも当座に右の趣きを委しく書き付け、居合わせ学僕者も印判仕るべく候。

此の外別帳に作り置くまじく腕。役所押切、手代印判、名主・組頭より掛物割り懸け候わば曲事たるべし。

毎年翌正月中、前年の村入用帳写し候て、本帳を相添え追出すべく候、一覧を遂げ、写帳は留め置き、本帳は名主へ相返すべく候間、年々帳紛失これ無き様に大切に致し置くべき事

右の条々堅く相守り、此の旨に違背の輩有らは曲事たるべし。此の帳は年々正月・五月・九月・十一月、一ケ年の産、村中大小の百姓寄り合い、読み聞かせ、常々この趣きを合点仕り罷り有り候様に、入念に申し付くべきものなり。

  

享保十年(1725)正月 日

 

御料所の国々の百姓御取箇井びに矢吹・稗・物資等、其のほか願の義に付き強訴・徒党・逃散し侯儀を堅く停止し候の所、近来御料所の内にも右舷の願筋に付、御代官陣屋へ大勢集り訴訟致し候儀もこれ有り、不届き至極に候。自今以後、吟味の上、重ねて罪科に行わるべく候の条、御代官支配限り百姓其へ兼ね兼ね急度申し付け置き候様に御代官其れへ申し渡さるべく候

   午五月

 前書の御ケ条、一々拝見し幸り、村中大小の百姓・五人組壱人も除き侯もの御座無く候。御ケ条言、則ち名主方に写し置き申し候。仰せ付けられ候通り読み聞かせ、一ケ条ずつ合点致し、急度相守り申すべく候。若し此の旨に相背き候わば、如何様の曲事にも仰せ付けらるべく候。其の為め連印、斯くの如くに御座候。

 

以上。

 

 






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最終更新日  2021年08月01日 15時30分58秒
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