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2021年09月26日
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明穂浪士 落首

  

 もうろく十五年恥のかきぞめ

   炭部屋裏上野蟹。長屋門前大石控。

   きみわるくちゞみくてかくれゐし

岩ほとなれよ炭だわらまで

五色の散士

   いろ青々黄なるなみだを炭部屋で

あけにそみたる白むくの袖

   麻ならば織ても見なん武士の打

ひのもとにきらをさらして

   かうづけはきられにけりないたづらに

我身よぬけにせんとせしまに

   少将の首を小桶に入れおいて

寺より里へおくるはつもの

少将八景

本所大霞

    四十餘人大剛者。破門越塀我先罵。

    家中刻女不及官。遠近屍耳浮水夜。

    家高き我よりうへのかたき討

あらしとともに死なんひとびと

少将夜首                          

無活意炭部屋中。昔少将今笑止也。

    間数喜兵逢一鎗。十次不透揚首夜。

おしよするかたきなく夜半に入

門よりくゞる響きにぞしる

左兵落涙

    逃散者共漸々集。父見死骸尋首急。

浅野家の落首

    たくみつゝ世の武士の目をさます

あさのうちにぞ楠はあり

    赤穂盥からううまうてかうの物は

ぎれの音を聞もきみよし

海近きしばのいほりの泉岳寺

あさの衣をすゝぎこそすれ

宵良うちてあさのかへりをたくみしは

大石くらが重きふんべつ

身をすてゝ名をば雲井にあり明の光を

そふるあさの殿原

吉良家の落首

    おとりあげなきみのとしのふりげん

くわ相對でとる上野の首

    あさのまにちゑある人があつまりて

たくみしまゝにきられ上野

    今まではおさいたくみと思ひしに

ふかいたくみにきられ上野

死の道はとゝせいとても頼まれす

こぞのゐしゆとてきられ上野

落首のうた

    忠臣をあづかりおきしかひもなく

ほそ川水のあわとなりけり

    ほそかはの水のながれは清けれど

名をだいかひにおきのわるさよ

    流すなよおきにかひある大石をほそかは

水の瀬きとめよかし

 朗詠の落首

    三五夜中夜討色。逃而後左兵衛心

今更落涙不得心。被討泣親痛疵泣。

    まづのこるうしろの疵におどろきて

空行雁もまた来たるかと

 野村番人

 虚鼾不起番太郎。野村今夜之分間。

    於見鎗八百屋亭。非常出立悪折節。

敵のいろてうちんの紋なほ見えて

うそきみわるくこがくれにけり

高家暮雪 

    道理哉今年暖冬。時節消治易用心凶。

    名斗高家逃足疾。不懲一度叉掛鋒

    暮かゝる雪にふかくのにけ見えて

なにはの色もあけになりけり

 延引■■

急切延引可依事。世間評判更無窮。

不向討手雖□□。野村辻番同腹中。

    かけ出して家のうき名ぞ立にける

おはれぬさきにかへる浪人

 動顛各月

    他日用心如藏六。 運今深夜後遂絶。

泉岳晩鐘                   

本望一遂無所恐。 靜詣主墳以首供。

    四十餘人必死輩。 明日誰聴人相鐘 

 落首の歌

したぎをばしるしとなして定紋の

うは着ぐるみに桐のどう哉

    少将でしなじといふもきられては

位倒れと人やいふらふ

    身より出るさびむとさぬか上野砥

名字の如く切られこそすれ

    高家とてきらきらしきも今ははや

かゝるうき名の立つはかうつけ

    人まるといふ人あれどにげ丸も

ありとやいはん切れさひやうゑ

謡曲 本所逃盛 

扨も本所の夜討敗れしかば、間十夜郎光貞、内蔵介がまへに走り参じ申けるは、光貞こそ紀伊の親父と組んで首取て候へ。大勝かと見ればつゞく家来もなく、又は武者かと思へば白むくを着しけり。

名のれ名のれとせむれども終に名のら字。馨は坂東ごゑにて候と中せば、内蔵介あっぱれ上野にてやあるらん、

夫ならば去年の疵あるべし、見えぬこそ不審なれ、原惣右衛門は偉そうにて見しりたるらんと呼びしかば、原参りただ一目見てからからと打笑ひ、あら嬉しや、これは上野介にて候ひけるぞや。義央つねに申されしは、もしや夜討の入りたらば、若殿原とうちあびて、切られんことも悲しかるべし、所詮隠れんと仰せ候ひしよ。兼て承り及び農ひしが、誠にかくれ給ひ候ぞや。しかれども血かがりて首のわけたしかにしれす候まゝ、よくよくあらはせて御覧候へと申すもあへす、首を持ち座敷を

立て、あたりなる手水鉢に望みて、小桶の影映る額の疵も少将に気もはれては、風白髪の顔をなで、氷漬けては次老体の首を洗ひて見れば、血は流れ落ち、もとの上野の介となりけり。實に名を惜む腰抜けは、誰もかくこそあれ侍べけれと、みな一同に笑ひけり。






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最終更新日  2021年09月26日 20時11分34秒
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