カテゴリ:白州町・武川町 歴史文学史蹟資料室
にふなひ鳥 滝亭臺珉 撰 序文
それ俳詣は、こころの色なり。 たとへは月草のものに移ろひやすく、 かゝみの影のよくものをうつすかことし。 それか中に、不易あり流行あり、 且しはらくもとゝまらす、 さたむるともさためかたきは、 かの造物者の無尽蔵なれはなるへし。 かくて目にさへきり、みゝにとゝろき、 こゝろに感する事あれは、 おふけなくも、天骨なくも、 ことの葉の色に染出るわさなりけり。 されは尾張の士朗はなたねの花に、 小すゝめの觜をそめて、其よしはひとく鳥に見えたり。 流行の色をあらはし、 これの台はほどゝきすの音にむら雨をそゝきて、 不易の心を染出せり。 さてその雨そゝきの、あさらなる色をはじめとして、 遠き近き人々の、花紅葉のめてたきいろく、 蝶鳥のあはれなる風情まで、おのかこゝろのまにまに、 やをらかいあつめて、ひといろの巻となしつ、 そもやこのはいかいの色をこのまさらん人は、 たまのさかつきのそこなきかことくならむかしと、 わらふてふと手をそむるのみ。
さねかつらの可都里しるす
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最終更新日
2021年08月08日 06時47分17秒
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